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サマーゴースト [本]

1月26日(木)
乙一『サマーゴースト』(集英社)読了。

サマーゴースト

サマーゴースト

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: 単行本


高校生の杉崎友也、春川あおい、小林涼の3人はインターネットで知り合った自殺志願者。
杉崎友也は絵を描くことが好きだが、母親に禁止されている。
春川あおいは学校でイジメに遭っている。
小林涼は不治の病で死が近い。
3人は夏の間だけ、飛行場跡に出ると言われているサマーゴーストに会いに行く。
サマーゴーストは自殺した女の霊だという噂で、自殺経験者の彼女にいろいろ質問したかった。
飛行場跡に侵入して、線香花火を点けると、サマーゴーストは現れた。
彼女の名前は佐藤絢音で、自殺ではななく、何者かに殺されていた‥‥。

『サマーゴースト』は、イラストレーターのloundrawが原案・監督の短編アニメーション映画。
2021年11月に全国で公開された。
脚本は安達寛高こと、乙一氏。
その乙一氏が、自分の脚本を自分でノベライズしたのが、この本。
ライトなファンタジーで、原案が別の人のためか、乙一氏らしいエッジの鋭さがなかった。
先日読んだ乙一氏による姉妹編『一ノ瀬ユウナが浮いている』の方がずっとおもしろかった。

一ノ瀬ユウナが浮いている

一ノ瀬ユウナが浮いている

  • 作者: 乙一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/11/26
  • メディア: 単行本



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レネットとミラベル/四つの冒険 [映画]

1月26日(木)
エリック・ロメール監督『レネットとミラベル/四つの冒険』(1987年)AmazonPrimeで鑑賞。

レネットとミラベル 四つの冒険 [DVD]

レネットとミラベル 四つの冒険 [DVD]

  • 出版社/メーカー: シネマクガフィン
  • 発売日: 2022/09/30
  • メディア: DVD


「青い時間」
パリから来たミラベル(ジェシカ・フォルド)は、自転車のタイヤがパンクして、困っていた。
それに通りかかったのが、レネット(ジョエル・ミケル)。
近くにあった自宅に連れていき、あっという間に直してしまう。
レネットの自宅は古い納屋で、そこで絵を描きながら、独り暮らしをしていた。
彼女はミラベルに、ここは夜明け前の一瞬、完全に音のない世界になると話した。
それを彼女は「青い時間」と呼んでいた‥‥。

原題は『Quatre aventures de Reinette et Mirabelle』。
「青い時間」「カフェのボーイ」「物乞い 窃盗常習犯 女詐欺師」「絵の売買」の4話から成る連作短編集。
「喜劇と格言劇」シリーズの最終作『友だちの恋人』の撮影の合間に撮られたらしい。
どの話も気が利いていて、楽しめた。
ちょっとイタい田舎者のレネットと、優しい都会派のミラベル。
この二人の組み合わせがすばらしい。
恋愛の要素が全くなかったのもよかった。
気楽に作られた作品のようだが、「喜劇と格言劇」シリーズ6作のどれよりもおもしろい。
お薦めです。

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友だちの恋人 [映画]

1月25日(水)
エリック・ロメール監督『友だちの恋人』(1987年)AmazonPrimeで鑑賞。

友だちの恋人 [DVD]

友だちの恋人 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2022/08/19
  • メディア: DVD


夏。
パリ郊外のセルジー・ポントワーズの市役所の職員食堂で、文化事業部に勤めるブランシュ(エマニュエル・ショーレ)は、大学4年のレア(ソフィー・ルノワール)と出会い、友達になる。
昼休み、市営プールでブランシュがレアに水泳を教える。
そこで、レアの恋人ファビアン(エリック・ヴィラール)の友人アレクサンドル(フランソワ・エリック・ゲンドロン)と出会い、好意を抱く。
レアはファビアンに嘘をつき、他の男友達とバカンスに出かける。
レアに取り残されたファビアンは、ブランシュをウィンド・サーフィンに誘う。
ファビアンはブランシュに魅かれるが、ブランシュはアレクサンドルのことが忘れられない‥‥。

