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ポテトチップスと日本人 [本]

3月16日(土)
稲田豊史『ポテトチップスと日本人』(朝日新書)読了。

ポテトチップスと日本人 人生に寄り添う国民食の誕生 (朝日新書)

ポテトチップスと日本人 人生に寄り添う国民食の誕生 (朝日新書)

  • 作者: 稲田 豊史
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2023/04/13
  • メディア: Kindle版


フリーライターの稲田豊史が、日本におけるポテトチップスの歴史を解説する。

〇近年、日本人のジャガイモの消費量は減っているが、ポテトチップスの消費量は増えている。
〇日本人のカロリー消費量のピークは1972年。ここで日本人は満腹になった。この年から日本は「飽食の時代」になった。おやつに求めるのもは、「あまい」から「しょっぱい」になった。
〇ポテトチップスは最初は酒のつまみだった。
〇国産ポテトチップスの元祖は、1950年発売の「フラ印アメリカン・ポテトチップス」。
〇1962年、湖池屋が「湖池屋ポテトチップスのり塩」を150円で発売。
〇1964年、カルビーが「かっぱえびせん」を発売し、大ヒット。
〇1974年、カルビーが「カルビーポテトチップスうすしお味」を100円で発売し、ポテトチップスが一気に大衆化。
〇ジャガイモの消費量は1965年の405万トンがピークで、今はその半分。サツマイモの消費量のピークは1955年の718万トンで、今はの10分の1。
〇1978年、カルビーが「カルビーポテトチップス/コンソメパンチ」を発売し、大ヒット。
〇1984年、湖池屋が「カラムーチョ」を発売し、「辛い」お菓子が大ブーム。
〇1987年、山吉製菓が「わさビーフ」を発売し、大ヒット。
〇1992年、カルビーが「ピザポテト」を発売し、大ヒット。
〇1993年、カルビーが「堅あげポテト」を発売し、大ヒット。
〇1990年代中盤から、「ポテトチップスは体に悪い」という噂、スローフードのブームなどで、ポテトチップスの売り上げが伸び悩む。
〇2000年代からは、高級志向の製品、健康志向の製品が次々と売り出される。
ポテトチップスの歴史はわずか50年。
現在62歳の僕も、小学校時代はポテトチップスを食べた記憶がない。
スナック菓子と言えば、「えびせん」か「仮面ライダー・スナック」だった。
しかし、これもたまにの話で、おやつと言えば、「おにぎり」か「サツマイモ」だった。
「おにぎり」は塩、海苔、味噌、焼いて醤油など、様々なバリエーションを母が作ってくれた。
「サツマイモ」は焼き芋でなく、ふかしたもの。
とにかく、スナック菓子は滅多に食べなかった。
1964年の「かっぱえびせん」、1974年の「カルビーポテトチップスうすしお味」が果たした役割は大きい。
日本のおやつを変えたのだ。
お薦めです。

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100かいだてのいえ [本]

3月15日(金)
いわいとしお『100かいだてのいえ』(偕成社)読了。

100かいだてのいえ

100かいだてのいえ

  • 作者: 岩井 俊雄
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2008/05/01
  • メディア: ハードカバー


作・安房直子+絵・降矢なな『ひめねずみとガラスのストーブ』(小学館)読了。

ひめねずみとガラスのストーブ

ひめねずみとガラスのストーブ

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/10/31
  • メディア: ペーパーバック


junaida『ENDE』(白泉社)読了。

EDNE (エドネ) (MOE BOOKS)

EDNE (エドネ) (MOE BOOKS)

  • 作者: junaida
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2022/06/03
  • メディア: 単行本


『100かいだてのいえ』は、メディアアーティストの岩井俊雄氏の絵本。
続編がたくさんあるようなので、読んでみたい。
『ひめねずみとガラスのストーブ』は安房直子氏の童話を絵本化した本。
降矢なな氏の絵がすばらしい。
『EDNE』は「エドネ」と読み、junaidaがミヒャエル・エンデ『鏡のなかの鏡』に触発されて描いた絵本。
ページを開く度に、左右のページが合わせ鏡になっている仕掛けで、なかなかおもしろかった。
3冊ともお薦めです。

ミヒャエル・エンデ生誕九〇年記念版 鏡のなかの鏡――迷宮

ミヒャエル・エンデ生誕九〇年記念版 鏡のなかの鏡――迷宮

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 単行本



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ミステリー・オーバードーズ [本]

3月14日(木)
白井智之『ミステリー・オーバードーズ』(光文社)読了。

ミステリー・オーバードーズ (光文社文庫)

ミステリー・オーバードーズ (光文社文庫)

  • 作者: 白井 智之
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2023/11/14
  • メディア: Kindle版


