希林さんといっしょに。

１０月２５日（日）
是枝裕和『希林さんといっしょに。』（スイッチ・パブリッシング）読了。

【Amazon.co.jp 限定】希林さんといっしょに。(ポストカード付)

• 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
• 発売日: 2019/09/14
• メディア: 単行本

映画監督の是枝裕和による、女優・樹木希林へのインタビュー集。

２００８年から２０１８年の間に４回行なわれ、雑誌『ＳＷＩＴＣＨ』に掲載された。
希林さんは是枝監督の映画に６本出演している。
『歩いても歩いても』『奇跡』『そして父になる』『海街diary』『海よりもまだ深く』『万引き家族』。
是枝監督はそのビデオを希林さんに見せながら、「ここではどうしてこんな演技をしたのか？」と質問する。
それによって、希林さんの俯瞰的な物の見方、演出家・プロデューサー的な視点を持った演技が浮かび上がってくる。
演技論だけでなく、様々なエピソードがおもしろい。
〇内田裕也と結婚する前に、岸田森と結婚していた。が、この話は内田がイヤがるのであまりしない。
〇橋爪功とは文学座の同級生で、５０年にわたる友人だった。
〇自分を女優より芸能人だと思っている。
〇仲間と文学座を脱退して作った劇団に、１６歳の松田優作が入ってきた。
〇吉永小百合とは『夢千代日記』以来の仲良し。
自他ともに認める、意地悪な人。
とにかく他人に意地悪なことを言うのが大好きなのだ。
是枝氏は、希林さんは女優として、田中裕子と大竹しのぶを意識していたのではないかと言う。
悪口・噂話が大好きな希林さんが、この２人については語りたがらないのだ。
巻末に、希林さんの告別式における是枝氏の弔辞が載っていた。
当日、是枝氏は出席できず、橋爪功氏が代読したらしい。
涙なしでは読めない。
お薦めです。

エノーラ・ホームズの事件簿

１０月２４日（土）
ハリー・ブラッドビア監督『エノーラ・ホームズの事件簿』（２０２０年）ＮＥＴＦＬＩＸで鑑賞。



イギリスの田舎町。
エノーラ・ホームズ（ミリー・ボビー・ブラウン）は１６歳で、母のユードリア（ヘレナ・ボナム＝カーター）と二人暮らし。
兄のマイクロフト（サム・クラフリン）とシャーロック（ヘンリー・カヴィル）は成人して、ロンドンで生活している。
ある日、ユードリアが突然失踪！
兄二人がやってきて、エノーラを寄宿学校に入れようとする。
エノーラはユードリアを探すため、一人でロンドンへ向かう。
行きの列車の車中で、バジルウェザー・テュークスベリー侯爵（ルイス・パートリッジ）と出会う。
彼は、彼を軍人にさせようとする母と祖母から逃げてきたのだった……。

Netflixオリジナル映画で、原題は『Enola Holmes』。
ナンシー・スプリンガーのミステリ小説「エノーラ・ホームズの事件簿シリーズ」を映画化。
ヒロインがあまり可愛くないのと、脚本の弱さが気になったが、そこそこ楽しめた。
１９世紀末のロンドンの景色がすばらしい。
ヘレナ・ボナム＝カーターの強くてミステリスな母親が何とも魅力的だった。
ヘンリー・カヴィルは、シャーロック・ホームズにしては逞しすぎると思ったが、無茶苦茶カッコよかったので、オーケイ！
２０２０年９月２３日に世界同時配信。
Netflixに入ってて良かったと思うのはこういう時。

トゥルー・クライム

１０月２４日（土）
クリント・イーストウッド監督『トゥルー・クライム』（１９９９年）ＷＯＷＯＷ鑑賞。

トゥルー・クライム 特別版 [DVD]

• 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
• 発売日: 2011/07/20
• メディア: DVD

