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東京帝大叡古教授 [本]

7月28日(日)
門井慶喜『東京帝大叡古教授』(小学館文庫)読了。

東京帝大叡古教授 (小学館文庫)

東京帝大叡古教授 (小学館文庫)

  • 作者: 門井 慶喜
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫


明治38年、東京。
熊本の第五高等学校の学生である「私」は、夏休みに東京帝大法科の宇野辺叡古(うのべえいこ)教授に会うために上京する。
叡古教授は『日本政治史之研究』の著者で、「私」の憧れの人だった。
待ち合わせをした帝大図書館に行ってみると、そこに髭の男の死体が!
とっさに叡古教授かと思ってしまったが、実際は叡古教授の同僚の高梨教授だった。
叡古教授は「私」に「阿蘇藤太」という呼び名を付け、殺人犯の捜査を命じた……。

直木賞候補作となったミステリー。
「宇野辺叡古」はもちろん、イタリアの哲学者・小説家で、『薔薇の名前』の作者である、ウンベルト・エーコがモデル。
夏目漱石を始め、徳富蘇峰、桂太郎、西園寺公望、原敬など、当時の有名人が次から次へと登場してワクワクさせられた。
明治38年、日露戦争末期の東京の世相が事細かに描かれ、作書の博覧強記ぶりに圧倒された。
小説全体が、夏目漱石『三四郎』のパロディになっているのもおもしろい。
主人公「私」の本名は最後のページで明らかになる。
ミステリーとしては非常に物足りないが、小説としてのおもしろさは抜群。
お薦めです。

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