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転落の後に・ヴィシーでの出来事 [本]

7月31日(水)
アーサー・ミラー『転落の後に・ヴィシーでの出来事』(ハヤカワ演劇文庫)読了。

アーサー・ミラー〈4〉転落の後に/ヴィシーでの出来事(ハヤカワ演劇文庫 38)

アーサー・ミラー〈4〉転落の後に/ヴィシーでの出来事(ハヤカワ演劇文庫 38)

  • 作者: アーサー・ミラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/04/06
  • メディア: 文庫


弁護士のクェンティンが自身の半生を語り始める。
両親や最初の妻など、過去に関わった人々が次々と現れて、過去の1場面を演じる。
二番目の妻は有名な女優だった。
幸福に出会い、愛を育んだはずなのに、二人の結婚生活はすぐに破綻してしまう。
一体何が悪かったのか……。

アーサー・ミラーの戯曲集の第四弾で、『転落の後に』と『ヴィシーでの出来事』の2作を収録。
上記は『転落の後に』。
ミラーの自伝的な作品で、二番目の妻・マギーは、もちろん、かのマリリン・モンローがモデル。
全二幕で、二幕のヒロインはマギー、そしてクライマックスはクェンティンとマギーの壮絶な夫婦喧嘩。
どうしたって、モンローの顔を思い浮かべてしまう。
おかげで、初演当時に非常に評判が悪かったらしい。
一方、『ヴィシーでの出来事』は、第二次世界大戦中のフランスにおけるユダヤ人に対する弾圧を描く。
フランスからポーランドの収容所へ送られた人たちもたくさんいたのだ。
終始緊迫感に溢れ、楽しめた。

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アラン・ドロンのゾロ [映画]

7月31日(水)
ドゥッチョ・テッサリ監督『アラン・ドロンのゾロ』(1975年)GYAOで鑑賞。



19世紀、南米。
剣の達人ドン・ディエゴ(アラン・ドロン)は故郷のスペインに帰る途中、カタルヘナの港町で旧友のミゲルに会う。
ミゲルはメキシコ領ニュー・アラゴンの新総督に任じられ、妻と息子を連れて任地に赴く途中だった。
が、その夜、ミゲルは暗殺者たちに殺されてしまう。
死の直前、ミゲルはドンに、自分のかわりに総督をつとめてくれ、ただし絶対に人を殺さないでくれと、頼む。
ニュー・アラゴンは、前総督(ミゲルの父)が亡くなった後、ウエルタ大佐(スタンリー・ベイカー)に支配されていた。
ドンは臆病者のフリして、ウエルタを油断させ、変装して町に出る……。

怪傑ゾロは、アメリカの作家ジョンストン・マッカレーが生み出したヒーロー。
1919年に執筆された小説「The Curse of Capistrano」が、1920年にダグラス・フェアバンクス主演で映画化され、人気を博した。
1960年代にはテレビドラマ化された。
僕は幼い頃、これを見ていた記憶がある。
ゾロはワイルドなヒーローなので、フランスの美男子であるアラン・ドロンが演じるのはピンと来なかったが、見てビックリ。
陽気でお茶目で、でも強くて勇敢なゾロにピッタリ。
クライマックス、ゾロとウエルタ大佐がフェンシングで戦うのだが、それが異様に長く、場所が街頭から教会の中、屋上へと移り変わる。
それが宮崎駿監督『ルパン三世/カリオストロの城』のクライマックスの時計塔のシーンによく似ていて、「なるほど、これが元ネタか!」と思った。
もちろん、カリオストロの方が断然出来がいいのだが。

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しらみとり夫人・財産没収ほか [本]

7月30日(火)
テネシー・ウィリアムズ『しらみとり夫人・財産没収ほか』(ハヤカワ演劇文庫)読了。

テネシー・ウィリアムズ しらみとり夫人・財産没収ほか (ハヤカワ演劇文庫 6)

テネシー・ウィリアムズ しらみとり夫人・財産没収ほか (ハヤカワ演劇文庫 6)

  • 作者: テネシー・ウィリアムズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/01/24
  • メディア: 文庫


アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズの短編戯曲7つを収録した戯曲集。
収録作品は、『しらみとり夫人』『風変わりなロマンス』『ロング・グッドバイ』『バーサよりよろしく』『財産没収』『話してくれ、雨のように……』『東京のホテルのバーにて』。

テネシー・ウィリアムズは1911年、ミシシッピ州生まれ。
本名はトマス・ラニア・ウィリアムズⅢ世。
ミズーリ大学、ワシントン大学、アイオワ大学などで学んだ後、1944年に劇作家としてデビュー。
『欲望という名の電車』(1948年)、『熱いトタン屋根の猫』(1955年)で、ピューリッツァー賞を2回受賞。
上記の2作と、『ガラスの動物園』(1945年)、『イグアナの夜』(1961年)で、ニューヨーク劇評家協会賞を4回受賞。
アーサー・ミラーと並んで、20世紀のアメリカを代表する劇作家。
社会の最低辺で暮らす人々を描くことが多く、その作風はひたすら暗い。
この本に載っている作品も同様だった。
また、自伝的な作品を書くことが多く、この本のあちこちに、若き日のテネシー・ウィリアムズらしき人物が出てきた。
1983年、72歳で死去。

今日は池袋シアターグリーンへ行き、息子の芝居を見てきました。
シアターグリーン学生演劇祭に参加した、テアトロネネム『あるひとつの告白について』。
上演時間は24分で、もう一つの劇団・ぺぺぺの会『夢の旧作』(こちらは40分)と2本立て。
息子は脚本・演出ですが、客入れと前説もやってました。
24分の短編ですが、オリジナルなので、これが一応、息子の処女作ということになります。
今日が初日で、あとは8月5日(月)・6日(火)の2日間、上演します。
よかったら、ぜひ!

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親切なクムジャさん [映画]

7月30日(火)
パク・チャヌク監督『親切なクムジャさん』(2005年)WOWOWで鑑賞。

親切なクムジャさん プレミアム・エディション [DVD]

親切なクムジャさん プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2011/12/07
  • メディア: DVD


イ・クムジャ(イ・ヨンエ)20歳の時、「ウォンモ君誘拐殺人事件」の犯人として逮捕され、有罪判決を受けた。
13年後、刑務所を出たクムジャは、自分を犯人に仕立て上げた男に対する復讐を開始する。
クムジャは18歳の時に妊娠・出産し、教育実習に来ていたペク先生(チェ・ミンシク)に助けを求めた。
このペク先生こそが「ウォンモ君事件」の真犯人だったが、彼はクムジャが罪をかぶって自首しなければ娘を殺すと脅した。
ペクはクムジャが刑務所に入ると、娘をオーストラリアに養子に出してしまった。
クムジャはオーストラリアに向かった……。

パク・チャヌク監督の過剰さは、『オールド・ボーイ』を見て、よくわかった。
が、この映画はさらに過剰。
これでもかとグロテスクな映像を見せつける。
ストーリーも、「なぜそこまで」という展開を見せる。
僕は園子温監督の映画を思い出した。
『オールド・ボーイ』はストーリーに意外性があって楽しめたが、こちらは今一つ。
ただ、やはりイ・ヨンエは美しかった。

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東大・京大式頭がスッキリするパズル [本]

7月29日(月)
東田大志&東大・京大パズル研究会『東大・京大式頭がスッキリするパズル』(文春新書)読了。

〈東大・京大式〉頭がスッキリするパズル (文春新書 931)

〈東大・京大式〉頭がスッキリするパズル (文春新書 931)

  • 作者: 東田 大志
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/08/21
  • メディア: 新書