アメリカ、オークランド。
スティーヴ・エヴェレット（クリント・イーストウッド）はニューヨークで活躍する新聞記者だったが、不祥事を起こして、オークランド・トリビューンに転職。
しかし、女グセの悪さは治らず、デスクのボブ（デニス・リアリー）の妻にまで手を出す始末。
編集長アラン（ジェームズ・ウッズ）の命令で、サン・クエンティン刑務所で今夜午前零時に死刑が執行される死刑囚フランク（イザイア・ワシントン）の取材に行くことになる。
前夜、交通事故で亡くなった同僚のミシェル（メアリー・マコーマック）の代役だった。
しかし、その日は妻バーバラ（ダイアン・ヴェノーラ）に頼まれて、娘ケイティ（フランシスカ・フィッシャー＝イーストウッド）と動物園へ行く約束をしていた……。

クリント・イーストウッド監督の映画はこれが３５本目。
アンドリュー・クラヴァンのサスペンス小説『真夜中の死線』の映画化。
死刑囚の無実をたったの半日で証明してしまうという、実にムチャな話なのだが、見ているうちはちゃんと信じられ、楽しめる作品になっていた。
さすがはイーストウッドとしか言いようがない。
娘の「ケイティ」役のフランシスカ・フィッシャー＝イーストウッドは、監督の実の娘らしい。
また、検事の「セシリア」役のフランシス・フィッシャーは、その母親で、監督の元恋人らしい。
さらに、監督の撮影当時の妻ダイナ・イーストウッドも、小さな役で出演しているらしい。
凄い人ですね、イーストウッドは。

もっと知りたい東寺の仏たち

１０月２４日（土）
根立研介＋新見康子『もっと知りたい東寺の仏たち』（東京書籍）読了。

もっと知りたい東寺の仏たち (アート・ビギナーズ・コレクション)

• 出版社/メーカー: 東京美術
• 発売日: 2011/07/20
• メディア: 単行本

京都大学大学院文学研究科教授の根立研介と、東寺文化財保護課長の新見靖子が、京都の東寺の歴史と所蔵する仏像を解説する。

東寺は西暦７９４年の平安遷都後まもなく創建されたので、１２００年以上の歴史がある。
何度も火災に遭っているが、それでも１２００年前の仏像が何体も残っている。
僕も若い頃は、古い物に対して、古いだけじゃねえか、時間が経っただけじゃねえか、と思っていたが、今は古いということだけで十分に価値があると思うようになった。
自分という人間が古くなったからだろうし、長い時間を保つということの難しさに気付いたからでもあるだろう。
東京書籍の「アート・ビギナーズ・コレクション」もこれが４２冊目。
非常にタメになるシリーズで、ずっと読み続けてきたが、残りが少なくなってきた。
ここまで来ると、コンプリートしたいと思う。

いるのいないの

１０月２３日（金）
京極夏彦『いるのいないの』（岩崎書店）読了。

怪談えほん (3) いるの いないの (怪談えほん3)

• 出版社/メーカー: 岩崎書店
• 発売日: 2012/01/28
• メディア: ハードカバー

恒川光太郎『ゆうれいのまち』（岩崎書店）読了。

怪談えほん (4) ゆうれいのまち (怪談えほん4)

• 出版社/メーカー: 岩崎書店
• 発売日: 2012/02/29
• メディア: 大型本

文芸評論家の東雅夫が編集した、小説家が書いた怪談の絵本のシリーズ「怪談えほん」の２冊。
第３巻の『いるいいないの』は、京極夏彦の文、町田尚子の絵。
第４巻の『ゆうれいのまち』は、恒川光太郎の文、大畑いくのの絵。

京極夏彦氏と言えば、妖怪、心霊、怪談の専門家。
さぞかし怖い作品だろうと期待して読んだら、いやあ、凄いの何の。
最後のページで本当にゾッとした。
さすがは京極氏、怪談のツボを見事に押さえている。
町田尚子氏の絵もすばらしく、これは歴史に残る名作ではないかと思った。
お薦めです。