原題は『L'AMI DE MON AMIE』、英題は『BOYFRIENDS AND GIRLFRIENDS』。
「喜劇と箴言集」シリーズの6作目。
男女の四角関係を描いたロマコメで、これはシリーズの中でも出来の良い方。
それにしてもフランスの男女の恋愛は実に軽く、くっつく別れる浮気するがあまりにも簡単に繰り返される。
まるでフォークダンスでも見ているよう。
まさに80年代の映画だと思う。

今日は神奈川県相模原市のシュタイナー学園高等部に行き、演劇の授業を行ってきました。
先週に続き、2回目。
内容は、発声練習と台本練習。
発声練習は、母音法をみっちりやりました。
台本練習では何組かに、前に出て、読み合わせをしてもらいましたが、女子の声がみんな小さい小さい。
11年生の英語劇の本番は2月と聞いたので、とても心配になってしまいました。
各自で復習してくれるとよいのですが。
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孤蝶の城 [本]

1月25日(水)
桜木紫乃『孤蝶の城』(新潮社)読了。

孤蝶の城

孤蝶の城

  • 作者: 桜木 紫乃
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/05/18
  • メディア: 単行本


昭和中期、東京。
平川秀男は釧路生まれで、30歳。
ゲイボーイ・タレント「カールバル真子」として、テレビで活躍中。
夜は銀座のクラブ「エル」でホステスをしていた。
陰嚢・睾丸は既に除去していたが、さらに陰茎を除去し、造膣を行うため、モロッコに向かう。
手術は何とか成功するが、医師の不手際から患部が化膿し、生死を彷徨う。
が、日本人の性転換者の第一号の称号を得る。
帰国後、仕事に復帰。
すべてはテレビタレントとしての人気の維持のためだったが、すぐに次の話題が必要になってくる‥‥。

桜木紫乃氏の本はこれが25冊目。
カルーセル麻紀氏をモデルにした小説『緋の河』(2019年)の続編。
桜木氏のインタビューによれば、カルーセル氏の許可を取り、本人への取材なしで書いたらしい。
しかし、当時の資料はかなり調べたらしく、実在の人物をモデルにした人々が次々と出てくる。
藤圭子、美輪明宏、黒柳徹子などなど。
性転換者の欲望、喜び、したたかさ、苦悩をこれでもかと描いていて、グイグイ読ませる。
『緋の河』『孤蝶の城』2冊セットでお薦めです。

緋の河 (新潮文庫)

緋の河 (新潮文庫)

  • 作者: 桜木 紫乃
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/03/28
  • メディア: 文庫



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ハケンアニメ! [映画]

1月24日(火)
吉野耕平監督『ハケンアニメ!』(2022年)AmazonPrimeで鑑賞。

ハケンアニメ! [Blu-ray]

ハケンアニメ! [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2022/09/28
  • メディア: Blu-ray


斎藤瞳(吉岡里帆)は連続アニメ『サウンドバック 奏の石』の映画化で、念願だった監督デビューを果たす。
瞳を抜擢したプロデューサーの行城理(柄本佑)は、ビジネス優先で雑多な宣伝活動を瞳に押し付ける。
瞳の最大のライバルは、憧れの天才監督の王子千晴(中村倫也)の復帰作『運命戦線リデルライト』。
プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)は、王子の才能に惚れぬいていたが、突然、王子が失踪してしまう。
最高視聴率を上げ、ハケンを獲るのはたしてどっちか?

