氏名の誕生

５月２７日（金）
尾脇秀和『氏名の誕生』（ちくま新書）読了。

氏名の誕生　――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)

• 作者: 尾脇秀和
• 出版社/メーカー: 筑摩書房
• 発売日: 2021/04/16
• メディア: Kindle版

神戸大学経済経営研究所研究員、佛教大学非常勤講師の尾脇秀和が、明治初期における、氏名の制度の改革を解説する。

氏名に対する考え方が、江戸時代は今と全く違っていた。
また、公家、武士、平民の間でも違っていた。
だから、明治初期の制度改正は激しく混乱した。
その経緯は複雑で、読んでいて、あまりおもしろいものではなかった。
残念。

今日は１３１５から１５０５まで、都立総合芸術高校の「戯曲研究」の授業。
ワンツーワークスの古城さんに頼まれて、代講してきました。
戯曲の書き方を説明し、『無伴奏ソナタ』の１場を読み合わせしました。
終了後、サンシャイン劇場へ。
辻村深月シアター『かがみの孤城』『ぼくのメジャースプーン』の本番３日目。
１９００より、『ぼくのメジャースプーン』の２ステージ。
一昨日の初日より断然盛り上がり、おもしろくなりました。
今日も辻村深月がいらしていて、「一昨日より良かった」と仰っていました。
また明日が楽しみになりました。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。

はじめてのおもてなし

５月２７日（金）
ジーモン・ファーフーフェン監督『はじめてのおもてなし』（２０１６年）GYAOで鑑賞。

はじめてのおもてなし Blu-ray

• 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
• 発売日: 2018/08/17
• メディア: Blu-ray

ドイツ。
アンゲリカ・ハートマン（センタ・バーガー）元教師で、定年退職後は専業主婦をしている。
夫のリヒャルト（ハイナー・ラウターバッハ）は大病院の医長で、現役バリバリ。
アンゲリカは生き甲斐を求めて、難民を自宅に引き取りたいと言い出す。
リヒャルト、長男のフィリップ（フロリアン・ダーヴィト・フィッツ）、長女のゾフィ（パリーナ・ロジンスキー）は反対するが、耳を貸さない。
自宅で候補者の面接をし、ナイジェリア難民の青年ディアロ・マカブリ（エリック・カボンゴ）を引き取ることにする‥‥。

原題は、『Willkommen bei den Hartmanns』。
ドイツで大ヒットし、２０１６年度の興行収入第１位になったらしい。
確かに上質なコメディで、楽しめた。
監督のジーモン・ファーフーフェンは、主演のセンタ・バーガーと、プロデューサーのミヒャエル・ファーフーフェンの息子らしい。
家族で映画を作るというのもいい。
お薦めです。

誰も死なないミステリーを君に／眠り姫と五人の容疑者

５月２６日（木）
井上悠宇『誰も死なないミステリーを君に／眠り姫と五人の容疑者』（ハヤカワ文庫）読了。

誰も死なないミステリーを君に　眠り姫と五人の容疑者 (ハヤカワ文庫JA)

• 作者: 井上 悠宇
• 出版社/メーカー: 早川書房
• 発売日: 2021/09/16
• メディア: Kindle版

佐藤推人は高校生で、母と二人暮らし。
学校の屋上で出会った遠見志緒は、他人の死期がわかる。
死期が近い人間の顔に現れた黒い線、「死線」が見えるのだ。
志緒は、「死線」が出た人を何度も救おうとしてきたが、一度も救えなかった。
ある日、街角で歌う有瀬奏音（かのん）と出会う。
奏音の顔にも、「死線」が見えた。
佐藤は、志緒からその話を聞き、奏音を救おうと言い出す‥‥。

井上悠宇氏の本はこれが５冊目。
『誰も死なないミステリーを君に』シリーズの第三作。
第一作は傑作で、強い衝撃を受けたが、第三作はそこまで行かなかった。
高校内での違法ドラッグの密売という事件に、現実感を感じなかった。
残念。

