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ヘミングウェイごっこ [本]

4月13日(日)
ジョー・ホールドマン『ヘミングウェイごっこ』(ハヤカワ文庫)読了。

ヘミングウェイごっこ (ハヤカワ文庫SF)

ヘミングウェイごっこ (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ジョー ホールドマン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/02/01
  • メディア: 文庫


アメリカ、フロリダ、キーウェスト。
ジョン・ベアドは50代のボストン大学英文学部准教授で、ヘミングウェイの研究者。
酒場で怪しげな男シルヴェスター・キャッスルメインと一緒に飲むうちに、ヘミングウェイが1922年に遭遇した事件の話になる。
当時の恋人ハドリー・リチャードスンが、ヘミングウェイから預かった原稿を紛失したのだ。
キャッスルはジョンに、原稿の偽造を持ちかける。
ジョンは断り、フラットに戻り、17歳年下の妻リナに、酒場での出来事を話す。
すると、リナはキャッスルの提案に賛成した!
かくしてジョンは贋作の執筆を開始するが、ある日、彼の前に、亡くなったはずのヘミングウェイ本人がやってきた!

ジョー・ホールドマンは1943年、オクラホマシティ生まれ。
メーリーランド大学で物理学と天文学を専攻。
アイオワ大学で文学修士号を取得。
1967年、ヴェトナム戦争に従軍し、重傷を負う。
1969年、SF作家としてデビュー。
1974年、『終わりなき戦い』でヒューゴー賞とネビュラ賞のダブルクラウンを達成。
1991年、『ヘミングウェイごっこ』で二度目のダブルクラウン。
1998年、『終わりなき平和』で三度目のダブルクラウン。
やけにヘミングウェイに詳しいと思ったら、この人、SF作家と並行して、アマチュアのヘミングウェイ研究家としても活動しているらしい。
ジョンはヘミングウェイに贋作の執筆を止められ、拒絶し、殺され、別の並行世界に移動する。
が、それでも執筆をやめようとしない。
で、また殺される。
主人公がヘミングウェイに何度も殺される、というアイディアが、実に奇抜でおもしろい。
しかも、主人公の設定は、ほぼ作者のまんまらしい。
この自虐的ユーモア、素敵だと思う。
お薦めです。

アメリカにおけるヘミングウェイの愛され方は異常で、日本で言えば、宮沢賢治や太宰治に近いと思う。
先日DVDで見た『ロング、ロング・バケーション』という映画も、老ヘミングウェイ研究者が妻とキーウェストへ行く話だった。
キーウェストのヘミングウェイ記念館は賑やかな観光施設だった。
ヘミングウェイ、僕も大分前に10冊ほど読んだが、あまりおもしろさがわからなかった。
が、『ヘミングウェイごっこ』の中で主人公が書く贋作小説は、まぎれもなくヘミングウェイ調だった。
やはりそれだけ際立った個性があるのだ。
また読み返してみようかな、と思った。

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