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つまをめとらば [本]

9月29日(金)
青山文平『つまをめとらば』(文藝春秋)読了。



江戸時代、本条藩。
長倉庄平はお馬回り組の番士。
同僚で長倉家本家の当主・長倉克巳とは幼馴染みの親友。
克巳は美形で、文武に秀でていて、家柄もよいため、滅法モテた。
その克巳が恋をした。
相手は江戸からやってきた医師・浅沼一斎の娘・世津で、絶世の美女だった。
克巳の話によると、世津を静山祭に誘ったところ、承諾を得たと言う。
はたして二人は結ばれるのか?
時代小説の短編6つを収録した短編集で、上記は一つ目の『ひともうらやむ』。

第154回直木賞受賞作。
どの作品も人間をじっくりと描いていて、上手な人だと思った。
出てくる女性がみんな逞しく、そこに新しさを感じた。
特に気に入ったのは、『ひともうらやむ』と『乳付(ちつけ)』。
他の本も読んでみたい。

文化庁+日本劇団協議会『ケンジ先生』の稽古5日目。
10・11・12場の立ち稽古をしました。
これでようやく台本の1周目が終了。
歌、ダンス、殺陣、パフォーマンスなど、セリフ以外の要素が非常に多く、改めて「大変な台本だ」と思いました。
でも、今回は大内厚雄がステージングを手伝ってくれる。
だから、きっと大丈夫。
主役の「レミ」役は、オーディションで合格した河内美里さん。
まだ19歳ですが、元気に「レミ」をやっています。
昨日までは少々声か小さいかなと思っていたのですが、今日は最初からいきなりよく通る声が出た。
もしかしたら、昨日までは緊張していたのかもしれません。
河内さんは150倍の倍率を勝ち抜いて、「レミ」役をゲットした。
きっと素敵な「レミ」になってくれると思います。
楽しみです。

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マルタイの女 [映画]

9月29日(金)
伊丹十三監督『マルタイの女』(1997年)GEOのレンタルDVDで鑑賞。



磯野ビワコ(宮本信子)は、ワガママでちょっと落ち目の大物女優。
ある晩、弁護士夫婦が殺害される現場を目撃してしまう。
犯人は、カルト教団「真理の羊」のメンバー。
警察はビワコを守るため、彼女を「マルタイ」と呼ばれる身辺保護対象者とし、刑事の立花(西村雅彦)と近松(村田雄浩)をガードにつける。
二人の刑事はビワコの自宅マンションから、仕事場、稽古場、レストランまで張り付いて、ビワコを守った……。

伊丹十三監督の最後の映画。
脚本に三谷幸喜さんが協力しているためか、元・東京サンシャインボーイズの西村雅彦、近藤芳正、阿南健治らが出演していた。
おなじみのメンバーは、津川雅彦、あき竹城、三谷昇、宝田明、六平直政、伊集院光、不破万作、高橋長英、渡辺哲などなど。
田尻茂一さんが舞台俳優役で出演していたのはビックリ。
最後はちょっと暴走気味だったが、名優たちの名演技と、センスのいいセリフの数々でとても楽しめた。

伊丹十三監督の映画全10本、ようやくコンプリートしました。
どの映画も質が高く、楽しむことができました。
僕のベスト1は『マルサの女』、ベスト2は『ミンボーの女』。
伊丹映画と言えば、宮本信子さんと津川雅彦さんですが、六平直政、不破万作、渡辺哲、三谷昇の4人も、ほとんどの作品に出演して、いい仕事をしていた。
まさに名脇役だと思いました。

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西洋名画ズバリ101! [本]

9月28日(木)
千足伸行『西洋名画ズバリ101!』(小学館)読了。



成城大学名誉教授の千足伸行が、西洋の名画101作を選び、解説する。

001がボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』、002が『プリマヴェーラ』。
うんうん選ばれて当然だよな、と思う。
004がティツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』。
024がジョン・エヴァレット・ミレイの『オフィーリア』。
031がフラ・アンジェリコの『受胎告知』。
066がヨハネス・フェルメールの『真珠の首飾りの少女』。
これらも順当。
ラファエロは『牧場の聖母』しか選ばれなかったのは不満。
ダ・ヴィンチは『モナ・リザ』と『最後の晩餐』で、順当すぎて不満。
というふうに、選ぶことの楽しさが詰まった本。
お薦めです。

