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道徳の時間 [本]

2月2日(木)
呉勝浩『道徳の時間』(講談社)読了。

道徳の時間 (講談社文庫)

道徳の時間 (講談社文庫)

  • 作者: 呉 勝浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 文庫


伏見祐大はビデオジャーナリスト。
半年前に仕事に失敗し、東京から、妻子の住む関西のT県鳴川市に引っ越してきた。
鳴川市では近頃、おかしなイタズラ事件が連続していた。
小学校で飼ってきたウサギが殺され、現場に「生物の時間を始めます」との置手紙が残されていた。
また、4歳の女の子が両手を瞬間接着剤で公園の鉄棒にくっつけられ、現場に「体育の時間を始めます」との置手紙。
ある日、伏見は、妻がお世話になった陶芸家・青柳南房の葬式に行く。
青柳の死因は服毒自殺だったが、家の壁にスプレーで「道徳の時間を始めます」と書かれていたらしい‥‥。

第61回江戸川乱歩賞受賞作。
呉勝浩氏のデビュー作。
巻末に選評が載っていたが、選考会はかなりモメたらしい。
辻村深月氏が『道徳の時間』を強く推したが、池井戸潤氏が反対。
有栖川有栖氏、石田衣良氏、今野敏氏らはどちらでもなく、結局、呉氏と問題点を書き直すという約束をして、受賞が決まった。
出版されたのは書き直し後の原稿のはずだが、それでもやはり、動機が弱すぎたり、2つの事件の関連性が薄すぎたりと、幾つもの欠点が残っている。
アイディアはなかなかいいが、要するに「若書き」の小説。

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