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トッド人類史入門 [本]

8月26日(土)
エマニュエル・トッド+片山杜秀+佐藤優『トッド人類史入門』(文春新書)読了。

トッド人類史入門 西洋の没落 (文春新書)

トッド人類史入門 西洋の没落 (文春新書)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/03/17
  • メディア: Kindle版


フランスの歴史人口学者・家族人類学者エマニュエル・トッドの著作『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』について、慶応義塾大学教授の片山杜秀、作家・元外務省主任分析官の佐藤優がインタビューする。
他に、トッドの文章3編、片山と佐藤の対談も収録。

トッド氏の本はこれが4冊目。
読めば読むほどおもしろい。
トッド氏による家族の類型は、
〇絶対核家族(遺産相続は親の遺言)/アメリカ、イギリス
〇平和主義核家族(遺産相続は平等)/フランス北部、スペイン、イタリア南部
〇直系家族(男子長子が結婚後も親と同居)/日本、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、韓国
〇外婚制共同体家族(イトコ婚を認めない、男子全員が結婚後も親と同居)/中国、ロシア、北インド、フィンランド、イタリア中部
〇内婚制共同体家族(イトコ婚を認める、男子全員が結婚後も親と同居)/アラブ、トルコ、イラン
意外なことに、絶対核家族が一番古く、共同体家族が一番新しい。
また、太古は男女の身分差がなく、女子の身分が低下したのは、精々1000年前からで、定着したのは近代らしい。
つまり、家族制度の進化という点では、中国・ロシア・アラブが最も進み、アメリカ・イギリスが最も遅れているのだ。
が、遅れていたからこそ、産業革命に成功することができた、とトッド氏は言う。
絶対核家族は社会が流動的であるため、社会変革が起こしやすいのだ。
また、中国・ロシア・アラブは共同体家族であるため、権威主義的な政治体制にあまり抵抗がないのだと言う。
とにかくやたらとタメになる。
お薦めです。

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