文化庁+日本劇団協議会『ケンジ先生』の稽古4日目。
7・8・9場の立ち稽古をやりました。
この作品では劇中、舞台にテントを立てます。
昨日、再々演のテントを立ててみたところ、大きすぎて、役者が動けなくなることが判明。
このテントは舞台監督の矢島健さんの私物だったのですが、今日また別のテントを持ってきてくれました。
こっちは一回り小さかったので、何とかなりそう。
健さん、ありがとうございました!
テントは何とか立てられたけど、他にも問題がいっぱい。
とにかく舞台が狭すぎる!
しかし、みんなで一つ一つ話し合いながら、少しずつ先に進んでいきました。
明日はいよいよラストに到達する。
頑張ります!

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殺し屋、やってます。 [本]

9月28日(木)
石持浅海『殺し屋、やってます。』(文藝春秋)読了。



富沢允は中小企業相手の経営コンサルタント。
しかし、裏では殺し屋をやっている。
1人につき、650万円で殺しを引き受けている。
なぜ650万円かと言えば、東証一部上場企業の社員の平均年収が大体それぐらいだから。
ある日、仲介役の塚原俊介が新たな仕事を持ってくる。
ターゲットは保育士の浜田瑠璃子。
富沢允は早速尾行を開始する。
瑠璃子はまじめな保育士だったが、なぜか夜中に近くの公園に行き、黒い水筒の中身を捨てていた……。
7つの短編ミステリを収録した連作短編集で、上記は一つ目の『黒い水筒の女』。

石持浅海さんの本は30冊目。
日本を舞台にした殺し屋の小説というのは難しいだろうと思ったが、ちゃんと現実感があって、驚いた。
料金が650万円というのがうまい。
なるほど、こういう殺し屋ならいるかもしれない、と思えたのだ。
7編それぞれに工夫があり、最後まで楽しめた。
主人公・富沢允のキャラクターがすばらしい。
続編を希望する。
お薦めです。

石持さんは1966年、愛媛県生まれ。
2002年、『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。
年2~3冊をコンスタントに書き続け、それがいずれも上質のミステリなので、感心しています。
『月の扉』『扉は閉ざされたまま』『顔のない敵』『君がいなくても平気』など、傑作もいっぱい。
もっともっと読まれるべき作家だと思います。

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すぐわかる作家別ルネサンスの美術 [本]

9月27日(水)
塚本博『すぐわかる作家別ルネサンスの美術』(東京美術)読了。



明治学院大学講師の塚本博が、ルネサンスの画家・彫刻家・建築家42人を紹介する。

「すぐわかる」シリーズはこれが5冊目。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンツィオの三大巨匠なら、ラファエロに惹かれる。
でも、それ以上に、サンドロ・ボッティチェリに惹かれる。
『ヴィーナスの誕生』と『プリマヴェーラ』は本当にすばらしい
この本で、フラ・アンジェリコとドメニコ・ギルランダイオもいいと思った。
ルネサンス、大好き!

1230より、キャラメルボックス俳優教室の第3回セリフ発表会。
なかなかよい出来で、ホッとしました。
難しい台本を、みんな頑張っておもしろくしてくれました。
1700より、文化庁+日本劇団協議会『ケンジ先生』の稽古3日目。
4・5・6場の立ち稽古をやりました。
「シラキ社長」役の幸田尚子さんがカッコいい!
以前、クロムモリブデンやARM’sでお見かけして、その時も強い印象が残ったのですが、間近で見ると、物凄いインパクト。
これからが楽しみです。

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家族シアター [本]

9月26日(火)
辻村深月『家族シアター』(講談社)読了。



山下亜季には一つ上の姉・由紀枝がいた。
姉の結婚式の日、亜季は由紀枝から手紙をもらう。
中学の頃、由紀枝は真面目で、イケてない子だった。
亜季は由紀枝のようにはなるまいと、オシャレに勤しんだ。
おかげで、バスケ部の遠藤卓人とライブに行けることになった。
当日、亜季はドキドキしながら待ち合わせ場所に向かったが……。
短編7つを収録した短編集で、上記は一つ目の『「妹」という祝福』。