渥美厚は新宿歌舞伎町で活躍する私立探偵。
名探偵としてその名を全国に轟かせた故・白川龍馬の弟子だった。
白川が亡くなって10年、久山山中にある白川龍馬記念館に、白川の弟子たちが集まることになる。
渥美、滝野秋央、泉田真理らが記念館に入ると、白川の甥・百谷朝人の死体が倒れていた。
死体の背中には洋包丁が突き刺さっていた。
そこへ、もし一人の弟子・釧(くしろ)邦子もやってくる。
4人は死体を検め、推理合戦を開始する‥‥。

白井智之氏の本はこれが7冊目。
ミステリの短編を5編収録した短編集で、上記のあらすじは表題作の『ミステリー・オーバードーズ』。
この表題作は珍しく、グロテスクな要素がないが、他の4編はいつも通りのグロテスク・ミステリ。
特に『げろがげり、げりがげろ』は凄かった。
タイトルで想像がつくだろうけど。
現実感無視はこの本も変わらず。
白井氏の迷走は続く。

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詩人の恋 [本]

3月13日(水)
深水黎一郎『詩人の恋』(角川書店)読了。

詩人の恋

詩人の恋

  • 作者: 深水 黎一郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: 単行本


ローベルト・シューマンの歌曲集『詩人の恋』を主題とした連作短編集で、短編7作を収録。

深水黎一郎氏の本はこれが22冊目。
本来はミステリを書く人だが、本作はミステリとは言いにくい。
シューマンが『詩人の恋』の中に隠した秘密を解く話だが、むしろ音楽小説とでも呼びたくなる。
近年の北村薫さんが日本文学でやっている考証を、シューマンでやってみたという感じ。
深水氏のクラシック音楽の造詣には呆れるばかり。
しかし、クラシック音楽に疎い僕でもしっかり楽しむことができた。
凄い人だ。
お薦めです。

シューマン:歌曲集 詩人の恋

シューマン:歌曲集 詩人の恋

  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1990/08/25
  • メディア: CD



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悪党/潜入300日ドバイ・ガーシー一味 [本]

3月12日(火)
伊藤喜之『悪党/潜入300日ドバイガーシー一味』(講談社+α新書)読了。

悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味 (講談社+α新書)

悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味 (講談社+α新書)

  • 作者: 伊藤喜之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2023/03/16
  • メディア: Kindle版


元・朝日新聞ドバイ支局長で作家の伊藤喜之が、ドバイ潜伏中のガーシーこと東谷義和とその一味に密着取材した報告。

伊藤氏は最初に書いたガーシーのインタビュー記事をボツにされ、朝日新聞を退職し、フリージャーナリストの立場で取材を続けた。
ガーシーとその一味の一人一人にインタビューし、その来歴と真意を明らかにしていく。
タイトルは、ガーシー本人が自分を「悪党」と名乗ったことから付けられたようだが、発言の多くは自己正当化で、コンプライアンス的にはすべてアウト。
ガーシーはギャンブル依存症で、詐欺師で、27年にわたってアテンダー(芸能人に女性をあてがう仕事)をしていた。
故に全く共感できない。
が、「たとえ違法行為でも、自分はこう思ったから、こうしたのだ」という犯罪者の心理はとてもタメになった。

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心臓の王国 [本]

3月11日(月)
竹宮ゆゆこ『心臓の王国』(PHP研究所)読了。

心臓の王国

心臓の王国

  • 作者: 竹宮 ゆゆこ
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2023/07/20
  • メディア: Kindle版


夏休みの終わり頃。
17歳の鬼島鋼太郎は、橋の上で白いワンピースのような服に身を包む美少年と出会う。
彼は「アストラル神威」と名乗り、「せいしゅんとはどうやるんだ?」と鋼太郎に聞く。
「川に飛び込め」と答えたら、すぐに飛び込んだため、鋼太郎は後から飛び込み、神威を救う。
2学期、鋼太郎のクラスに神威が転校生としてやってくる。
彼はなぜか「わたなべゆうた」と名乗った‥‥。

ネットで評判がよさそうだったので、読んでみた。
帯にも「著者の才能大爆発!衝撃の青春ブロマンス」とあったし。
が、まるでラノベのような文体に戸惑い、読み続けるのにエラく苦労した。
中盤からは物語が普通のラノベより重くハードなものになったが、文体が変わらないので読みづらいことは変わらない。
62歳の僕にはこのノリについていけなかった。
人気が出る理由はわかったか、称賛したのは20歳以下の人たちではないかと思う。
作者の竹宮ゆゆこ氏は今年46歳。
心が物凄く若い人なのだろう。

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関修一の世界 [本]

3月10日(日)
『関修一の世界』(東京書籍)読了。

関修一の世界: キャラクターデザイン・ワンダーランド

関修一の世界: キャラクターデザイン・ワンダーランド

  • 作者: 関 修一
  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2014/04/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


junaida『怪物園』(福音館書店)読了。

怪物園 (福音館の単行本)

