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禁忌 [本]

8月10日(火)
フェルティナント・フォン・シーラッハ『禁忌』(東京創元社)読了。

禁忌 (創元推理文庫)

禁忌 (創元推理文庫)

  • 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/01/12
  • メディア: 文庫


ドイツ。
ゼバスティアン・フォン・エッシュブルクは名家に生まれたが、父の代で没落。
前衛写真家として成功を収める。
ある日、若い女性を誘拐・殺害したとして、警察に逮捕される。
死体は見つからなかったが、現場に残された血痕などから、警察はゼバスティアンを厳しく追求。
拷問まがいの取り調べで、犯行を自供する。
が、弁護士のビーグラーに対して、自供は拷問による強要と告白し、無罪を主張。
死体のない殺人事件の裁判が始まる……。

シーラッハの本はこれが4冊目。
はっきり言って、ガッカリした。
もともと本国でも賛否両論に分かれたという話だが、僕は全然ダメだと思う。
ミステリーの変種、と言えば聞こえがいいが、これはやってはいけない禁じ手。
前半で充分に伏線が張ってあったものの、それでもラストで「こりゃないよ!」と腹が立った。
が、この本の前に読んだ『犯罪』『罪悪』『コリーニ事件』はおもしろかったので、これからも読み続けようと思う。

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アイ・アム・マザー [映画]

9月10日(火)
グラント・スピュートリ監督『アイ・アム・マザー』(2019年)netflixで鑑賞。

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


再増殖施設。
アンドロイド(声/ローズ・バーン)の手により、一人の女の子が誕生する。
施設内には、他に人間もアンドロイドもいない。
女の子はアンドロイドを母と呼び、順調に育つ。
母の話によれば、人類は滅亡し、世界は細菌で汚染されているため、外出は禁止。
女の子(クララ・ルガアード)はやがて十代半ばに成長し、母から高度な教育を受けるようになる。
ある日、施設の外から、人間の女性の声が聴こえる。
怪我をしているとわかり、女の子は扉を開けてしまう。
中に入ってきた女(ヒラリー・スワンク)は腹を撃たれていた……。

登場人物はクララ・ルガアード、ヒラリー・スワンクの2人だけ。
アンドロイドを入れても3人。
緊迫感があって、序盤・中盤はおもしろかったが、終盤、人間2人が施設を脱出してからがあまり盛り上がらず。
ドラマが発展・展開しなかったからだろう。
しかし、中盤まででも充分に見る価値はある。
クララ・ルガアードも可愛かった。
今回も画像が手に入らなかったので、ヒラリー・スワンク主演の『ミリオンダラー・ベイビー』の画像を貼った。
こっちは正真正銘の傑作。
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国のない男 [本]

9月9日(月)
カート・ヴォネガット『国のない男』(NHK出版)

国のない男 (中公文庫)

国のない男 (中公文庫)

  • 作者: カート・ヴォネガット
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: 文庫


アメリカのSF作家カート・ヴォネガットの最後のエッセイ集。

カート・ヴォガットは1922年、アメリカ、インディアナポリス生まれ。
SFの枠を越え、現代アメリカ文学を代表する作家として活躍。
代表作は『プレイヤー・ピアノ』『タイタンの妖女』『猫のゆりかご』『スローターハウス5』など。
2007年、84歳で死去。
アイオワ大学で創作を教えていた時、ジョン・アーヴィングが教え子だったらしい。
村上春樹が大きな影響を受けていることも有名。
僕も大好きで、ほとんどの作品を読んでいる。
一番好きなのはやっぱり『スローターハウス5』。
しかし、この本は毒舌が過ぎて、ついていけなかった。
残念。

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ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー [映画]

9月9日(月)
ギレルモ・デル・トロ監督『ヘルボーイ/ゴールデンアーミー』(2008年)netflixで鑑賞。

ヘルボーイ ゴールデン・アーミー [DVD]

ヘルボーイ ゴールデン・アーミー [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • メディア: DVD


アメリカ、ニュージャージー州トレントンにある超常現象捜査防衛局(BPRD)。
そこには捜査員として、怪力のヘルボーイ(ロン・パールマン)、火を操るリズ(セルマ・ブレア)、半魚人のエイブ(ダグ・ジョーンズ)が所属していた。
ある日、マンハッタンで行われた古代遺物のオークションに、妖精の王子ヌアダ(ルーク・ゴス)が現れる。
彼は会場にいた人間を「歯の妖精」に食い尽くさせ、「ベツムーラの王冠」の一部を奪い去る。
彼の目的は、王冠の部品を集めて、「ゴールデン・アーミー」を復活させ、人類を滅ぼすことだった……。

