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みんな我が子・橋からのながめ [本]

7月21日(日)
アーサー・ミラー『みんな我が子・橋からのながめ』(ハヤカワ演劇文庫)読了。

アーサー・ミラーⅢ みんな我が子/橋からのながめ (ハヤカワ演劇文庫)

アーサー・ミラーⅢ みんな我が子/橋からのながめ (ハヤカワ演劇文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/02/15
  • メディア: Kindle版


第二次世界大戦から数年後のアメリカ。
ジョー・ケラーは60歳近くで、機械工場の経営者。
妻のケイト、長男のクリスと暮らしている。
次男のラリーは出征したまま帰らないが、ケイトは今でも生きていると信じ、帰りを待っている。
ある日、ケラー家に、ラリーの婚約者のアン・ディーヴァーがやってくる。
クリスはアンと結婚するつもりだった……。

上記は『みんな我が子』で、アメリカ初演が1947年、日本初演が1953年。
併録の『橋からのながめ』は、アメリカ初演が1955年、日本初演が1959年。
どちらも家族の軋轢を劇的に描いたドラマで、楽しめた。
戯曲は読み物としてはあまりおもしろいものではない、と僕は思っている。
上演して初めておもしろくなると。
実際、シェイクスピアも、読んでおもしろいのは『マクベス』と『リア王』くらい。
『夏の夜の夢』など、あまりにも他愛なく感じる。
が、ピーター・ブルック演出の『夏の夜の夢』はすばらしかった。
戯曲とは設計図に過ぎない、と僕は思うのだ。
ところが、アーサー・ミラーの作品は読むだけで結構おもいしろい。
理由は、ドラマがシンプルで骨太で、後半しっかり盛り上がるから。
この本に収録された2作、もっと上演されてもいいのではないかと思う。
お薦めです。

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思い出の作家たち [本]

7月21日(日)
ドナルド・キーン『思い出の作家たち』(新潮文庫)読了。

思い出の作家たちーー谷崎・川端・三島・安部・司馬 (新潮文庫)

思い出の作家たちーー谷崎・川端・三島・安部・司馬 (新潮文庫)

  • 作者: ドナルド・キーン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 文庫


コロンビア大学名誉教授で、日本文学研究者のドナルド・キーンが、日本現代文学を代表する5人の作家について語る。

語られたのは、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、安部公房、司馬遼太郎。
ドナルド・キーン氏は谷崎を除く4人と交流があり、特に安倍と親しかったらしい。
5人のうち、世界で一番有名なのは、三島だとキーン氏は言う。
また、司馬の作品は歴史小説・時代小説ということもあり、海外ではほとんど読まれていない。
僕は昭和50年代後半に朝日新聞で連載されていたエッセイでキーン氏を知ったが、これは司馬の紹介で引き受けた仕事だった。
キーン氏はアメリカ生まれながら、文化勲章を受勲し、日本国籍を取得し、今年の2月24日、96歳で永眠した。
日本文学への貢献は計り知れない。
この本は12年前に書かれた本。


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サニー 永遠の仲間たち [映画]

7月21日(日)
カン・ヒョンチョル監督『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)netflixで鑑賞。

サニー 永遠の仲間たち デラックス・エディション Blu-ray

サニー 永遠の仲間たち デラックス・エディション Blu-ray

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


イム・ナミ(ユ・ホジョン)は40代の主婦で、夫、高校生の娘と3人暮らし。
ある日、入院中の母のお見舞いに行って、高校時代の友人ハ・チュナと再会する。
末期ガンで余命2カ月のチュナは、死ぬ前に「サニー」のみんなに会いたいと言う。
「サニー」とは高校時代の仲良しグループの名前だった。
25年前、ナミ(シム・ウンギョン)は田舎の漁村からソウルへ引っ越す。
高校もソウルの私立校に転校し、そこでチュナたち6人のグループの仲間になる……。

netflixに加入したのをきっかけに見始めた韓国映画も、これが10本目。
80年代の女子高校生たちと、25年後のおばさまたちが同時並行で描かれていくが、これはまぎれもなく青春映画。
しかも相当出来がいい。
脚本の完成度が高く、笑いのセンスもすばらしい。
高校生たちの行動がいささか幼すぎること、あれだけの仲良したちが卒業から25年も会わないのは信じがたいこと、などなど、気になることはいくつかあるが、まあいいではないか。
去年、日本でも篠原涼子・広瀬すずの主演でリメイクされたらしい。
どこまで本家に迫れたか、ちょっと気になる。

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修道女たち [本]

7月20日(土)
ケラリーノ・サンドロヴィッチ『修道女たち』(白水社)読了。

修道女たち

修道女たち

  • 作者: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2018/11/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