『東大・京大式頭がよくなるパズル』に続く第二弾。

パズルには5種類あると言う。
①マインドパズル。なぞなぞのように、頭で考えるだけで答えが出るパズル。
②メカニカルパズル。知恵の輪やルービックキューブのように、物体を動かして解くパズル。
③ペンシル&ペーパーパズル。クロスワードパズルやナンプレのように、紙とエンピツを使うパズル。
④ボディパズル。庭園迷路やリアル脱出ゲームのように、身体をフルに使うパズル。
⑤コンピュータパズル。ゲームやパソコン上で遊ばれるパズル。
この本に収録されているのは、主に①。
僕は①③が好きで、②は苦手、④⑤はほとんどやったことがない。
思い出した!
1991年、キャラメルボックスのみんなで日光江戸村に行った時、立体迷路に挑戦したのですが、一番が上川隆也で、2番が僕でした。
上川に負けて、ちょっと悔しかった。
ところで一昨日のパズルの解答、昨日書くのを忘れたので、今日書きます。
板→ロー、飴→ワシ、義理→アテ、意義→?
と書くと、難しいけど、これを全部カタカナに直すと、
イタ→ロー、アメ→ワシ、ギリ→アテ、イギ→?
「イタ」が「イタリア」、「ロー」が「ローマ」と気づくと、「なーんだ!」となりますね。
そう、正解は「ロン」です。
わかりましたか?


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グリフィン家のウエディングノート [映画]

7月29日(月)
ジャスティン・ザッカム監督『グリフィン家のウエディングノート』(2013年)GYAOで鑑賞。

グリフィン家のウェディングノート [Blu-ray]

グリフィン家のウェディングノート [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: Blu-ray


エリー(ダイアン・キートン)が10年前に離婚した彫刻家のドン(ロバート・デ・ニーロ)の家にやってくる。
2人の間には3人の子供がいて、3番目のアレハンドロ(ベン・バーンズ)が結婚することになったのだ。
ドンとエリーの離婚後、一家の母親役を担ってきたのは、ドンの恋人のビービー(スーザン・サランドン)だった。
アレハンドロは養子で、実の母親はコロンビアにいたが、やはり結婚式のためにやってくる。
彼女は厳格なクリスチャンなので、離婚は一切認めない。
アレハンドロの頼みで、エリーとドンは今でも夫婦というフリをすることになる……。

ロバート・デ・ニーロ、ダイアン・キートン、スーザン・サランドンが共演するだけでもうれしいのに、神父役がロビン・ウィリアムス、新婦役がダイアナ・セイフライドと、実に豪華なキャスティング。
しかし、残念なことに、ストーリーが古臭く、スケールも小さい。
原題は『The Big Wedding』だが、カメラはグリフィン家の敷地から一歩も出ず、上映時間もわずか90分。
とは言え、名優たちのドタバタ騒ぎはやはり楽しく、アットホームな雰囲気もあって、楽しめた。

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東京帝大叡古教授 [本]

7月28日(日)
門井慶喜『東京帝大叡古教授』(小学館文庫)読了。

東京帝大叡古教授 (小学館文庫)

東京帝大叡古教授 (小学館文庫)

  • 作者: 門井 慶喜
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫


明治38年、東京。
熊本の第五高等学校の学生である「私」は、夏休みに東京帝大法科の宇野辺叡古(うのべえいこ)教授に会うために上京する。
叡古教授は『日本政治史之研究』の著者で、「私」の憧れの人だった。
待ち合わせをした帝大図書館に行ってみると、そこに髭の男の死体が!
とっさに叡古教授かと思ってしまったが、実際は叡古教授の同僚の高梨教授だった。
叡古教授は「私」に「阿蘇藤太」という呼び名を付け、殺人犯の捜査を命じた……。

直木賞候補作となったミステリー。
「宇野辺叡古」はもちろん、イタリアの哲学者・小説家で、『薔薇の名前』の作者である、ウンベルト・エーコがモデル。
夏目漱石を始め、徳富蘇峰、桂太郎、西園寺公望、原敬など、当時の有名人が次から次へと登場してワクワクさせられた。
明治38年、日露戦争末期の東京の世相が事細かに描かれ、作書の博覧強記ぶりに圧倒された。
小説全体が、夏目漱石『三四郎』のパロディになっているのもおもしろい。
主人公「私」の本名は最後のページで明らかになる。
ミステリーとしては非常に物足りないが、小説としてのおもしろさは抜群。
お薦めです。

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ワンダー 君は太陽 [映画]