辻村深月さんの本はこれが28冊目。
家族をテーマにした短編7つで、どれも質が高く、楽しめた。
僕は6つ目の『孫と誕生会』が一番気に入った。
若い女の子より、おじいちゃんの方が感情移入しやすかったのかもしれない。
お薦めです。

文化庁+日本劇団協議会『ケンジ先生』の稽古2日目。
1・2・3場の立ち稽古をしました。
今公演は、キャラメルボックスの大内厚雄が、俳優と兼任で、ステージングをやってくれています。
ステージングとは、役者を舞台でどう動かすかを考える仕事。
『ケンジ先生』には歌、ダンス、殺陣がいっぱいあるので、その動きをまとめて見てくれているのです。
演出の僕は大助かり。
それにしても、テアルトBONBONは狭い!
稽古前に舞台監督の矢島健さん、大津留千博さん、演出助手の石川彩織(キャラメルボックスの新人です)が稽古場を場見ってくれたのですが、間口が3間ちょっと、奥行きが2間半しかない!
こんなに狭い舞台で芝居をやるのは、31年前の第1回公演『地図屋と銀ライオン』、第2回公演『左腕のガリバー』以来です。
初演・再演・再々演でできたことができなくて、何度も頭を悩ませました。
でも、これこそが今回の第二の目的。
前回、サンシャイン劇場でやった芝居を、なるべく縮小しないで、テアトルBONBONに押し込む。
そうすることで、圧倒的に密度の濃い芝居にする。
いまだかつてない『ケンジ先生』を目指して、頑張ります。

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幹事のアッコちゃん [本]

9月25日(月)
柚木麻子『幹事のアッコちゃん』(双葉社)読了。



久瀬涼平は大手商社・高潮物産営業二課の新入社員。
新人の義務として、忘年会の幹事を任されたが、全くやる気が出ない。
合理主義者の久瀬は、仕事以外のことに力注ぐ意味がわからなかった。
先輩の澤田三智子に連れられて、近くのビルの屋上のおでん屋「REMI☆REMI」に行き、そこで澤田の元上司で「東京ポトフ&スムージー」の社長・黒川敦子、通称「アッコちゃん」を紹介される。
翌朝、目が覚めると、そこはアッコちゃんの部屋だった!
短編4つを収録した連作短編集で、上記は一つ目の『幹事のアッコちゃん』。

『ランチのアッコちゃん』『三時のアッコちゃん』に続く、「アッコちゃん」シリーズの第三弾。
前2作ではあまり描かれなかったアッコちゃんの普段の姿がガンガン出てきて、楽しめた。
4つ目の『祭りのアッコちゃん』で、アッコちゃんはアメリカに行ってしまう。
このシリーズもこれで終わってしまうのか?
終わらないでほしい!
お薦めです。

今日は文化庁+日本劇団協議会『ケンジ先生』の稽古初日。
顔合わせと読み合わせをしました。
この公演は、文化庁の「日本の演劇人を育てるプロジェクト」の「新進演劇人育成公演」の一つ。
つまり、第一の目的は、新進演劇人の育成です。
オーディションに合格した3人の若い俳優が、育成の対象。
この公演を通して、3人を育成する義務が僕にはあります。
演目に『ケンジ先生』を選んだのは僕ですが、それは若い俳優を育成するのにうってつけだと思ったから。
『ケンジ先生』はただの会話劇でなく、歌やダンスやアクションがある。
舞台俳優がやらなければならないことがいっぱい詰まっているのです。
その3人とは、河内美里さん、生田輝さん、池田倫太朗くん。
この3人には、「ビシビシしごくよ」と言っておきました。
明日から立ち稽古。
さあ、ビシビシ行くぞ!