悪魔のいけにえ

１０月２３日（金）
トビー・フーパー監督『悪魔のいけにえ』（１９７４年）ＮＥＴＦＬＩＸで鑑賞。

悪魔のいけにえ 公開40周年記念版(価格改定) [Blu-ray]

• 出版社/メーカー: 松竹
• 発売日: 2018/10/17
• メディア: Blu-ray

アメリカ・テキサス州で墓荒らしが続発。
5人の若い男女が墓の無事を確かめるため、車で故郷の墓地に向かう。
サリー・ハーデスティ（マリリン・バーンズ）、サリーの兄で車椅子に乗るフランクリン（ポール・A・パーテイン）、サリーの恋人のジェリー（アレン・ダンジガー）、サリーの友達のパム（テリー・マクミン）、パムの恋人のカーク（ウィリアム・ヴェイル）の５人。
サリーが子供の頃に住んでいた家に着くが、車がガス欠で動かなくなる。
カークが近くの家にガソリンを分けてもらいに行く。
無人かと思って中に入ると、いきなりレザーフェイスの男（ガンナー・ハンセン）がハンマーで殴りかかってきた……。

原題は『The Texas Chain Saw Massacre（テキサス・チェーンソー大虐殺）』。
ホラー映画の古典的な名作で、公開当時は内容の残虐さから大いに話題になった。
今見ると、チェーンソーで人体を切断する映像はなく、その後のいわゆるスプラッターもののようなグロさはない。
が、レザーフェイスの一家の設定は狂気そのものだし、ストーリーも情け容赦ない。
僕が今まで見たホラー映画の中で最もショッキングだった。
故に当然、お薦めしない。

ベストセラー

１０月２３日（金）
マイケル・グランデージ監督『ベストセラー』（２０１６年）ＧＥＯのレンタルＤＶＤで鑑賞。

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ [DVD]

• 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
• 発売日: 2017/03/03
• メディア: DVD

１９２０年代、ニューヨーク。
マックス・パーキンス（コリン・ファース）は、フィッツジェラルド（ガイ・ピアース）やヘミングウェイ（ドミニク・ウェスト）と組んで数々のベストセラーを世に出した編集者。
妻（ローラ・リニー）と５人の娘に囲まれて、幸せに暮らしている。
ある日、持ち込みの長大な長編を読み、作者を事務所に呼び出す。
作者の名はトマス・ウルフ（ジュード・ロウ）。
マックスとトマスはその長編を圧縮し、『天使よ故郷を見よ』というタイトルで出版。
すぐにセンセーションを巻き起こし、ベストセラーとなる。
が、トマスの妻アイリーン・バーンスタイン（ニコール・キッドマン）は、執筆に夢中になって家庭を顧みないトマスに不満を募らせる……。

原題は『 Genius』。
実話に基づいた映画。
トマス・ウルフ『天使よ故郷を見よ』は、聞いたことはあったが、もちろん未読。
わずか３８歳で亡くなったため、作品数は多くないが、アメリカにおける評価は高く、アメリカ現代文学では重要な作家の一人とされているらしい。
マックス・パーキンスのことも初めて知ったが、『グレート・ギャツビー』も『老人と海』もこの人が書かせたというのだから恐れ入った。
お馴染みの名優たちがキッチリ仕事をしていて、見応えのある映画になっていた。

シーソーモンスター

１０月２２日（木）
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』（中央公論新社）読了。

シーソーモンスター (単行本)

• 作者: 伊坂 幸太郎
• 出版社/メーカー: 中央公論新社
• 発売日: 2019/04/05
• メディア: 単行本

北山直人は製薬会社の営業部に勤めていて、母、妻と３人暮らし。
母のセツと妻の宮子の対立に心を痛めている。
宮子は今は専業主婦だが、結婚前は国の機関で諜報員をしていた。
諜報のためのあらゆる訓練をしていたため、姑ともうまくやれると思っていた。
が、セツを前にすると、いつも冷静でいられなくなった。
なぜこんなに馬が合わないか？
ある日、保険会社のセールスマンとして家を訪れた石黒市夫という男が言った。
「規模の大きな相性」の問題なのだと……。

