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タラント [本]

2月27日(月)
角田光代『タラント』(中央公論新社)読了。

タラント

タラント

  • 作者: 角田光代
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/03/11
  • メディア: Kindle版


山辺みのりは40歳間近で、夫の寿士と二人暮らし。
洋菓子屋で働いている。
実家は香川県のうどん屋「ほうらい屋」で、大学進学を機に上京し、ボランティアサークル「麦の会」に入った。
そこで、同学年の宮原玲、遠藤翔太 後輩のムーミンこと甲斐睦美、先輩の真鍋市子、代表の澤和彦らと出会った。
1年の時は、スタディツアーで、ネパールに行った。
一方、みのりのアパートに、しばしば香川に住む祖父の清美が泊まりに来るようになった。
本人は友達に会うためと言っていたが、実際のところはわからない。
清美は戦争で片足を失っていた‥‥。

角田光代氏の本はこれが88冊目。
2020年7月から2021年7月まで、読売新聞に連載された小説。
我が家は読売を購読しているが、この小説は読んでなかった。
2019年の「みのり」、1999年の「みのり」、太平洋戦争中の「清美」。
この3つの視点で話は進む。
国際ボランティア、発展途上国の貧困と教育、パラリンピック。
今日的な問題に真摯に向き合っていて、とても好感を持った。
主人公の「みのり」は普通の人で、常に迷い、悩み、苦しみ、時には逃げ出す。
その普通さが、この小説を読みやすく、共感しやすくしている。
余計な恋愛要素がないのもいい。
お薦めです。
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