一世紀ほど前のヨーロッパのどこか。
6人の修道女が旅の支度をしている。
国王の弾圧が強まり、43人の修道女が殺されたが、残された6人は毎年恒例の巡礼を実行する。
行き先は田舎の山荘で、6人を迎えたのは頭の弱い娘オーネジーだった。
オーネジーは修道女の一人ニンニと親しく、自分も修道女になりたいと思っていた……。

ケラ氏の本を読むのは久しぶりで、これが3冊目。
帯に「マジックリアルな群像劇」とある通り、リアリズムの手法で描かれているが、現実ではない。
修道女たちが信仰しているのはキリスト教とは別の宗教で、「アーメン」のかわりに「ギッチョダ」と唱える。
不思議な物語。

今日は池袋あうるすぽっとへ行き、『春春(ボムボム)』という芝居を見てきましした。
一色洋平君が出演しているのです。
スズキ拓郎氏の演出による、韓国の昔話を題材にした、ファミリー向けのパフォーマンス。
2年前に韓国で上演したものの再演で、韓国の俳優も5人出演していました。
セリフはほとんどないので、問題ナシ。
一色君がソロで歌うシーンもあり,大活躍でした。
終演後、楽屋に行き、一色君に挨拶をしました。
今日が初日で、公演は7月28日(日)までです。

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ラン・ローラ・ラン [映画]

7月20日(土)
トム・ティクヴァ監督『ラン・ローラ・ラン』(1998年)GYAOで鑑賞。

ラン・ローラ・ラン [DVD]

ラン・ローラ・ラン [DVD]

  • 出版社/メーカー: コムストック・グループ
  • メディア: DVD


午前11時40分、ベルリン。
ローラ(フランカ・ポテンテ)の部屋に、恋人のマニ(モーリッツ・ブライブトロイ)から電話がかかってくる。
マニは薬の運び屋で、今日の取引の後、ローラがバイクで迎えに行く約束だった。
が、ローラはバイクを盗まれ、行けなかった。
マニは止むを得ず電車に乗り、車内に金の入った袋を置き忘れたと言う。
12時までに金を持っていかないと、ボスに殺される!
残り20分、ローラは部屋を飛び出した!

ドイツ映画で、上映時間はわずか81分だが、おもしろいおもしろい!
ここからはややネタバレになるが、ローラは3回走る。
映画の始まりから約25分後、ローラは12時に間に合わず、マニは待ち合わせ場所の近くのスーパーに強盗に入る。
ローラもそれに加わり、警官に撃たれ、死ぬ。
すると、時計が巻き戻され、マニからの電話を切った直後に戻り、再び走り始める。
というふうに、合計3回、挑戦が繰り返されるのだ。
20分という短い時間にしたのは、これが目的だったのだ。
3回の挑戦は途中で全く同じことが起きたり、微妙に違ったり、しかし次第にずれ始め、全く別々の結末を迎える。
『メメント』の実験性と『恋はデジャブ』のエンタメ性を併せ持つ快作。
お薦めです。

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死者のための音楽 [本]

7月19日(金)
山白朝子『死者のための音楽』(メディアファクトリー)読了。

死者のための音楽 (角川文庫)

死者のための音楽 (角川文庫)

  • 作者: 山白朝子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2013/11/22
  • メディア: 単行本


中学生の「私」は、小説家の父と山の近くに住んでいた。
ある日、大きな黒い鳥が屋根に引っかかっていた。
父はその鳥を動物病院に連れていった。
鳥は翼の骨が折れていたので、家に置いておくことになった。
怪我は1カ月で治ったが、鳥は家に住み続けた。
3年後の冬休み、「私」が祖母の家に行っている間に、父が強盗に殺された。
鳥も姿を消していた…。

山白朝子氏の短編集で、上記は『鳥とファフロッキーズ現象について』。
「山白朝子」は乙一氏の別名義で、僕が読むのはこれが2冊目。
ミステリーのような、お伽話のような、不思議な話7編が収録されている。
僕は上記の『鳥とファフロッキーズ現象について』が一番気に入った。
「ファフロッキー現象」とは、空から異様な物が降ってくる現象のことらしい。
山白氏は、それと昔話の『鶴の恩返し』を組み合わせて、何とも魅力的な物語に仕立て上げた。
さすがである。

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余命90分の男 [映画]

7月19日(金)
フィル・アルデン・ロビンソン監督『余命90分の男』(2013年)他4本、鑑賞。

余命90分の男 [DVD]

余命90分の男 [DVD]

  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • メディア: DVD



オールド・ボーイ [Blu-ray]

オールド・ボーイ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: Blu-ray



愛の渦 [DVD]

愛の渦 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD



放浪記 [DVD]

放浪記 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



7番房の奇跡 [レンタル落ち]

7番房の奇跡 [レンタル落ち]

