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アリス殺し [本]

10月28日(土)
小林泰三『アリス殺し』(東京創元社)読了。

アリス殺し (創元クライム・クラブ)

アリス殺し (創元クライム・クラブ)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/09/21
  • メディア: 単行本


栗栖川亜理は大学院生。
ある日、自分が『不思議の国のアリス』の夢ばかり見ていることに気づく。
夢の中で、ハンプティ・ダンプティが塀から落ちて死んだ。
帽子屋と三月ウサギは、アリスを犯人だと決めつけた。
翌日、大学へ行ってみると、「玉子」というあだ名のポスドクが墜落死していた。
後輩の井森と話しているうちに、彼も『不思議の国のアリス』の夢を見ていることに気づく。
彼は夢の中では、トカゲのビルだった……。

2014年度「このミステリーがすごい!」ベストテン国内第4位。
現実と夢、日本と『不思議の国のアリス』の世界が並行して描かれていく。
ほとんど会話だけの文章で、とても読みやすい。
ヒロイン・亜理の周囲の人々はみんな『不思議の国のアリス』の世界の夢を見ていて、登場人物の一人となっている。
これを作品の中では、「アーヴァタール」と呼ぶ。
もちろん、「アバター」のことだ。
「アーヴァタール」が殺されると、現実でも自殺・病死・事故死してしまう。
だから、現実で誰かを殺したくなったら、その「アーヴァタール」を殺せばよい。
現実では他殺にならず、よって罪には問われない。
よくもこれだけとんでもない設定を思いついたものだ。
クライマックスはどんでん返しの連続。
お見事と言うしかない傑作。
強くお薦めします。

僕は今日から自宅で『ティアーズライン』の執筆。
文化庁+日本劇団協議会『ケンジ先生』、今日が本番3日目。
妻が13時の回を見てきました。
「おもしろかったー!」を連発していました。
ここまで褒められるのは久しぶりで、本当にうれしい。
キャラメルボックス2017グリーティングシアター『光の帝国』大阪公演は明日の13時の回が千秋楽。
まだ迷っている方はぜひ今、決断してください。
そのために、大阪公演初日の感想をどうぞ!
https://togetter.com/li/1165538

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