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愛と狂瀾のメリークリスマス [本]

2月27日(木)
堀井憲一郎『愛と狂瀾のメリークリスマス』(講談社現代新書)読了。

愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか (講談社現代新書)

愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか (講談社現代新書)

  • 作者: 堀井 憲一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/10/18
  • メディア: 新書


コラムニストの堀井憲一郎が、日本におけるクリスマスの受容と発展を解説する。

日本における最初のクリスマスのお祝いは16世紀。
イエズス会の宣教師たちが開いた教会で、ミサと聖誕劇が行なわれた、と記録にある。
秀吉・家康のキリスト教禁止及び鎖国によって、途絶。
しかし、明治維新、横浜などの居留地で、復活する。
そして、日露戦争の後、大衆化。
昭和初期には大変な賑わいになった。
ただし、これは繁華街のバーやキャバレーで大人たちが騒ぐもので、今のクリスマスの雰囲気とは全く違う。
日米開戦によりまたしても途絶するが、昭和23年頃にはすぐに復活。
昭和33年、高度経済成長が始まるあたりでようやく鎮静化する。
クリスマスは繁華街から家庭に収束する。
ところが、1980年代に入ってから、若者のトレンドとして三度復活する。
で、現在はまたまた鎮静化し、ハロウィンにその地位を奪われつつある。
というふうに、日本のクリスマスにも紆余曲折があったのだ。
「キリスト教のお祝いをなぜ日本人が?」という疑問は、明治時代からあった。
が、そもそもキリスト教会がクリスマスのお祝いを始めた時から、これはヨーロッパにそれ以前からあった冬至のお祝いの剽窃だと言われていたのだ。
なぜなら、イエスの誕生日が12月25日だという証拠はどこにもなく、キリスト教会が勝手に決めたものだったから。
大体、キリスト教にとって重要なのは降誕祭でなく、復活祭なのだ。
堀井氏は、もともと12月25日がイエスの誕生日だという根拠はないのだから、今の日本人がキリスト教を無視してお祝いするのは全く問題ないと主張する。
なるほどねえ。
「日本クリスマス史」とも言える本で、大変勉強になった。
お薦めです。

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