辻村深月シアター『かがみの孤城』『ぼくのメジャースプーン』の小屋入り６日目。
１４３０から『かがみの孤城』のでゲネプロ。
妻が見に来て、「おもしろかった」と言ってくれました。
で、１９００から本番初日。
上演時間は１時間５３分。
私の目から見ても見事な出来で、カーテンコールはトリプルまで行きました。
今日も辻村深月さんが見に来て、ヒロインの田野優花さんを絶賛していました。
「ウレシノ」役の松崎浩太郎くんがお客さんにウケまくっていて、とてもうれしかった。
本人も喜んでいました。
明日も頑張ります。

ジェントルメン

５月２６日（木）
ガン・リッチー監督『ジェントルメン』（２０１９年）WOWOWで鑑賞。

ジェントルメン [Blu-ray]

• 出版社/メーカー: Happinet
• 発売日: 2021/10/20
• メディア: Blu-ray

ミッキー・ピアソン（マシュー・マコノヒー）はアメリカの貧困家庭で生まれ育ったが、奨学金を得てオックスフォード大学に進学。
在学中、裕福な家に生まれ育った学生たちにマリファナを売るビジネスを始め、大学を退学。
裏社会でのし上がっり、イギリス最大の組織の長となった。
が、妻のロザリンド（ミシェル・ドッカリー）と田舎で平穏に暮らすため、組織をアメリカの富豪マシュー・バーガー（ジェレミー・ストロング）に４億ポンドで売ることにした。
ところが、その直後、中国のギャングのドライ・アイ（ヘンリー・ゴールディング）からも、「事業を買収したい」というオファーが来た‥‥。

原題は、『The Gentlemen』。
ガイ・リッチー監督の映画はこれが７本目。
エンタメ作品を巧みな脚本とシャープな映像で撮る人で、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』 (1998年）で注目され、 『スナッチ』 (2000年）で一流監督の仲間入り。
『シャーロック・ホームズ』 (2009年）、『シャーロック・ホームズ／シャドウ ゲーム 』 (2011年） の２本は特にすばらしい出来だった。
この『ジェントルメン』も上質なサスペンス。
しかし、マリファナの密売組織に興味は持てず、あまり楽しめなかった。
他に、チャーリー・ハナム、コリン・ファレル、ヒュー・グラントらが出演。

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ [Blu-ray]

• 出版社/メーカー: キングレコード
• 発売日: 2021/08/04
• メディア: Blu-ray

スナッチ [Blu-ray]

• 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
• 発売日: 2010/04/16
• メディア: Blu-ray

映画を早送りで観る人たち

５月２５日（水）
稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』（光文社新書）読了。

映画を早送りで観る人たち～ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形～ (光文社新書)

• 作者: 稲田 豊史
• 出版社/メーカー: 光文社
• 発売日: 2022/04/12
• メディア: Kindle版

元・ギャガ、元・キネマ旬報社、現・ライターの稲田豊史が、映画を早送りで観る若者たちを切り口にして、１９９５年生まれ以降のいわゆる「Z世代」の感覚を分析・解説する。

今年一番の、衝撃の書だった。
Z世代の７５パーセントが、映画を早送りしたり、１０秒飛ばししながら見ている。
いや、そのこと自体に驚きはない。
早送りや１０秒飛ばしは、僕もやっているから。
驚いたのは、稲田氏が取材した若者たちの発言。
〇「監督に興味はない。自分は映画の表側が好きで、裏側は別に知りたくない」
〇（早送りで観たら伏線を見逃したりするのでは？という疑問に対し）「普通の速さで見ても見逃すだろうから、別に気にしない」
〇「先にラストを見ておくと安心して見られる」
〇「ハズレをつかみたくないから、ネタバレサイトなどをチェックしてから見る」
〇「主人公が酷い目に遭うものは見たくない」
〇「サプライズはいらない。動揺したくない」
コスパ第一、タイパ第一。
主人公は無敵が鉄板。
この人たちを満足させる芝居は、どうやったら作れるのだろう？
久しぶりに絶望を感じた。
が、諦めずに考えようと思う。
タイトルはあくまでも入口で、現代の若者の感覚を深く掘り下げた、非常にためになる本。
お薦めです。

