ウディ・アレン追放：成井豊の公式ブログ：SSブログ

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ウディ・アレン追放　[本] [編集]

４月２６日（金）
猿渡由起『ウディ・アレン追放』（文藝春秋）読了。

作者: 猿渡由紀
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 2021/06/10
メディア: 単行本

ロサンゼルス在住のジャーナリスト・猿渡由起が、映画監督ウディ・アレンの半生と近年のスキャンダルを解説する。

ウディ・アレンは1935年、ニューヨークのブロンクス生まれ。
両親はロシア＝オーストリア系ユダヤ人で、アレンの本名はアラン・スチュアート・コニグズバーグ。
コニグズバーグ家は正統的なユダヤ教徒だったので、ユダヤ教の様々な儀式を行い、アレンも８年間ヘブライ語学校に通い、宗教嫌いになった。
1952年、ハイスクール在学中にギャグライターとなり、両親よりも稼ぐようになる。
1953年、ニューヨーク大学教養学部に入学。
映画製作を専攻し、英文学とスペイン語を中心に学んだが、授業の大半をさぼり、中退。
ニューヨーク市立大学シティカレッジ映画科に入り直したものの、またもや中退。
1955年、同級生の兄ハーヴィ・メルツァーとマネージメント契約を結び、NBCの放送作家養成プログラムに参加。
シド・シーザーのグループで、ダニー・サイモン、メル・ブルックス、ラリー・ゲルバードらと共に働いた。
1960年、スタンダップ・コメディアンとして活動開始。
同年のアート・カーニー主演の『愛のために万歳』、1962年のアラン・アルダ主演の『ラフメーカーズ』などのテレビ映画で脚本家デビュー。
1965年、『何かいいことないか子猫チャン』で脚本・俳優として映画デビュー。
1969年、『泥棒野郎』で初監督。
1977年、『アニー・ホール』でアカデミー監督賞・脚本賞を受賞。
1986年、『ハンナとその姉妹』でアカデミー脚本賞を受賞。
2011年、『ミッドナイト・イン・パリ』でアカデミー脚本賞を受賞。
長年にわたって、１年に１本、映画を撮り続けてきた。
そのほとんどが、ニューヨークを舞台にしたコメディ。
アレンの映画に出演するとアカデミー賞を取りやすいことから、大スターたちが安いギャランティで出演することで有名。
私生活では、２度の離婚の後、ダイアン・キートンと恋人になった。
結婚せずに別れたが、友人関係は継続。
その後、ミア・ファローと交際するようになったが、彼女の養子スン・イー（当時21歳）との肉体関係が発覚（その後、アレンとスン・イーは結婚した）。
また、ファローは、ウディがファローの養女ディラン（当時７歳）に性的虐待をしたと訴えた。
ウディは、親権訴訟で有利になるためにファロー側がでっち上げたものとして、虐待行為を一貫して否定。
1994年の親権裁判では、虐待疑惑についての証拠が決定的でないとの判断が下された。
しかし、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ暴露をきっかけに起きた「#MeToo」運動の余波で、『女と男の観覧車』が大コケ。
次の『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』に出演したティモシー・シャラメ、エル・ファニング、グリフィン・ニューマン、レベッカ・ホールは出演料を全額寄付。
アマゾン・スタジオは本作のアメリカでの上映を無期限延期を決定し、アレンとの４本の映画製作の契約をキャンセル。
アレンは完全に干された。
まあ、今年で89歳だし、撮りたいだけ撮ったと思う。
僕はアレンの映画は大好きで、ほとんど見ているが、人間としてはひどい偏りがあり、ひとかけらも尊敬できない。
まあ、ミア・ファローも相当ひどいが。
ウディ・アレンの人生が手際よくまとめられた本。
お薦めです。