『シーソーモンスター』と『スピンモンスター』の中編２作なら成る本。
この２作には関連性があるので、連作中編ということになる。
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』の時に紹介した、日本の歴史における海族と山族の対立を描いた小説群「螺旋プロジェクト」の１作。
『シーソーモンスター』は「平成」、『スピンモンスター』は「近未来」の担当。
伊坂幸太郎氏の作品らしく、意外な展開、意外な伏線とその回収、センスのいい会話に満ちていて、非常に楽しめた。
お薦めです。

今年４５回目のジョギング。
３，５キロ走って、１，９キロ歩きました。
３，５キロのタイムは１９分３３秒。
前回は前半でバテてしまったので、今回は抑え目に走ったところ、１分４４秒短くなって、並の記録に戻りました。
良かった良かった。
『成井豊と梅棒のマリアージュ』の脚本第二稿は昨日、完成！
プロデューサーの仲村和生君にメールで送り、今日からは次の仕事に取りかかりました。
詳細は追ってお知らせします。

ナイブズ・アウト

１０月２２日（木）
ライアン・ジョンソン監督『ナイブズ・アウト』（２０１９年）ＮＥＴＦＬＩＸで鑑賞。

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 [DVD]

• 出版社/メーカー: バップ
• 発売日: 2020/07/22
• メディア: DVD

アメリカ、マサチューセッツ州。
著名なミステリー作家ハーラン・スロンビー（クリストファー・プラマー）の自邸で、８５歳の誕生パーティーが開かれ、一族が集合する。
翌朝、家政婦のフランが、ハーランの喉が切られて死んでいるのを発見。
警察は死因を自殺と認定するが、私立探偵のブノワ・ブラン（ダニエル・クレイグ）が正体不明の者から依頼の手紙を受け取り、屋敷にやってくる。
ブノワはエリオット警部補（ラキース・スタンフィールド）ともに、家族への尋問を開始する……。

『スター・ウォーズ／最後のジュダイ』のライアン・ジョンソン監督が、脚本・監督をしたミステリー映画。
この脚本が非常に良い出来で、第９２回アカデミー賞の脚本賞にノミネートされた。
主人公は、ハーランの看護師のマルタ・カブレラ（アナ・デ・アルマス）。
嘘をつくとゲロを吐くという設定が何ともおもしろい。
名探偵役のダニエル・クレイグは、ジェームズ・ボンドとは全然違う役作りで、怜悧で厭味な名探偵を見事に演じている。
他に、クリス・エヴァンス、ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノン、ドン・ジョンソン、トニ・コレットらが出演。
お薦めです。

星を追う子ども

１０月２２日（木）
新海誠監督『星を追う子ども』（２０１１年）ＷＯＷＯＷで鑑賞。

劇場アニメーション『星を追う子ども』 [DVD]

• 出版社/メーカー: メディアファクトリー
• 発売日: 2011/11/25
• メディア: DVD

明日菜は幼い頃に父を亡くし、母と二人で暮らしている。
仕事をしている母に代わって家事をしながら、近くの山に作った秘密基地に行ったり、父の形見の鉱石ラジオを聞いたり、猫のような動物のミミと遊んだりの毎日。
ある日、秘密基地へ行く途中で、巨大な怪獣に襲われる。
明日菜を救ってくれたのは、シュンという名の少年だった。
シュンは「アガルタ」から来たと言った……。

新海誠監督の映画はこれが７本目。
見始めてすぐに気付くが、スタジオジブリの様々な作品に似ている。
新海監督も当時のインタビューで、自覚的にやったと言っている。
しかし、出来上がったのは似て非なるもの。
新海監督の作品はこれですべて見たことになるが、これが最も新海監督らしさがなく、ゆえに魅力に欠ける作品だった。
ちなみに、７作しかないが、僕のベスト３作は、
１『秒速５センチメートル』
２『言の葉の庭』
３『ほしのこえ』