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知識ゼロからの美術館入門 [本]

9月6日(水)
青柳正規『知識ゼロからの美術館入門』(幻冬舎)読了。

知識ゼロからの美術館入門

知識ゼロからの美術館入門

  • 作者: 青柳 正規
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: 単行本


国立西洋美術館館長の青柳正規が、美術館の基礎知識を解説し、日本の代表的な美術館を紹介する。

なんと、展覧会を開催するために、他の美術館から絵画を借りる時、レンタル料は請求されないのだそうだ。
が、タダでは済まない。
運賃も保険料も当然こちら持ちだし、中にはその絵画の修復を求められる場合もあるらしい。
また、ロンドン博物館などは、寄付金を納めた国に優先的に貸すらしい(つまり寄付金という名のレンタル料が必要なのだ)。
メインは国内の有名美術館の紹介で、どこに何があるかわかって、非常にためになった。
地方の公立美術館にもなかなかいいものがある。
地方公演の時、ぜひ足を運ぼうと思った。

キャラメルボックス2017グリーティングシアター『光の帝国』の稽古2日目。
今日も読み合わせをしました。
全12場を四分割して、3場ずつ。
読み終わるたびに、ダメ出しと、脚本の改訂についての相談。
大筋は変わらないけれど、2、3箇所、大幅な改訂が必要な部分が判明しました。
ゲストの原口健太郎さん(劇団桟敷童子所属)がとってもいい感じ。
うまくて、味があって、セリフを聞いているだけで、この役にピッタリだと思いました。
明日からの半立ち稽古が楽しみです。

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犯罪小説集 [本]

9月6日(水)
吉田修一『犯罪小説集』(角川書店)読了。

犯罪小説集

犯罪小説集

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/10/15
  • メディア: 単行本


犯罪を題材にした短編小説5つを収録した短編集。

吉田修一氏の本はこれが25冊目。
どの作品も「なぜその犯罪は起きたか?」「その人物はなぜその罪を犯すに至ったか?」をまっすぐに追求し、遊びの部分が全くないので、徐々に読むのが辛くなっていった。
何しろ、主人公は最後に必ず破滅するのだ。
しかし、作者の吉田氏にとっては、この小説を書くことが大変勉強になっただろうと思う。
5人の犯罪者を描きわけたのだから。

今日はキャラメルボックス2017グリーティングシアター『光の帝国』の稽古初日。
17時から読み合わせをしました。
真柴あずきがこの日までに改訂第二稿を書き上げてくれたので、これを前半後半に分けて、読みました。
トータルで1時間35分。
実際に上演したら、1時間45分前後になると思われます。
おおまかなストーリーは元のままですが、登場人物が一人増え、語りの構造が大きく変わりました。
初演は、春田光紀と春田記実子が猪狩悠介の別荘を訪れ、そこで15年前を回想する、という構造。
つまり、物語は、光紀と記実子が実際に体験した事実。
今回は、春田光紀は春田記実子が猪狩悠介の別荘を訪れ、そこで悠介とともに、悠介が10年前の体験を元にして書いた脚本を読んでいく、という構造。
つまり、物語は悠介の脚本で、それが事実かどうかはわからない。
光紀と記実子は脚本の中に登場するので、10年前の自分を実演しますが、現在の場面に戻ると、「こんなことは言ってない」などと脚本を批判する。
これも一種の回想形式だと思いますが、回想の中身が事実かどうかわからないというのは、長年脚本を書いてきて、初めての試み。
これ、前からやってみたかったんです。
イギリスの作家カズオ・イシグロがこの形式の小説を何作か書いていて、「おもしろいなあ」「僕もやってみたいなあ」と思っていたのです。
55歳の今日まで、90本以上の脚本を書いてきましたが、まだまだやってないことがいっぱいある。
『光の帝国』でも新たな挑戦をしたいと思っています。
頑張るで!

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沿線格差 [本]

9月4日(月)
首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』(SB新書)読了。

沿線格差 首都圏鉄道路線の知られざる通信簿 (SB新書)

沿線格差 首都圏鉄道路線の知られざる通信簿 (SB新書)

  • 作者: 首都圏鉄道路線研究会
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2016/08/06
  • メディア: 新書


首都圏の鉄道路線の格付けとその解説。

1 京急本線
2 東海道線
3 東急東横線
4 小田急線
5 総武線
6 中央線
7 京王線
7 京成線
9 京葉線
10 東急田園都市線
11 都営三田線
11 埼京線
13 東西線
14 東武東上線
15 西武新宿線
16 相鉄本線
16 常磐線
18 西武池袋線
「ガーン!ガーン!ガーン!」と3回ショックに襲われた。
わかってはいたけど、ここまで評価か低いとは!
僕は23歳まで西武池袋線、24歳からは西武新宿線沿線に住んでいる。
55年間、西武線で育ってきた。
そんな僕には何とも残酷な結果だった。
東急・小田急に負けるのはわかる。
京王も仕方ない。
でも、京急とか京成とかって何?どこを走ってるの?
そしてトドメは、東上線より下!なぜ?どうして?
この本を熟読して、まあ、理由はよくわかった。
敗因は、他より利用客か少ないこと、接続路線が少ないこと、沿線にブランドタウン(地価が1㎡50万円以上)が少ないこと。
えーい! だからどうした!
たとえ格付けが低くとも、私は西武線沿線に住み続けます(きっぱり!)。

