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コリーニ事件 [本]

8月31日(土)
フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』(東京創元社)読了。

コリーニ事件 (創元推理文庫)

コリーニ事件 (創元推理文庫)

  • 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/12/11
  • メディア: 文庫


2001年、ドイツ、ベルリン。
カスパー・ライネンは弁護士になりたてで、殺人事件の裁判の被告の国選弁護人となった。
被告のファブリツィオ・マリア・コリーニは67歳のイタリア移民。
85歳のジャン=バプティスト・マイヤーの頭を銃で吹き飛ばし、さらに残った部分を何度も踏みつけた。
コリーニは犯行を認めたが、動機など、それ以外の証言を一切拒否した。
ライネンが弁護人になってすぐに、幼馴染みの姉のヨハナから電話がかかってくる。
被害者はライネンが少年の頃、さんざんお世話になった、マイヤー機械工業の元代表取締役、ハンス・マイヤーだった……。

予想通り、ナチス絡みの話だった。
シーラッハの祖父は、ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハ。
つまり、自分の祖父をモデルにした小説だった。
犯罪小説だが、謎解きの要素はほとんどなく、ナチスの戦争犯罪を裁く法律の不備を強く主張している。
と同時に、作者の祖父に対する思いも描かれている。
冷酷無比なナチ党幹部なのに孫には優しい。
人間はこの二つを両立させてしまう、とても不思議な生き物なのだ。

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