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タクシー運転手 [映画]

8月16日(金)
チャン・フン監督『タクシー運転手』(2017年)WOWOWで鑑賞。

タクシー運転手 約束は海を越えて [Blu-ray]

タクシー運転手 約束は海を越えて [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


1980年5月、ソウル。
マンソプ(ソン・ガンホ)は個人タクシーの運転手で、11歳の娘と2人暮らし。
家賃を滞納中で、車の修理代も、娘に靴を買ってやる金もない。
ある日、知り合いの運転手が、外国人に光州まで10万ウォンで行ってくれと頼まれた、と言うのを聞き、本人より先に待ち合わせの場所へ行く。
相手はドイツ人の男で、英語を話した。
マンソプはサウジアラビアに出稼ぎに行ったことがあったので、カタコトの英語が話せた。
二人は光州に向かうが、町の入口に軍隊の検問があり、追い返されてしまう。
ドイツ人は実は記者で、何としても光州に行きたいと言う。
マンソプは半金の5万ウォンをもらい、脇道に入った……。

実話に基づいた映画。
お馴染みソン・ガンホが、いつも通りの小心で小狡い小市民を愛嬌たっぷりに演じている。
後半、光州に入ってからは、軍隊による殺戮の嵐で、名高い「光州事件」をこれでもかとリアルに描く。
小市民のタクシー運転手が徐々にヒーローに成長していくのが素直に信じられた。
クライマックスのカーチェイスはさすがにやりすぎだと思ったが、映画自体はよくできている。
お薦めです。


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神去なあなあ夜話 [本]

8月16日(金)
三浦しをん『神去なあなあ夜話』(徳間書店)読了。

神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

  • 作者: 三浦しをん
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/06/03
  • メディア: 文庫


三重県神去村。
平野勇気は20歳、横浜出身で、神去村の中村林業株式会社に入社して2年目。
会社の先輩の飯田与喜の家に下宿している。
最初はイヤでたまらなかった林業だが、1年で大分慣れてきた。
相変わらず、小学校教師の直紀に片思いしているが、なかなか会う機会がない。
ある日、与喜の祖母の繁ばあちゃんが、神去の昔話を語り始める。
神去は昔、水の中にあった。
村の半分は大きな池だったのだ。
その池に、蛇神様が住んでいた……。

三浦しをん氏の本はこれが11冊目。
『神去なあなあ日常』に続く、シリーズ第二作。
前作は、都会の若者が山奥の林業の現場に放り込まれ、徐々に成長していく物語だったが、今作は、神去村とその住人たちをより深く描いていく。
僻村の濃密な人間関係は、最初のうちは外来者を戸惑わせるが、慣れてしまえば、この上ない安心感を与える。
しかも、余計な情報や娯楽がないため、生活は至ってシンプル。
それは一種のユートピアにさえ見える。
ただ、ここまで細かく描いてしまうと、もう続編はなさそうな気がする。

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ラスト・プレゼント [映画]

8月15日(木)
オ・ギファン監督『ラスト・プレゼント』(2001年)GEOのレンタルDVDで鑑賞。

ラスト・プレゼント [DVD]

ラスト・プレゼント [DVD]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD


ヨンギ(イ・ジョンジェ)は売れないコメディアン。
才能はあるがコネがないため、相棒と二人で、テレビの前説をやっている。
妻のジョンヨン(イ・ヨンエ)は、小さな子供服店を経営して、二人の生活を支えている。
二人の間には子供がいたが、2年前に亡くなった。
以来、二人の仲はギクシャクしている。
ある日、ヨンギはプロダクションの社長ハクス(クォン・ヘヒョ)と秘書ハッチョル(イ・ムヒョン)に1千万ウォンを出せば売れっ子にしてやると持ちかけられる。
その場では断ったが、後で考え直したヨンギは、ジョンヨンの店の権利書を持ち出してしまう……。