辻村深月シアター『ぼくのメジャースプーン』、本日初日でした。
原作者の辻村深月がいらして、たくさんの褒め言葉を頂戴しました。
うれしー！
妻も見に来て、主役の田中亨くんを褒めていました。
上演時間は１時間５５分弱。
終演後、アフタートークがありました。
岡田達也が司会で、田野優花さん、田中亨くん、僕が出演。
５月１８日～２２日の５日間、すべての作業が停止しましたが、その間、岡田達也と田中亨くんは、自主練習をしていたそうです。
おかげで、初日とは思えない、すばらしい芝居になりました。
『ぼくのメジャースプーン』は残り２ステージです。
ぜひぜひご来場ください。
あ、でも、明日は『かがみの孤城』の初日です。
良かったら、そちらもぜひ！

ウェディング・クラッシャーズ

５月２５日（水）
デヴィッド・ドブキン監督『ウェディング・クラッシャーズ』（２００５年）NETFLIXで鑑賞。

ウエディング・クラッシャーズ [Blu-ray]

• 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
• 発売日: 2014/12/03
• メディア: Blu-ray

ジョン（オーウェン・ウィルソン）とジェレミー（ヴィンス・ヴォーン）は、弁護士事務所の共同経営者。
毎年ウェディング・シーズンになると、他人の結婚式に親族になりすまして乱入し、出席者の若い女性をナンパしていた。
ある日、二人は、財務長官ウィリアム（クリストファー・ウォーケン）の娘の挙式に侵入する。
しかし、ジョンは、婚約者のいる次女クレア（レイチェル・マクアダムス）を本気で好きになってしまう。
一方、ジェレミーは、三女グロリア（アイラ・フィッシャー）を遊びのつもり抱いたが、「初体験だった」と告白され、彼女に付きまとわれてしまう‥‥。

原題は、『Wedding Crashers』。
主人公たちの設定はひどいが、中身はオーソドックスなロマンティック・コメディ。
オーウェン・ウィルソンが可愛い。
レイチェル・マクアダムスの婚約者の役で、ブラッドリー・クーパーが出演。
典型的な悪役で、まだ売れてなかったから引き受けたのだろうが、見事に役割を果たしていた。
また、ウィル・フェレルが友人役で、１シーンだけ出演。
意外性は全くないが、とても楽しめた。

殺し屋、続けてます。

５月２４日（火）
石持浅海『殺し屋、続けてます。』（文春文庫）読了。

殺し屋、続けてます。 (文春文庫 い 89-3)

• 作者: 石持 浅海
• 出版社/メーカー: 文藝春秋
• 発売日: 2021/11/09
• メディア: 文庫

冨澤充は経営コンサルタントだが、裏の稼業は殺し屋。
冨澤と依頼主の間には２人の仲介者が入っていて、冨澤には市役所で働く塚原俊介という男から連絡が来る。
報酬は１人につき、６５０万円。
期日の指定、凶器の指定などのオプションも、別料金で引き受ける。
今回のターゲットは、高松桃華、２１歳の女性だった‥‥。

石持浅海氏の本はこれが３７冊目。
『殺し屋、やってます』の続編。
主人公が殺し屋なのに、ミステリーとしては「日常の謎」派という、ちょっと変わったシリーズ。
短編７つを収録していて、作品ごとに視点が変わる。
前作は設定の奇抜さに驚いたが、今作はトリックに無理が目立ち、あまり楽しめなかった。

辻村深月シアター『かがみの孤城』『ぼくのメジャースプーン』の仕込み４日目。
『ぼくのメジャースプーン』の場当たりと、ゲネプロをやりました。
場当たりは１１時開始で、１８時終了予定だったのに、１５３０に終わってしまい、１９時開始予定だったゲネプロが、１８３０に繰り上がりました。
すべてが順調。
ゲネプロも良い出来で、上演時間は１時間５５分ちょっと。
通し稽古より１分短くなって、非常にテンホが良くなりました。
明日は、『ぼくのメジャースプーン』の本番初日。
頑張ります！

CURE

５月２４日（火）
黒沢清監督『CURE』（１９９７年）NETFLIXで鑑賞。

CURE [DVD]

• 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
• 発売日: 2016/03/25
• メディア: DVD