今日は12時からキャラメルボックス俳優教室の授業。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』2場の動きつけの続き。
動きつけも4回目なので、みんな覚えるのが早くなってきました。
つけられた動きをすぐに消化できるようにもなってきました。
でも、おもしろくない。
テンションが低く、感情表現が薄味だからです。
セリフと動きに気を取られて、気持ちがないがしろになっている。
早く定着させて、感情表現の工夫をしてほしい。
頑張れ、15期生!

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コンビニ人間 [本]

9月3日(日)
村田沙耶香『コンビニ人間』(文藝春秋)読了。

コンビニ人間

コンビニ人間

  • 作者: 村田 沙耶香
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/07/27
  • メディア: 単行本


古倉恵子は36歳独身、コンビニでアルバイトしている。
幼い頃から他人の気持ちがわからず、人前でどう振る舞っていいかわからず、困惑しながら生きてきた。
が、大学1年でコンビニで働き始めて、ようやく楽に生きられる場所が見つかったと思った。
コンビニ店員なら、自分がどう振る舞うべきか全部わかる!
以来18年間、大学を卒業してからもコンビニで働き続けてきたが、最近また困惑が始まった。
36歳独身バイト暮らしが、他人から見ると変らしいのだ。
この難局を乗り切るため、恵子はある決断をする……。

第155回芥川賞受賞作。
こんなにわかりやすくておもしろい受賞作は久しぶりではないか?
恵子は感情のない、合理主義の権化のような人間。
そんな彼女に、感情のキャッチボールで成立する世間はきわめて生き辛い場所だった。
しかし、コンビニならすべてのマニュアルが決まっている。
やるべきことをやるだけでスムーズに生きていける。
恵子は三度の食事もすべて自分が働くコンビニの商品で済ませる、全身コンビニ人間になる。
読みながら、変人・恵子がドンドン愛おしくなっていく。
恵子の幸せを祈らずにはいられなくなっていく。
純文学なのに、エンタメ性バツグン。
強くお薦めします。

今日は西葛西にある東京フィルムセンター映画・俳優専門学校のスペシャル公演の稽古に行ってきました。
今日が稽古初日で、脚本の読み合わせを2回やりました。
1回目は前半・後半に分けて、2回目は細かく止めながら。
出演者全員が、キャラメルボックスの2003年の再演をDVDで見たそうです。
が、今日は文字を追うので精一杯という感じ。
まあ、本番は11月ですから、じっくりよくしていきたいと思います。
頑張ります。

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ミンボーの女 [映画]

9月3日(日)
伊丹十三監督『ミンボーの女』1992年(GEOのレンタルDVDで鑑賞)

ミンボーの女 [DVD]

ミンボーの女 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD


東京の名門ホテル・ロイヤルコートはヤクザの出入りが激しく、サミットの開催権をライバルホテルに奪われてしまう。
ロイヤルコートの総支配人(宝田明)は、ヤクザを排除するため、経理課の鈴木(大地康雄)とベルボーイの若杉(村田雄浩)を対策担当に任命する。
しかし、ロビーで騒ぐヤクザ(流山児祥)や、レストランで料理にゴキブリが入っていたと文句をつけてきた伊場木(中尾彬)らに、次々と金を脅し取られる。
たまりかねたオーナー(大滝秀治)は、ミンボー(民事介入暴力)専門の弁護士、井上まひる(宮本信子)を雇う。
ところが今度は、総支配人がヤクザの入内島(伊東四朗)の罠に嵌まってしまう……。

伊丹十三監督の絶頂期の映画。
東映等のヤクザ映画で礼讃されることの多かったヤクザを、民事介入暴力という視点で徹底的に批判し、かつその対策マニュアルを映画にしてしまった。
公開後、監督自身がホンモノのヤクザに襲われ、大怪我を負ったことで、さらに注目を浴びた。
この映画に出てくるヤクザのなんとセコいことか。
タイトルは『ミンボーの女』だが、主役は宮本信子でなく、「まひる」に鍛えられ、成長していく「鈴木」(大地康雄)と「若杉」(村田雄浩)。
二人の演技もすばらしいが、ヤクザの罠に嵌まる「総支配人」(宝田明)、嵌める「入内島」(伊東四朗)も凄い。
伊丹映画は名優を惜しげもなく使うので、安心して見ていられる。
お薦めです。

高2の息子が、大島へ日帰り旅行に出かけました。
午前6時過ぎに家を出発。
今は芝浦から出るジェット船に乗っているようです。
家族のLINEに写真を送ってくれています。
「速報」という感じでおもしろいです。
僕は大島には行ったことがないので、どんな写真が送られてくるか、楽しみです。

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なぜ宮崎駿はオタクを批判するのか [本]