韓国で大ヒットした映画。
ジョンヨンは実は難病に冒されていて、死が近いにもかかわらず、ヨンギの前はガミガミ怒る。
やがてヨンギは事実を知るが、ジョンヨンのために、気付かないフリをする。
とまあ、美しき夫婦愛を描いた映画というわけだが、脚本があまりも杜撰で、とても現実とは思われず、お伽話として楽しむしかない。
僕は専らイ・ヨンエの美貌を堪能することに集中した。
大ヒットしたのも、イ・ヨンエが原因なのではないか?
残念。

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もっと知りたいボナール [本]

8月15日(木)
高橋明也+島本英明『もっと知りたいボナール』(東京美術)読了。

もっと知りたいボナール 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたいボナール 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  • 作者: 高橋 明也
  • 出版社/メーカー: 東京美術
  • 発売日: 2018/08/01
  • メディア: 単行本


三菱一号館美術館館長の高橋明也と、石橋財団ブリジストン美術館学芸員の島本英明が、フランスの画家ピエール・ボナールの生涯と作品を解説する。

ピエール・ボナールは1867年、パリ近郊のフォントネ=オ=ローズ生まれ。
父は陸軍省の役人で、3人兄弟の2番目。
父の希望で大学法学部まで進み、司法試験にも合格したが、1887年、私立の画塾アカデミー・ジュリアンに入学。
1889年、登記所に勤めながら、国立美術学校に入学。
同年、ポール・ゴーギャンの指導を受けたセリュジエを中心に、ドニ、ランソン、ヴュイヤールらとナビ派を結成。
1891年、第一回「ナビ派展」に参加。
ボナールは日本の浮世絵の影響が強く、「ナビ・ジャポナール(日本かぶれのナビ)」と呼ばれた。
また、身近で愛おしい題材を描くことから、「アンティミスト(親密派)」とも呼ばれた。
その後、ピエール=オーギュスト・ルノワール、クロード・モネ、アンリ・マティスらと交流しながら、活躍。
1947年、80歳で死去。
ゴーギャンとルノワールの影響が強く、その絵はどれもボンヤリとしている。
その良さが、僕にはあまりわからない。

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スパイダーマン/ホームカミング [映画]

8月14日(水)
ジョン・ワッツ監督『スパイダーマン/ホームカミング』(2018年)netflixで鑑賞。

スパイダーマン:ホームカミング ブルーレイ & DVDセット [Blu-ray]

スパイダーマン:ホームカミング ブルーレイ & DVDセット [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


ニューヨーク。
ピーター・パーカー(トム・ホランド)は15歳の高校生。
放課後、人には内緒で、スパイダーマンとして人助けをしている。
アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)から新しいスーツをもらい、いよいよアベンジャーズに入れてもらえると思ったら、まだと言われてガッカリ。
ある日、異常なパワーを有する銃器を所持したギャングを発見。
彼らは、宇宙人の兵器の残骸から新たな銃器を作り、売り捌くバルチャー(マイケル・キートン)の部下たちだった……。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でアベンジャーズのシリーズに初登場した、トム・ホランドのスパイダーマンの、単独主演の第一作。
蜘蛛に噛まれたり、叔父さんが亡くなったりという事件は既に起きてしまっていて、ピーターは叔母さん(マリサ・トメイ)と二人暮らし。
アイアンマンに憧れて、人助けをしているが、トニー・スタークからは子供扱いされている。
トニー・スタークが偉そうでちょっと腹が立つが、厳格な師匠という役回りなのだ。
アベンジャーズのメンバーでは、キャプテン・アメリカもちょこっと出ていて、うれしかった。

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もののあはれ [本]

8月14日(水)
ケン・リュウ『もののあはれ』(ハヤカワ文庫)読了。

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

  • 作者: ケン リュウ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/05/09
  • メディア: 文庫


大翔(ひろと)が乗る宇宙船はおとめ座61番星を目指して宇宙を進んでいる。
地球に小惑星「鉄槌」が衝突することがわかり、地球はパニックになった。
大翔の両親はツテを辿って、大翔をアメリカの宇宙船に乗せることにした。
宇宙船の乗員のうち、日本人は大翔一人。
つまり、大翔は生き残った唯一の日本人となった。
大翔の仕事は宇宙船の太陽帆の監視。
ある日、その一部に破損が見つかった……。