『パシフィック・リム』で名を挙げたギレルモ・デル・トロ監督の出世作。
『ヘルボーイ』シリーズの2作目。
1作目の監督もギレルモだが、評判は良くない。
2作目の評判がばかに良いので、1作目を未見の状態で鑑賞した。
原作がアメコミで、荒唐無稽な話だが、なかなかよくできているし、登場人物たちも魅力的。
中でも、ヌアラ王子の双子の姉・ヌアラ王女(アンナ・ウォルトン)に恋する半魚人エイブが可愛かった。
掘り出し物だった。

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花窗玻璃 [本]

9月8日(日)
深水黎一郎『花窗玻璃』(河出文庫)読了。

花窗玻璃 天使たちの殺意 (河出文庫)

花窗玻璃 天使たちの殺意 (河出文庫)

  • 作者: 深水 黎一郎
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/10/06
  • メディア: 文庫


警視庁捜査一課の警部・海埜は、甥の神泉寺瞬一郎から、『花窗玻璃』という小説を読まされる。
それは、瞬一郎が19歳の時に遭遇した事件を描いたものだった。
舞台はフランスのランス。
ある夜、ランス大聖堂の二つの塔のうちの一つから、一人の男が転落死する。
偶然近くを通りかかった地元警察の刑事・ランスは、すぐに塔の階段を駆け上る。
しかし、屋上には無人。
途中、誰ともすれ違わなかった。
大聖堂内の模写をしながら暮らしていた瞬一郎は、直ちに一人で捜査を開始するが……。

深水黎一郎氏の本はこれが14冊目。
『花窗玻璃』は「ステンドグラス」と読む。
というふうに、瞬一郎の小説内小説は、外来語がすべて漢字で表記される。
読みにくいこと、この上ない。
執筆の時間も倍かかったのではないかと思う。
ランス大聖堂にはマルク・シャガールのステンドグラスがあって、それがある祈祷室内で、第二の死体が発見される。
登場人物の一人で、ステンドグラスの専門家が、ステンドグラスの最盛期は12~13世紀と断定しているのがおもしろかった。
その頃のステンドグラスはガラスの質が悪く、光を通さず、暗いらしい。
まさに目からウロコだった。

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あの人に逢えるまで [映画]

9月8日(日)
カン・ジェギュ監督『あの人に逢えるまで』(2014年)netflixで鑑賞。

あの人に逢えるまで [DVD]

あの人に逢えるまで [DVD]

  • 出版社/メーカー: オデッサ・エンタテインメント
  • メディア: DVD


ソウル。
ヨニ(ムン・チェウォン)は一人暮らしの若い女性。
夫のミヌ(コ・ス)の帰りを待っている。
最近、記憶力が低下してきていて、薬を飲んだり、リハビリに行ったりしている。
ある日、役人がやってきて、「あの人に会いに行きましょう」と言う。
ヨニは他の人々とともに、バスに乗って、出発した。

わずか28分の映画。
原題は『ミヌさんが来る日』。
香港国際映画祭が毎年製作しているオムニバス映画『美好』シリーズの『美好2014』に収録された4篇のうちの1篇で、中国語タイトルは『戀慕』。
あるトリックが仕掛けられていて、何か変だなと思いながら見ているうちに、ハッと気付く。
勘のいい人はすぐに気付くだろうが、僕はクライマックスの直前でハッとした。
28分の短編だから、ワン・アイディアで勝負。
そして、見事に勝利していると思う。
ムン・チェウォンが可愛かった。

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関修一の世界 [本]

9月7日(土)
関修一『関修一の世界』(東京書籍)読了。

関修一の世界: キャラクターデザイン・ワンダーランド

関修一の世界: キャラクターデザイン・ワンダーランド

  • 作者: 関 修一
  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2014/04/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


アニメーションのキャラクター・デザイナーの関修一の作品集。

関修一は、1946年生まれ。
日本テレビジョン(現エイケン)に入社し、『忍風カムイ外伝』(1968年)で初めてキャラクター・デザインを担当。
同社を退社後、フリーとして『小さなハイキング・ビッケ』(1974年)、『ペリーヌ物語』(1978年)、『トム・ソーヤーの冒険』((1980年)、『ふしぎな島のフローネ』(1981年)などのキャラクター・デザインを担当。
ただし、この本に収められているのは当時の絵ではなく、最近になって新たに描かれたもの。
資料として、ペリーヌのキャラクターが決まるまでの変遷が載っていて、とてもおもしろかった。

