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木になった亜沙 [本]

2月15日(月)
今村夏子『木になった亜沙』(文藝春秋)読了。

木になった亜沙 (文春e-book)

木になった亜沙 (文春e-book)

  • 作者: 今村 夏子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/04/06
  • メディア: Kindle版


亜沙は母からひまわりの種をもらい、保育園へ持っていった。
仲良しのるみちゃんに「食べて」と手を差し出したが、「いらん」と断られた。
それ以来、亜沙が差し出すものを誰も食べなくなった。
小学2年の時、金魚の飼育係になったが、亜沙が蒔いたエサを金魚は食べなかった。
3年生になると、クラスで苛められた。
中学では逆に不良になって、クラスメイトを苛めた。
亜沙は山奥にある更生施設に送られた……。

今村夏子氏の本はこれが6冊目。
『木になった亜沙』『的になった七未』『ある夜の思い出』の短編3つを収録した短編集で、上記のあらすじは『木になった亜沙』。
3編とも、主人公は奇怪な性癖のある女性。
彼女の人生がお伽話のように描かれる。
僕は『的になった七未』が一番おもしろかった。
七未(なみ)は幼い頃から、自分以外から物を投げられても、なぜか絶対に当たらない。
そのことに次第に苦しみ始める。
自分から当たりに行くが、それでも当たらない。
この発想はすばらしいと思ったが、後半、七未が心を病み、転落していくという展開は、いかにもという感じで、いただけなかった。
とは言え、この本、お薦めです。

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