アメリカで出版されたケン・リュウの第一短編集を、日本で2分冊して出版、この本はその2冊目。
1冊目の『紙の動物園』はファンタジー中心で、2冊目の『もののあはれ』はSF中心。
8つのSF短編が収録されている。
上記は一つ目の『もののあはれ』で、2013年度ヒューゴー賞短編部門受賞作。
ケン・リュウは中国系のアメリカ人だが、この小説の主人公は日本人で、中に俳句がいくつも出てくる。
ひょっとすると、日本語もできるのかもしれない。
8つ目の『良い狩りを』は、2016年度星雲賞海外短編部門受賞作。
こちらの舞台は中国だが、8つの中で一番おもしろかった。
お薦めです。


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イラストで読む奇想の画家たち [本]

8月13日(火)
杉全美帆子『イラストで読む奇想の画家たち』(河出書房新社)読了。

イラストで読む 奇想の画家たち

イラストで読む 奇想の画家たち

  • 作者: 杉全 美帆子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


グラフィックデザイナーの杉全美帆子が、奇想の画家7人を紹介・解説する。

取り上げられたのは、
ヒエロニムス・ボス(1450頃~1516/オランダ)
アルベルト・デューラー(1471~1528/ドイツ)
カラヴァッジョ(1571~1610/イタリア)
フランシスコ・デ・ゴヤ(1746~1828/スペイン)
ウィリアム・ブレイク(1757~1827/イギリス)
オディロン・ルドン(1840~1916/フランス)
アンリ・ルソー(1844~1910/フランス)
7人の中でも最もヘンテコな絵を描いたボスは、その人物像がほとんどわかっていないにも関わらず、敬虔なキリスト教信者であったことは間違いないらしい。
つまりボスは、まじめな信仰に基づいて、あの奇妙な動物たちを生み出したのだ。
これにはビックリ。
デューラーやカラヴァッジョの絵はあまり奇想と言えないのではないか?
ルソーは明らかに奇想だが、本人が聞いたら怒るのではないか?
ところで、ボスを越える奇想の画家、サルバトール・ダリはなぜ入ってないのか?
杉全さんの趣味じゃなっかたのかな?

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アントマン&ワスプ [映画]

8月13日(火)
ペイトン・リード監督『アントマン&ワスプ』(2018年)他4本鑑賞。

アントマン&ワスプ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

アントマン&ワスプ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray



U・ボート ディレクターズ・カット [Blu-ray]

U・ボート ディレクターズ・カット [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: Blu-ray



チェイサー [DVD]

チェイサー [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: DVD



ボーイズ'ン・ザ・フッド [Blu-ray]

ボーイズ'ン・ザ・フッド [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray



雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [Blu-ray]

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


ベイトン・リード監督『アントマン&ワスプ』(2018年)WOWOWで鑑賞。
アベンジャーズ・シリーズの1作。娯楽作品としては上質だが、原子より小さくなって量子世界へ行く、という設定にはついていけなかった。

ヴォルフガング・ペーターゼン監督『U・ボート』(1981年)WOWOWで鑑賞。
第二次世界大戦で活躍したドイツの潜水艦Uボートの戦いを描く。評判通りの秀作で、手に汗握った。

ナ・ホンジン監督『チェイサー』(2008年)netflixで鑑賞。
元刑事でデリヘルの社長が、行方不明になったデリヘル嬢を救うため、シリアルキラーと闘う。脚本がよくできていたが、描写が残酷すぎないか?

ジョン・シングルトン監督『ボーイズ’ン・ザ・フッド』(1991年)netflixで鑑賞。
黒人の少年の成長の物語。主役のキューバ・グッティングJr.も、父親役のローレンス・フィシュバーンも巧い!

