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彼が通る不思議なコースを私も [本]

6月25日(木)
白石一文『彼が通る不思議なコースを私も』(集英社文庫)読了。

彼が通る不思議なコースを私も (集英社文庫)

彼が通る不思議なコースを私も (集英社文庫)

  • 作者: 白石 一文
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/01/20
  • メディア: 文庫


澤村霧子はOL。
友人のみずほの付き添いで、みずほの恋人の吉井に会いに行く。
吉井はみずほと別れるくらいなら死ぬと言い、ビルの屋上から飛び下りた。
その時、霧子は、ビルの下で、黒ずくめの服を着た男と出会う。
男は吉井が植物の上に落下して助かったのを見ると、すぐに姿を消した。
数日後、霧子が合コンに出席すると、そこにあの男がいた。
男は小学校教師で、椿林太郎という名前だった……。

おもしろかった!
椿林太郎には、他人の死期がわかる。
東大卒で、トランポリンの世界第二位で、イケメンで、その上、超能力者でと、まるでアベンジャーズにでも出てきそうな男。
しかし、彼は子供の頃から教師になるのが夢で、担任していた子供の保護者とモメて、勤務校を退職すると、学習障害児や不登校児向けの体育教室を始める。
そして、子供たちに二本の足でしっかり立つことから教え始める。
林太郎の教育論、人生観、生き方がおもしろくて、一気に読んでしまった。
何よりタイトルがすばらしい。
白石氏の小説のタイトルにはいつも感心させられるが、僕のベスト5は以下の通り。
1、この胸に深々と刺さる矢を抜け
2、僕のなかの壊れていない部分
3、この世の全部を敵に回して
4、彼が通る不思議なコースを私も
5、どれくらいの愛情
お薦めです。

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