7月28日(日)
スティーヴン・チョボスキー監督『ワンダー 君は太陽』(2017年)WOWOWで鑑賞。

ワンダー 君は太陽 [Blu-ray]

ワンダー 君は太陽 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • メディア: Blu-ray


オギー・プルマン(ジェイコブ・トレンブレイ)は遺伝子の疾患で、他の人とは異なる顔で生まれてきたため、27回の手術を受けた。
10歳になるまで自宅学習を続けてきたが、母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)は、夫のネート(オーウェン・ウィルソン)の反対を押し切って、オギーを学校に通わせることを決意する。
夏休み、オギーはイザベルと学校見学に行き、トゥシュマン校長先生(マンディ・パティンキン)に会う。
そして、これから同級生になるジャック・ウィル(ノア・ジュプ)、ジュリアン(ブライス・カイザー)、シャーロット(エル・マッキノン)と校内を回る……。

全世界で800万部を超えるベストセラーとなったR・J・パラシオの小説を、『ウォールフラワー』のスティーヴン・チョボスキー監督が映画化。
この手のものは「文部省特選」的なお行儀のよい映画になりがちだが、監督の才気とセンスおのかげで、楽しい映画になっていた。
全体がいくつかの章に分かれていて、最初はオギーの章から始まるが、オギーの同級生のジャックの章、姉のヴィアの章、ヴィアの友人のミランダの章まであって、物語を重層的にしていた。
僕はオギーより両親に感情移入してしまって、前半、オギーを小学校に送り出すところではボロボロ泣いた。
息子は小学校で必ず傷つけられる。
それでも、送り出さなければならない。
ジュリア・ロバーツはあまり好きではないが、厳しい母親役はまさに適役。
大好きなオーウェン・ウィルソンの、陽気で心優しい父親役も適役。
「泣かせ」の映画と敬遠せずに、ぜひ見てほしい。
お薦めです。

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東大・京大式頭がよくなるパズル [本]

7月27日(土)
東田大志&東大・京大パズル研究会『東大・京大式頭がよくなるパズル』(文春新書)読了。

〈東大・京大式〉頭がよくなるパズル (文春新書)

〈東大・京大式〉頭がよくなるパズル (文春新書)

  • 作者: 東田 大志
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/01/20
  • メディア: 単行本


大阪商業大学アミューズメント産業研究所研究員の東田大志と、東大・京大パズル研究会が、様々な新種のパズルを紹介する。

クイズは知識がなければ解けないが、パズルは思考のみで解ける。
近年、パズルの学習における有効性が注目され、受験問題でも頻繁にしようされるようになってきているらしい。
そう言えば、電車の車内広告で見かける受験問題でも、しばしばパズルを見かける。
この本のパズルはどれもオリジナル、すなわち初めて見るものだったので、非常に楽しむことができた。
問題
板→ロー
飴→ワシ
義理→アテ
意義→?
さて、四つ目の?に入るカタカナ2文字は?
答えは明日の更新で!

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search/サーチ [映画]

7月27日(土)
アニーシャ・チャガンティ監督『search/サーチ』(2018年)WOWOWで鑑賞。

search/サーチ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

search/サーチ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


16歳の女子高生マーゴット(ミッシェル・ラー)が行方不明になる。
警察に捜査を依頼すると、女性捜査官のヴィック(デブラ・メッシング)が担当に任命される。
父親のデビッド(ジョン・チョー)はパソコンを駆使して娘を探す。
やがて、マーゴットが学校で孤立していたこと、行方不明になった日は車で市外へ向かっていたことが判明する……。

全編PC画面の映像のみで展開する、サスペンス映画。
2018年度サンダンス映画祭で観客賞を受賞。
PCを操作するのは行方不明になった女子高校生の父親で、SNSからテレビ画像、テレビ電話、隠しカメラまで様々な映像を画面上に目まぐるしく映すため、全く飽きる隙がない。
後半は逆転の連続で、ミステリーとしてもなかなかの出来。
監督のアニーシャ・チャガンティは27歳で、これがデビュー作だと言う。
すばらしい才能の持ち主がまた現れた。
お薦めです。

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