ジャン=マルク・ヴァレ監督『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』2015年)netflixで鑑賞。妻を交通事故で亡くした男の苦悩を描く。詩的なタイトルと、ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツの出演に引かれて見たが、しょうもないストーリーにガッカリ。

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新熱海殺人事件 [本]

8月12日(月)
つかこうへい『新熱海殺人事件』(白水社)読了。

新 熱海殺人事件

新 熱海殺人事件

  • 作者: つか こうへい
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1990/06
  • メディア: 単行本


劇作家・つかこうへいの代表作『熱海殺人事件』の1990年版。

『熱海殺人事件』は1973年、文学座アトリエで、藤原新平の演出で初演。
翌年、つかこうへいは当時の最年少記録である25歳で岸田戯曲賞を受賞。
1975年、つかこうへい事務所で、つかこうへい自身の演出で再演。
1978年、新宿紀ノ國屋ホールで再々演。
高校2年生だった僕はこの再々演を見て、大ショックを受けた。
その時の木村伝兵衛は三浦洋一、熊田刑事は平田満、犯人・大山金太郎は加藤健一、婦警・ハナ子は井上加奈子。
翌年、伝兵衛が風間杜夫に交替、僕はこれも見ている。
その後、この作品はつか氏自身の手によって何度も書き直されたため、様々なバージョンがある。
『ソウル版熱海殺人事件』『熱海殺人事件ザ・ロンゲストスプリング』『熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン』『熱海殺人事件妹よ』『熱海殺人事件サイコパス』『売春捜査官』『平壌から来た女刑事』と、どんどん題名が変わっていった。
この本は1990年版で、まだ大きな変更はないが、それでも僕が見た78年・79年版とはいろいろ違う。
登場人物も、4人から8人に増えている。
しかし、ここにはまさに1970年代後半の日本がある。
この時、日本で一番おもしろいエンターテインメントは『熱海殺人事件』だった。
演劇界だけでなく、テレビの人も映画の人も見に行った。
今から考えると、非常に見事に80年代を先取りしていた。
ゆえに、80年代の演劇は『熱海殺人事件』の影響の元に展開していった。
夢の遊眠社も、第三舞台も、新感線も、MOPも、離風霊船もそうだった。
今読むと古臭いが、昭和最大の戯曲は間違いなくこれだと思う。
若い人たにはぜひともご一読をお薦めする。
勉強になりますよ!

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ベテラン [映画]

8月12日(月)
リュ・スンワン監督『ベテラン』(2015年)netflixで鑑賞。

ベテランBlu-ray

ベテランBlu-ray

  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


ソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)は、ソウル市警広域捜査隊のベテラン刑事。
チーム長のオ(オ・ダルス)、同僚のミス・ボン(チャン・ユンジュ)、ワン(オ・デファン)、ユン(キム・シフ)とともに働いている。
ある日、ドチョルはパーティーで、シンジン建設の社長の次男チョ・テオ(ユ・アイン)を紹介される。
そのワガママで傍若無人な態度に呆れ返る。
数日後、シンジン建設の自社ビル内で男が転落し、意識不明の重体に。
その男は以前、ドチョルの捜査に協力してくれた、トラックの運転手だった。
ドチョルは単独で捜査を開始するが……。

ストーリー、アクション、ユーモアと、三拍子揃ったポリス・ストーリーの秀作。
主役のファン・ジョンミンは『アシュラ』で血も涙もない市長を演じていたが、この映画の「一見惚けた三枚目なのに、実は強くて優秀な刑事」もピッタリで、驚いた。
日本で言えば、役所広司さんみたいな感じ。
上司役のオ・ダルスは『オールドボーイ』『大統領の理髪師』『親切なクムジャさん』『グエムル』『渇き』『7番房の奇跡』などにも出演している名脇役。
一度見たら忘れられない顔をしている。
韓国映画もこれで19本目。
オ・ダルスに限らず、知っている顔が増えて、楽しくなってきた。
というわけで『ベテラン』、お薦めです。

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