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: DVD


フィル・アルデン・ロビンソン監督『余命90分の男』(2013年)
ロビン・ウィリアムスの最後の主演作。この映画の中では自殺を思い止まったのに。

スパイク・リー監督『オールド・ボーイ』(2013年)
2003年のパク・チャヌク監督の同名作のリメイク。原作に忠実で、丁寧な作りだが、狂気は消えた。

三浦大輔監督『愛の渦』(2014年)
原作は劇団ポツドールで三浦氏が脚本・演出を担当した芝居で、僕は脚本は既読。これはコメディだと思う。

成瀬巳喜男監督『放浪記』(1962年)
原作は林芙美子の半生記で、僕は既読。森光子主演の芝居で有名になったが、映画版の主演は高峰秀子。

イ・ファンギョン監督『7番房の奇跡』(2013年)
泣ける名作として有名な作品だが、現実感がなく、ひたすら甘い。しかし、子役の女の子はムチャクチャ可愛かった。
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トイ・ストーリー4 [映画]

7月18日(木)
ジョシュ・クーリー監督『トイ・ストーリー4』(2019年)新宿ピカデリーで鑑賞。

トイ・ストーリー4 ビジュアルガイド

トイ・ストーリー4 ビジュアルガイド

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/20
  • メディア: 大型本


幼い女の子ボニーの家で暮らし始めたウッディ(声/唐沢寿明)と仲間たち。
しかし、ウッディは次第に遊び相手に選ばれなくなっていく。
ある日、ボニーが保育園のお試し保育に行くことになり,心配したウッディはカバンの中に忍び込む。
人見知りのボニーは、ウッディの隠れたアシストにより、保育園になじみ、使い捨てのフォークを使ったオモチャ・フォーキーを作る。
家に帰ったウッディは、フォーキーを仲間たちに紹介するが、本人は自分がゴミだと思っていて、やたらにゴミ箱に入りたがる。
次の日、ボニーの一家はオモチャたちも連れて、ドライブに出かけた……。

大好きな『トイ・ストーリー』シリーズの第四作、吹き替え版を、妻と二人で見てきました。
このシリーズの質の高さは間違いなく、第四作も大いに楽しむことができたが、感動という点では、過去の三作に及ばなかった。
ここまでおもしろいものに文句を付けるのは心苦しいが、やはり3があまりにも見事にシリーズを終わらせてしまったことに原因がある。
僕は2がベストだが、近年、3ほど泣けた映画は他にない。
あれを見せられたら、どうしたって、期待してしまう。
4はけっして期待外れではなかったが、物足りないと思ってしまったのも事実。
大傑作の続編は本当に難しい。
ピクサーに同情する。

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カーテンコール! [本]

7月18日(木)
加納朋子『カーテンコール!』(新潮社)読了。

カーテンコール!

カーテンコール!

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: 単行本


萌木女学園はお嬢様学校として有名だったが、入学者が減り、4年前に廃校が決定。
最後の学年が卒業という時期に来て、困った事態が発生した。
10人の学生が、単位が足りず、卒業できなくなったのだ。
理事長の角田大造は、半年間の特別補講を決定し、10人を寮に集めた。
ここでのスパルタ授業に半年間耐え抜けば、卒業させると宣言。
筋金入りのぐーたら女子大生たちの、熱い日々が始まった……。

加納朋子氏の本はこれが24冊目。
ぐーたら女子大生たちは、様々な精神的病気を抱えていた。
加納氏は元々はミステリー作家だが、急性白血病から生還して以来、病気を題材にした小説を書くようになった。
この本も、ミステリーというより、心を病んだ女子大生たちの青春群像劇。
理事長の角田がすばらしい教育者で、彼のセリフがいちいち胸に染みた。

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オールド・ボーイ [映画]

7月17日(水)
パク・チャヌク監督『オールド・ボーイ』(2003年)netflixで鑑賞。

オールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]

オールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ショウゲート
  • 発売日: 2011/10/17
  • メディア: DVD


1988年、サラリーマンのオ・デス(チェ・ミンシク)は、娘の誕生日に泥酔して、警察に補導される。
友人が引き取りに来てくれたが、帰り道で何者かに拉致される。
気が付くと狭い部屋に監禁されていた。
テレビのニュースで、妻が惨殺されたことを知る。
そして、15年が経つ。
15年後、外に出たデスは、鮨屋に入り、板前の若い女性ミド(カン・ヘジョン)と知り合う。
ミドの協力を得て、デスは自分を監禁した人間への復讐を開始する……。

カンヌ映画祭グランプリ受賞作。
現実感は全くないが、先の全く読めない展開が、無類のおもしろさ。
犯人の設定と動機にはガッカリしたが、それでもこの映画の発想の斬新さ、センスの良さは大したもの。
10年後、ハリウッドでリメイクされたのも当然。
お薦めです。

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