娼婦が惨殺される事件が発生。
被害者は首から胸にかけて、X字型に切り裂かれていた。
犯人は現場で逮捕されたが、なぜ殺したのか説明できない。
被害者がX字型に切り裂かれる事件は、これが３件目。
刑事の高部賢一（役所広司）は、友人の心理学者・佐久間（うじきつよし）に、犯人たち精神分析を依頼する。
一方、一人の男（萩原聖人）が海岸をふらふらと歩いていた。
海岸にいた花岡（戸田昌宏）という小学校の教師が男を自宅に連れて帰り介抱する。
が、男は自分の名前や今いる場所も分からない様子で、衣服には「間宮」というクリーニング屋の名札がつけられていた‥‥。

東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、役所広司が最優秀男優賞を受賞。
その後、海外でも紹介され、特にフランスで高い評価を受けた。
黒沢清監督が国際的に知られるきっかけとなった映画。
確かに上質なサスペンスで、「間宮」という男の正体がわかってからは、ずっとハラハラドキドキしていた。
萩原聖人が実にイヤな感じの男を上手に演じていた。
他に、中川安奈、洞口依子、でんでん、螢雪次朗、大杉漣、田中哲司らが出演。
お薦めです。

トラウマ恋愛映画入門

５月２３日（月）
町山智浩『トラウマ恋愛映画入門』（集英社）読了。

トラウマ恋愛映画入門 (集英社文庫)

• 作者: 町山 智浩
• 出版社/メーカー: 集英社
• 発売日: 2016/09/16
• メディア: 文庫

アメリカ在住の映画評論家・町山智浩が、少年時代・青年時代に見て、トラウマになった恋愛映画２２本を紹介・解説する。

２２本中、１１本は見たことがあった。
見てなくて、見たいと思ったのは、
『チェイシング・エイミー』（１９９７年）
『アルフィー』（１９６６年）
『逢びき』（１９４５年）
『永遠の愛に生きて』（１９９３年）
などなど。
恋愛映画は時としてホラー映画より怖い、と町山氏は言う。
全くその通り。

１０時から、キャラメルボックス俳優教室の３回目の授業。
ストレッチ、筋トレ、発声練習、１対２のディベート、台本練習をやりました。
終了後、池袋サンシャイン劇場へ。
辻村深月シアター『かがみの孤城』『ぼくのメジャースプーン』の仕込み３日目。
１６時から、『かがみの孤城』の場当たり。
最初に、川崎悦子先生がダンスシーンを見てくれました。
その後、１場から当たって、非常に順調に進み、２０時に１０場が終わったところで、今日はおしまい。
残りの１１・１２場は、明後日に持ち越し。
芝居をするのは１週間ぶりでしたが、全くブランクを感じませんでした。
マスクを外して演技したので、表情が見られて、とても楽しめました。
本番が楽しみです。
皆様のご来場を心からお待ちしています。

ラムスプリンガ／僕の未来を探す旅

５月２３日（月）
ミラ・ティール監督『ラムスプリンガ／僕の未来を探す旅』（２０２２年）NETFLIXで鑑賞。

ジェイコブ（ヨナス・ホルデンリーダー）は、アメリカのペンシルバニアに住むアーミッシュの青年。
アーミッシュの通過儀礼・ラムスプリンガのため、親戚がいるドイツへ行く。
ところが、空港を出た途端、荷物を知らない女性に持っていかれてしまう。
ジェイコブはすぐに後を追いかけるが、街中で迷子になってしまう。
そんな彼を助けてくれたのが、アーミッシュふうのヒゲを生やした、アルフ（ティムール・バルテルス）だった‥‥。

原題は、『Rumspringa』。
ドイツ映画で、Netflixで配信された。
ラムスプリンガは、アーミッシュの青年の通過儀礼で、一定期間外部のコミュニティで生活し、アーミッシュとして生きるか現代社会で生きるか決める。
アーミッシュのタブーである、飲酒、歌、ダンス、車の運転などが、この期間はフリーになる。
しかし、内気なジェイコブはなかなか禁を破れない。
アメリカ人のアーミッシュと、ドイツ人の青年の友情を描いた、青春コメディ。

アーミッシュの昨日・今日・明日

• 出版社/メーカー: 論創社
• 発売日: 2022/05/23
• メディア: 単行本

アーミッシュカントリーの美しい暮らし

• 出版社/メーカー: エムジェイブックス
• 発売日: 2020/01/25
• メディア: 単行本（ソフトカバー）