9月2日(土)
荻原真『なぜ宮崎駿はオタクを批判するのか』(国書刊行会)読了。

なぜ宮崎駿はオタクを批判するのか

なぜ宮崎駿はオタクを批判するのか

  • 作者: 荻原 真
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2011/04/07
  • メディア: 単行本


思想史研究者の荻原真が、宮崎駿のアニメを「共生」という視点て読み解く。

〇カリオストロ伯爵は活字の新聞を読む。ルパンの国営カジノへの置き手紙「ごくろんうさん」、ジョドーへの置き手紙「ルパン参上」は手書き。
〇ムスカは古文書を解読。シータは呪文をおばあちゃんから口伝えで教わる。
〇サリマンがソフィーに会うのは温室。ハウルがソフィーにプレゼントしたのは草原。
〇カリオストロ伯爵はオートジャイロの中、ムスカは飛行船と戦艦の中、というふうに、悪役は体を風にさらさない。一方、ルパンはフィアット500から身を乗り出し、ナウシカはメーヴェを掴んで(全身を風にさらして)空を飛び、サツキとメイはトラックの荷台に乗って引っ越してきて、トトロの腹にしがみついて空を飛び、窓ガラスの嵌まっていない猫バスに乗り、パズーはドーラのフラップターで要塞に戻り、タイガーモスのグライダーでラピュタに辿り着き、キキはホーキで空を飛び、ポルコは(上半身を風にさらして)サボイアS-21を操縦する。
タイトルはやや過激だが、中身は宮崎アニメの研究書。
それは少々考えすぎではないかと思う部分もあるが、宮崎ファンならきっと楽しめる本。

好きな映画を10本選べと言われたら、そのうち3本は宮崎駿監督の作品になってしまいます。
『ルパン三世カリオストロの城』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』です。
宮崎さんがまたもや引退宣言を撤回して新作長編アニメを作る、というニュースを見ました。
上記の3本のような作品がまた見られたら、どんなにうれしいことか。
期待したいと思います。

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橋を渡る [本]

9月1日(金)
吉田修一『橋を渡る』(文藝春秋)読了。

橋を渡る

橋を渡る

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/03/19
  • メディア: 単行本


新宮明良(しんぐうあきら)はビール会社の営業課長。
妻・歩美、甥・孝太郎と3人暮らし。
孝太郎は高校生で、同じ高校の結花と付き合っている。
明良は美術館に行くのが趣味で、そこで歩美と出会った。
歩美は今はギャラリーに勤めていて、最近、朝比奈達二という無名画家に付きまとわれている。
朝比奈には全く才能がいない、と歩美は言う……。

吉田修一氏の本はこれが24冊目。
4章に分かれていて、1章の主人公は明良、2章は篤子、3章は謙一郎、4章は響。
1~3章は2015年が舞台だが、4章はなんと、70年後の2085年!
そこでは1~3章のその後が描かれる。
明良、篤子、謙一郎は2015年の時点では無関係だったのに、その後の70年の間に関係が生まれ、一つの物語に収束する。
こんなスタイルの小説は初めてで、ちょっと驚いた。
4章だけ読めば、まさにSF。
僕は3章が一番おもしろかった。

キャラメルボックスのHPで、冬公演の情報が公開されました。
演劇集団キャラメルボックス2017ウィンターツアー『ティアーズライン』。
『彼は波の音がする、彼女は雨の音がする』以来1年半ぶりの、オリジナル新作。(『ラスト・フィフティーン・ミニッツ』もそうだったけど、あれは15分だからカウントしません)
今、自宅に籠もって構想を立てているのは、この脚本です。
今はようやくストーリーが見えてきたところ。
急がないと、『光の帝国』の稽古が始まっちゃう!
頑張ります!

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淵に立つ [映画]

9月1日(金)
深田晃司監督『淵に立つ』(2016年)WOWOWで鑑賞。

淵に立つ(通常版)[DVD]

淵に立つ(通常版)[DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD


鈴岡章江(筒井真理子)は、小さな金属加工工場を営む夫・利雄(古舘寛治)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)と3人暮らし。
ある日、利雄の古い友人の八坂草太郎(浅野忠信)が訪ねてくる。
利雄は章江に黙って、八坂を工場で雇い、自宅に居候させると決めてしまう。
八坂は人を殺して刑務所に入り、先月出所したばかりだった……。

カンヌ国際映画祭の、ある視点部門審査員賞を受賞した映画。
浅野忠信の醸し出す雰囲気が何とも不穏で、終始緊張感が漂っていた。
予想をことごとく覆すストーリー展開。
暗くて怖い映画だが、見応えがあった。

筒井真理子さんは、1982年の第三舞台の第三回公演『プラスティックの白夜に踊れば』でデビューした女優さん。
僕はその初舞台を見ています。
凄い美人が入ったな、と驚いたのを憶えています。
演技はけっして上手じゃなかったけど、思い切りのいい芝居をする人でした。
今回、久しぶりに見て、すっかりいい女優さんになったと感心しました。
あれから35年も経ったのですね。

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