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るつぼ [本]

1月27日(日)
アーサー・ミラー『るつぼ』(ハヤカワ演劇文庫)読了。

アーサー・ミラー〈2〉るつぼ (ハヤカワ演劇文庫 15)

アーサー・ミラー〈2〉るつぼ (ハヤカワ演劇文庫 15)

  • 作者: アーサー・ミラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: 文庫


1692年、アメリカ、マサチューセッツ州セイラム。
森の中で少女たちが踊っているのを、牧師パリスが目撃する。
当時のマサチューセッツ州はピューリタンの信仰が厚く、そのようなはしたない行為は神への冒涜とみなされていた。
踊っていたのは、17歳の美少女アビゲイル、パリスの10歳の娘のベティ、その友人たち、そして、黒人奴隷のティテュバ。
パリスが叱責すると、ベティは失神して意識不明に。
村の有力者のパトナム夫妻は、少女たちは「悪魔に取り憑かれている」と言い出した。
するとアビゲイルが「ティテュバが悪魔を呼んだ」と証言。
パトナムは隣村から、悪魔払いのヘイル牧師を呼びつけた……。

1692年にセイラムで実際に行われた魔女裁判を描く。
1953年、ニューヨークのマーティン・ベック・シアターで初演された。
作者のアーサー・ミラーは否定しているが、当時問題になっていた赤狩りとマッカーシズムを批判していると言われている。
日本では1962年に劇団民藝が初演。
その後、様々な団体が上演している。
17歳の少女の嘘が集団ヒステリーを巻き起こす様子が実に恐ろしい。
この裁判で19人が絞首刑になり、1人が拷問死している。
主人公のジョン・プロクターも絞首刑になった1人で、彼の苦悩は激しく胸を打つ。
傑作だと思う。

アーサー・ミラーは20世紀のアメリカを代表する劇作家で、代表作はこの『るつぼ』と、『セールスマンの死』。
マリリン・モンローの夫でもあった。
結婚生活6年で離婚し、写真家インゲ・モラスと再婚。
2人の間に生まれた娘レベッカ・ミラーは女優・脚本家・映画監督となり、ダニエル・デイ=ルイスと結婚した。
アーサー・ミラーの他の作品もぜひ読んでみたいと思う。

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