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沈黙の画布 [本]

1月15日(金)
篠田節子『沈黙の画布』(新潮文庫)読了。

沈黙の画布 (新潮文庫)

沈黙の画布 (新潮文庫)

  • 作者: 篠田 節子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/28
  • メディア: 文庫


橘は清風出版の編集者で、3カ月前に芸術誌「美苑(びおん)」が廃刊になり、プレミア誌「清風」に移動してきた。
知性派タレント兼エッセイストの泉千佐子が「清風」に、宮嶋哲朗という画家についてのエッセイを書き、読者の反響を読んだ。
宮嶋は新潟県長岡市の郷土画家で、既に亡くなっていた。
橘は長岡市へ行き、宮嶋の作品を見て、その質の高さに衝撃を受ける。
しかし、宮嶋の妻・智子は、きわめて頑迷な人物だった……。

篠田節子氏の本はこれが39冊目。
2009年に日本経済新聞社から出版された『薄暮』を改題し、文庫化した本。
画家・絵画・贋作が題材なので、非常に興味深く、文庫で598ページの本が2日で読めた。
美術誌や画集の裏側がわかり、とてもタメになった。
巻末の解説で、品川裕香氏が篠田氏の以下の言葉を載せている。
「小説にお金と政治を絡めると文学的評価は下がるのですが、私はそこに頭突きして穴をあけてやるぞと思い、1人で闘っているつもりです。だって、病気と性と恋愛ばかりが人間の営みではありませんから」
この覚悟は尊敬に値する。
お薦めです。

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