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日本語はなぜ美しいのか [本]

7月1日(月)
黒川伊保子『日本語はなぜ美しいのか』(集英社新書)読了。

日本語はなぜ美しいのか (集英社新書)

日本語はなぜ美しいのか (集英社新書)

  • 作者: 黒川 伊保子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/01/17
  • メディア: 新書


(株)感性リサーチ代表取締役の黒川伊保子が、日本語を「発音体感」という視点から分析する。

12年も前に出された本だが、非常にタメになった。
タイトルに対する回答は、「日本の風土で育まれた日本語は、日本人にとって何よりも美しい」。
母音を主体に認識する言語は、世界的に見て、日本語とポリネシア語だけしかないらしい。
それ以外の言語は子音で音声認識している。
作者がエジプト大使館のパーティーに出席した時、「モロヘイヤ」を、あるエジプト人は「ムロヘイユ」、別のエジプト人は「モロヘイヨ」と発音した。
両者にいっぺんに確認したところ、自分たちは全く同じ発音で「モロヘイヤ」と言っていると答えた。
彼らはそれほど母音を意識していないのだ。
確かに、アラビア語の表記には、母音がない。
日本人は「コーヒー」と、A音とO音を強く言うが、アメリカ人は「ク、フィ」と、K音を2回強く言う。
劇団四季の俳優が、すべてのセリフを母音に直して練習するのは、日本語の特性にちゃんと合致しているのだ。
日本人は日本語の音の一つ一つに対して、別々の発音体感を持っている。
「A」は開放する、「I」は尖る、「U」は内向する、「E」におもねる、「O」は包み込む。
「K」はキッパリ、「S」は爽やか、「T」は濡れて粘る、「N」は親密、「H」は熱さと冷たさ、などなど。
僕も以前から考えていたことなので、何度も「やっぱり!」と思った。
お薦めです。

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