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スーパーの女 [映画]

9月25日(月)
伊丹十三監督『スーパーの女』(1996年)GEOのレンタルDVDで鑑賞。



小林五郎(津川雅彦)は、スーパー正直屋の専務。
ライバルの安売り大魔王の激安キャンペーンを偵察に行き、幼馴染みの井上花子(宮本信子)と再会する。
五郎は、スーパーに詳しい花子をレジ主任として雇う。
花子は傾きかけた正直屋を次々と改革していく……。

『マルサの女』『マルサの女2』『ミンボーの女』に続く、女シリーズの第四弾。
おなじみのメンバーと新顔のメンバーが賑やかに話を盛り上げる。
おなじみは、伊東四朗、六平直政、不破万作で、みんな悪役。
新顔は、三宅裕司、あき竹城、松本明子、小堺一機、柳沢慎吾、伊集院光などで、みんな花子の味方。
阿知波悟美・柴田理恵・川俣しのぶのお客さん3人組がおもしろかった。

今日から文化庁+日本劇団協議会『ケンジ先生』の稽古が始まります。
出演者は、キャラメルボックスから5人、それ以外から3人、オーディション合格者が3人。
11人中5人が「はじめまして」なので、ちょっとドキドキします。
アルテメイト・プロデュース『おおきく振りかぶって』のキャストがまもなく発表になるようです。
すばらしいメンバーが集まりましたので、ご期待ください。

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遠い唇 [本]

9月24日(日)
北村薫『遠い唇』(角川書店)読了。



ミステリ短編7つを収録した短編集。

北村薫さんの本を読むのはこれが40冊目。
意外なことに、7作中4作が暗号もの。
僕は暗号ものが大好きなので、楽しく読むことができた。
一番のお気に入りは、表題作の『遠い唇』。
『続・二銭銅貨』も、江戸川乱歩の『二銭銅貨』の後日談をキッチリ描いていて、おもしろかった。
お薦めです。

今日は11時から、西新宿の芸能花伝舎へ行き、日本演出者協会の理事会に出席してきました。
実は今年度から、理事になったのです。
8代目新理事長は流山児祥さん、副理事長は宮田慶子さんと坂手洋二さん、事務局長は和田喜夫さん。
他にも理事のふじたあさやさん、西川信広さん、鵜山仁さんらが出席していました。
僕は次があるので、30分で退出。
13時から、西葛西の東京フィルムセンター映画・俳優専門学校のスペシャル公演の稽古。
10・11・12・13場の立ち稽古を3回ずつやって、最後に10~13場を通しました。
最初は声が小さく、テンションが低かったため、かなり厳しく注意しました。
が、どんどんよくなっていって、最後の4場通しはなかなかおもしろかった。
「最初からこの調子でやってくれ」とお願いしました。
6回目のスペシャル公演、どうやら期待できそうです。
もちろん、僕も頑張ります。

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ニュースの真相 [映画]

9月24日(日)
ジェームズ・ヴァンダービルト監督『ニュースの真相』(2015年)WOWOWで鑑賞。



2004年、アメリカ。
メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)はCBSのプロデューサーで、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)がアンカーマンをつとめる番組のメンバー。
再選を目指すジョージ・W・ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑の取材を開始する。
証言者と物的証拠を入手して、番組で報道、全米にセンセーションを巻き起こす
ところが、保守派のブロガーが証拠は偽造と批判。
CBS上層部は内部調査委員会の設置を決定する……。

実話をもとにした映画。
主人公たちは、いい加減な証拠で疑惑を報道したにもかかわらず、まるで悲劇のヒーローのように描かれている。
アメリカ映画はどんな人でもヒーローにしてしまう。
あくまでも事実をもとにしているだけで、真実(原題は『TRUTH』)かどうかはわからない。

高2の息子が、僕の両親と成井家の墓参りに行きました。
お墓は神奈川県愛甲郡愛川町にあります。
成井家は明治時代まで、そこの大地主でしたが、僕の曾祖父の代に没落して、祖父は海軍士官になりました。
退役後は、川崎市でガラス屋を開業。
父はそこで生まれました。
太平洋戦争の時、祖父・父・叔母は埼玉県飯能市に疎開。
戦後もそこでガラス屋を営み、僕が生まれました。
源頼朝が戦で成井家の地所に通りかかった際、水を所望し、そのうまさに感激して、「成井(井を成す)」の苗字をくださった、という話が伝わっています。
まあ、嘘でしょうけどね。

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