怪物園 (福音館の単行本)

  • 作者: junaida
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: ペーパーバック


『関修一の世界』は、関修一の原画集。
関修一は1946年、東京都大田区生まれのアニメーター、キャラクターデザイナー。
1966年、日本デザインスクールグラフィックデザイン科入学。
1967年、TCJ(現エイケン)に入社し、『サスケ』で初めて動画を担当。
その後、原画マン等を経て、『忍風カムイ外伝』で初のキャラクターデザインを担当。
『世界名作劇場』を始め、日本アニメーションの作品で数多くのキャラクターデザインを担当。
代表作は、
『小さなバイキングビッケ』
『ペリーヌ物語』
『トム・ソーヤーの冒険』
『家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ』
『南の虹のルーシー』
『私のあしながおじさん』
『トラップ一家物語』
などなど。
『怪物園』はjunaidaの絵本。
ストーリーは弱いが、絵はすばらしい。
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ビー・ヒア・ナウ [本]

3月9日(土)
鴻上尚史『ビー・ヒア・ナウ』(白水社)読了。

ビー・ヒア・ナウ

ビー・ヒア・ナウ

  • 作者: 鴻上 尚史
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1990/12/01
  • メディア: 単行本


劇作家・演出家の鴻上尚史の戯曲。

『ビー・ヒア・ナウ』の初演は1990年8~9月、大阪は近鉄劇場、東京はシアターコクーンだった。
当時は第三舞台の全盛期ともいうべき時代だった。
僕はこの公演を劇場で見ている。
千秋楽だったので、9月12日だったと思われる。
終演後、鴻上尚史氏が舞台に出てきて役者紹介をし、役者たちが客席に饅頭を投げた。
当時の第三舞台の東京公演はキャパシティーが約3万席。
チケットは即完だった。
噂では、買えなかった人が倍以上(6万人)はいる、と言われていた。
僕は何しろ1981年の旗揚げ公演から見ているので、ほぼ毎公演足を運んでいた。
けっしてファンではなかったが、やっぱりおもしろかったし、勉強にもなった。
この本はブックオフで偶然見つけて、購読。
34年ぶりに読んで、とても懐かしかった。
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おやすみゴリラくん [本]

3月9日(土)
ペギー・ラスマン『おやすみゴリラくん』(徳間書店)読了。

おやすみゴリラくん

おやすみゴリラくん

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1996/02/29
  • メディア: 単行本


しおたにまみこ『さかなくん』(偕成社)読了。

さかなくん

さかなくん

  • 作者: しおたにまみこ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2022/05/11
  • メディア: ハードカバー


安房直子・作+ひろかわさえこ・絵『声の森』(偕成社)読了。

声の森

声の森

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2006/04/01
  • メディア: 大型本


『おやすみゴリラくん』とペギー・ラスマンの絵本で、原題は『Good Night,Gorilla』。
話も絵も気が利いていて、間違いなく傑作。
『さかなくん』はしおたにまみこ氏の絵本で、この人の本を読むのはこれが4冊目。
やはりこの人は途轍もなく絵が巧いと思う。
『声の森』は安房直子氏とひろかわさえこ氏の絵本。
話も絵も物足りなかった。
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蒼海館の殺人 [本]

3月8日(金)
阿津川辰海『蒼海館の殺人』(講談社タイガ)読了。

蒼海館の殺人 〈館四重奏〉 (講談社タイガ)

蒼海館の殺人 〈館四重奏〉 (講談社タイガ)

  • 作者: 阿津川辰海
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/02/16
  • メディア: Kindle版


田所信哉は高校2年で、同級生で名探偵である葛城輝義の助手をしつつ、小説を書いている。
葛城は前作の事件で深く傷つき、田舎の実家に引き籠ってしまう。
田所は葛城に会うため、同級生の三谷緑朗と葛城の実家に向かう。
そこは葛城の祖父の惣太郎の家で、別名「青海館」。
惣太郎は一流企業の葛城物産の経営者だったが、8月に87歳で亡くなった。
田所たちが行った日、「青海館」には49日の法要のため、親族一同が集まっていた。
折しも台風が接近し、近くを流れる「曲川」は増水し始めていた‥‥。

阿津川辰海氏の本はこれが3冊目。
先日読んだ『紅蓮館の殺人』の続編。
前作は山火事が館に迫ったが、本作は川の増水。
小説としての出来は、本作の方が上だと思った。
これも多重解決で、名探偵・葛城は、一度立てた自分の推理を、証明直後に引っ繰り返す。
今はもう、多重でないと受けない、というところまで来てしまっているのかもしれない。
が、本作にはそれだけではない、感動がある。
お薦めです。
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