辻村深月さんの同名小説の映画化。
原作は3話に分かれていたが、映画ではそれを同時並行で描いた。
辻村さんも企画段階から関わっていたらしい。
この映画で、僕は吉岡里帆という人を見直した。
もともとキレイな人だが、監督の「斎藤瞳」役に徹して、終始、キレイに見えないようにしていた。
若い女優がそう思い切ることはあまりない。
森淳一監督『見えない目撃者』(2019年)の主役も良かった。
これから注目していこうと思う。
他に、工藤阿須加、小野花梨、古館寛治、徳井優、六角精児らが出演。

見えない目撃者 [DVD]

見えない目撃者 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: DVD



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緑の光線 [映画]

1月24日(火)
エリック・ロメール監督『緑の光線』(1986年)AmazonPrimeで鑑賞。

緑の光線 [DVD]

緑の光線 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2022/08/19
  • メディア: DVD


オフィスで秘書をしているデルフィーヌ(マリー・リヴィエール)は20歳前半で、彼氏がいない。
7月に入ってすぐ、ギリシア行きのヴァカンスを約束していた女友達から、急にキャンセルの連絡が来た。
デルフィーヌは途方に暮れたが、すぐに別の女友達がシェルブールに誘ってくれた。
が、別荘に集まった人々に馴染めず、一人で海を見てばかり。
8月、今度は山に出かけたが、そこでも出会いはなかった。
さらにまた海に出かけ、そこで偶然、老人たちのおしゃべりを聞く。
それはジュール・ヴェルヌの『緑の光線 』の話で、太陽が沈む瞬間に放つ緑の光線は幸運の印だという‥‥。

原題は『Le Rayon vert』。
「喜劇と格言劇」シリーズ第5作で、引用された詩は「Ah,que le temps vienne...Où les cœurs s'éprennent 」 (アルチュール・ランボー)。
1986年度ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
僕がこの映画を見るのは二度目。
大昔に見たので、ラストの、緑の光線を見るシーンしか覚えてなかった。
このシリーズはロマコメに分類されると思うが、5作目の『緑の光線』にはコミカルな要素がほとんどない。
ヒロインは孤独で、何度も泣く。
あまりおもしろい話ではないが、ラストの緑の光線に救われる。

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満月の夜 [映画]

1月23日(月)
エリック・ロメール監督『満月の夜』(1984年)AmazonPrimeで鑑賞。

満月の夜 [DVD]

満月の夜 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2022/08/19
  • メディア: DVD


パリ近郊の住宅地に建つモダンなアパート。
ルイーズ(パスカル・オジエ)とレミ(チェッキー・カリョ)は同棲中だが、近頃は口喧嘩が絶えない。
夜遊びが好きなルイーズに対し、レミは毎朝ジョギングに精を出す。
ルイーズはパリに自分だけの部屋を借りることにする。
ルイーズにはオクターヴ(ファブリス・ルキーニ)というボーイフレンドがいた。
オクターヴには妻子がいたが、ルイーズに激しい恋心を抱いていた。
しかし、ルイーズは友達以上の感情をもっていない。
ある日、パーティで、ルイーズはバスチアン(クリスチャン・ヴァデム)という美青年と知り合う。
オクターヴの忠告も聞かず、ルイーズはバスチアンの誘いに乗る‥‥。

原題は『Les nuits de la pleine lune』英題は『Full Moon Nights』。
「喜劇と箴言」シリーズの第4弾。
この映画の箴言は、「Qui a deux femmes perd son âme, qui a deux maisons perd la raison」で、意味は「女が2人いると魂を失う。家が2つあると心を失う」。
例によって、おしゃべり中心の、ライトなロマコメ。
4作の中で、最も出来が落ちると感じた。
が、脇役のファブリス・ルキーニが、妙に味があって、印象に残った。
作品自体がイマイチでも、いい役者に出会えると、やっぱりうれしい。

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イヴォンヌの香り [映画]

1月23日(月)
パトリス・ルコント監督『イヴォンヌの香り』(1994年)WOWOWで鑑賞。

イヴォンヌの香り HDニューマスター版 [DVD]

イヴォンヌの香り HDニューマスター版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: エスピーオー
  • 発売日: 2010/09/03
  • メディア: DVD


