SSブログ

来てけつかるべき新世界 [本]

12月2日(月)
上田誠『来てけつかるべき新世界』(白水社)読了。

来てけつかるべき新世界

来てけつかるべき新世界

  • 作者: 上田 誠
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2017/04/22
  • メディア: 単行本


大阪、新世界。
マナツは、串カツ屋「きて屋」の娘で、母が亡くなった後、一人で店を切り盛りしている。
マナツの父は、母が亡くなって以来、二階で引きこもりになっている。
店にはスワ、トサ、イシダ、ホンダなどの常連客が昼間から屯している。
ある日、店の前にドローンがやってくる。
近所のラーメン香港がドローンで出前を配達し始めたのだ。
次にやってきたドローンは、なんと東京に住む男のもので、ドローンに搭載されたモニターに男の顔が映った。
男はどうやらマナツに惚れているらしい……。

岸田戯曲賞受賞作。
2016年に劇団「ヨーロッパ企画」で、上田誠氏本人の演出で初演された。
僕は未見。
僕は「ヨーロッパ企画」の芝居も未見だが、「ヨーロッパ企画」の芝居が映画化された『サマータイムマシン・ブルース』『曲がれ!スプーン』は見ている。
上田氏の作品に共通するのは、シュールな設定、集団劇、シチュエーション・コメディ。
それにしてもこの『来てけつかるべき新世界』は出色の出来で、本に付録でついていた審査員たちの選評でも軒並み絶賛されている。
全体が5話に分かれ、それぞれの話で、新世界の串カツ屋の常連のオッサンたちと、その近所のオッサンたちが、ドローン、ロボット、バーチャル・リアリティなど、最新のテクノロジーと出会う。
このミスマッチが本当にすばらしい。
エチュードで作った芝居のせいか、大阪弁のセリフがまるで漫才のようで、爆笑の連続。
上田氏が今後、これと同レベルの芝居が作り出せるかどうかが心配になった。
と思うほどの傑作。
お薦めです。

現在、僕は、キャラメルボックス俳優教室2019年度卒業公演『銀河旋律』の稽古と、「ねこはっしゃ。」のクリスマス会で上演する『ラスト・ステージ/終演15年後』の稽古。
『銀河旋律』の本番は12月25日(水)~28日(土)、中野ザ・ポケットにて。
『ラスト・ステージ/終演15年後』は12月24日(火)・25日(水)、神楽坂・絵空箱にて。
ご来場を心よりお待ちしています。

nice!(3) 
共通テーマ:演劇

nice! 3