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ルーキー・ハウス・ガール [映画]

9月7日(土)
フィル・トレイル監督『ルーキー・ハウス・ガール』)2011年)GYAOで鑑賞。

ルーキー・ハウス・ガール [DVD]

ルーキー・ハウス・ガール [DVD]

  • 出版社/メーカー: エルディ
  • メディア: DVD


イギリス。
キム(フェシリティ・ジョーンズ)は幼い頃からスケートボードの選手として活躍していたが、大会で優勝した帰り、交通事故で母を亡くす。
キムもスケートボードが怖くなり、競技を辞める。
19歳になった今、仕事をしない父を、バイトと家事で面倒見ていた。
ある日、友人から、オーストリアのアルプス地方の高級別荘地で、別荘の住人を世話するシャレーガールをやらないかと誘われる。
担当の別荘には先輩シャレーガールのジョージア(タムシン・エガートン)がいた。
仕事がない時、キムは山荘の前のスキー場でスノーボードの練習を始める。
数日後、持ち主の大金持ちの一家がやってくる。
父(ビル・ナイ)、母(ブルック・シールズ)、長男(エド・ウェストウィック)、長男の彼女、次男の5人だった……。

『ローグワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でヒロインを演じたフェシリティ・ジョーンズのそれ以前の主演作。
『ローグワン』のおかげで、このDVDも発売されたのだろう。
原題はもちろん『Chalet Girl』。
ありがちなストーリーだが、フェシリティ・ジョーンズの魅力と、ビル・ナイなど脇役の充実で、楽しめる映画になっていた。

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パロディスム宣言 [本]

9月6日(金)
倉本美津留『パロディスム宣言』(美術出版社)読了。

パロディスム宣言 笑い伝道師の名画鑑賞術

パロディスム宣言 笑い伝道師の名画鑑賞術

  • 作者: 倉本美津留
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2019/05/17
  • メディア: 単行本


放送作家の倉本美津留が、世界の名画のパロディを楽しむ方法を伝授する。

マルセル・デュシャンが『モナ・リザ』にヒゲを描いた『LHOOQ』という作品が、この本の出発点。
倉本氏はミレーの『落穂拾い』やアレクサンドル・カバネルの『ヴィーナスの誕生』に悪戯書きをしてみせる。
それには苦笑するしかなかったが、世界の名画の中にも先行作品のパロディは数多あり、それを紹介する部分がおもしろかった。
ルネ・マグリットの『遠近法Ⅱ:マネのバルコニー』は、エドゥアール・マネの『バルコニー』のパロディ。
サルバトール・ダリの『黄昏時の隔世遺伝』は、フランソワ・ミレーの『晩鐘』のパロディ。
パブロ・ピカソの『ラス・メニーナス』は、ディエゴ・ベラスケスの『ラス・メニーナス』のパロディ。
そこには元になった作品への深いリスペクトがある。
だからこそ、パロディが芸術になったのだと思う。

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世界でバカにされる日本人 [本]

9月5日(木)
谷本真由美『世界でバカにされる日本人』(ワニブックス「PLUS」新書)読了。

世界でバカにされる日本人 - 今すぐ知っておきたい本当のこと - (ワニブックスPLUS新書)

世界でバカにされる日本人 - 今すぐ知っておきたい本当のこと - (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者: 谷本 真由美
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2018/08/22
  • メディア: 新書


シラキュース大学大学院を卒業し、国連専門機関等で就労した後、現在はロンドン在住の著述家・谷本真由美が、海外から見た日本人の弱点・欠点を解説する。

この本はダメだろう。
ヨーロッパ北部の食事は、食卓に調味料が並べてあり、食べる人がそれぞれ味つけする。
日本料理は既に味付けされているから、食べる人が味付けを選べない。
これは「おもてなし」の心に反する、と谷本氏は書く。
料理の味付けを否定するとは、なんというバカげた意見だろう。
この本のすべてがバカげているわけではなく、中には耳を傾けるべき意見もある。
が、上記の部分を読んで、呆れ果てた。
編集部はなぜチェックしなかったのか。
残念。

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