ヴィクトール(イポリット・ジラルド)は12年前を回想する。
1958年、夏。
30歳の彼は徴兵を回避し、フランスのレマン湖畔のホテル・エルミタージュに滞在していた。
彼はそこで若く美しいイヴォンヌ(サンドラ・マジャーニ)と出会う。
彼女は50歳ほどのゲイの医師ルネ・マント(ジャン・ピエール・マリエル)と一緒だった。
ヴィクトールは、自分はロシア人の伯爵だと偽った。
イヴォンヌは女優だと言う。
2人は惹かれ合い、愛し合い始める‥‥。

原題は『Le Parfum d'Yvonne』。
ライトで、ちょっと風変わりなラブロマンスで、これがパトリス・ルコント監督の作風。
代表作は『仕立て屋の恋』 (1989)、『髪結いの亭主』 (1990)だが、どちらもそんな感じだった。
が、『イヴォンヌの香り』は話が単純すぎて、上記の2作よりは大分落ちる。
主人公のヴィクトールも、仕事をせず、ロシア貴族と偽って女を口説くいけ好かないヤツで、感情移入のしようがなかった。
ただし、ゲイの医師「ルネ・マント」役のジャン・ピエール・マリエルがユニークでおもしろかった。

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黄色い竜 [本]

1月22日(日)
村上康成『黄色い竜』(徳間書店)読了。

黄色い竜

黄色い竜

  • 作者: 村上康成
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2022/06/18
  • メディア: 単行本


村上康成『青いヤドカリ』(徳間書店)読了。

青いヤドカリ

青いヤドカリ

  • 作者: 村上 康成
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2001/06/01
  • メディア: 大型本


村上康成『石のきもち』(ひさかたチャイルド)読了。

石のきもち―この星の上で

石のきもち―この星の上で

  • 作者: 村上 康成
  • 出版社/メーカー: ひさかたチャイルド
  • 発売日: 2010/05/01
  • メディア: 単行本


1955年、岐阜県の郡上八幡生まれの絵本作家・村上康成の本3冊。

『黄色い竜』は、村上康成氏初めての小説。
田舎町で暮らす10歳の少年のひと夏を描く。
虫・魚・植物の名前がたくさん出てきて、まさに自然に溢れた小説だった。
『青いヤドカリ』は、少年がタコに導かれて、海に潜るというお話の絵本。
海の広がりが感じられて、夏に読みたい本だと思った。
『石のきもち』は、森の真ん中に半分埋まった石を描いた絵本。
この人の絵はシンプルで、爽やかで、とてもいい。
この3冊でますますファンになりました。
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海辺のポーリーヌ [映画]

1月22日(日)
エリック・ロメール監督『海辺のポーリーヌ』(1983年)AmazonPrimeで鑑賞。

海辺のポーリーヌ [DVD]

海辺のポーリーヌ [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2022/08/19
  • メディア: DVD


夏、ノルマンディー地方の海岸の町。
15歳のポーリーヌ(アマンダ・ラングレ)が、年上の従姉マリオン(アリエル・ドンバール)と共にバカンスにやってくる。
地元の少年シルヴァン(シモン・ド・ラ・ブロス)と知り合い、仲良くなる。
マリオンも友人のピエール(パスカル・グレゴリー)から紹介されたアンリ(フェオドール・アトキン)に熱烈な恋をする。
しかし、プレイボーイのアンリは地元のキャンディー売りの娘と浮気。
マリオンにバレそうになると、咄嗟にシルヴァンに濡れ衣を着せてしまう。
ポーリーヌは深く傷つく‥‥。

原題は『Pauline à la plage』、英題は『Pauline at the Beach)』。
「喜劇と格言劇」シリーズの第3作。
第33回ベルリン国際映画祭で監督賞と国際批評家賞を受賞。
他愛ないロマコメだが、15歳の少女が主人公なので瑞々しく、ノルマンディーの海岸の景色も美しい。
さらに、「マリオン」役のアリエル・ドンバールが抜群のプロポーションで、「ポーリーヌ」がコンプレックスを感じるのもよく理解できる。
『飛行士の妻』『美しき結婚』より明らかに一段上の出来。
お薦めはしないけど。

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