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小箱 [本]

12月20日(日)
小川洋子『小箱』(朝日新聞出版)読了。

小箱

小箱

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/10/07
  • メディア: 単行本


「私」は元幼稚園に住んでいる。
幼稚園の講堂にはガラスの小箱が並んでいて、その中には亡くなった子供たちの遺品が入っている。
この町の人々は講堂を訪れ、小箱の中身を増やしたり、入れ換えたりしている。
「私」の従妹は息子を亡くして以来、息子が生前に歩いた道しか歩かなくなった。
バリトンさんは郷土資料館の元学芸員で、話す言葉がすべて歌になってしまう。
バリトンには遠い町の病院に入院している恋人がいる。
彼女から届く手紙は非常に読みにくいので、バリトンさんは「私」に解読を依頼した……。

小川洋子氏の本はこれが49冊目。
2012年の『ことり』以来、7年ぶりに書かれた小説だが、まさに小川節全開!
すべての子供が亡くなり、新たな子供も生まれず、結果、子供が完全にいなくなった世界を静かに淡々と描く。
まるで鎮魂歌のような小説。
ストーリー性が弱いので、僕の好みではないが、小川氏らしい静謐な世界が完璧に構築されていて、非常に感心した。

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