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小説を深く読む [本]

9月24日(火)
三田誠広『小説を深く読む』(海竜社)読了。

小説を深く読む~ぼくの読書遍歴

小説を深く読む~ぼくの読書遍歴

  • 作者: 三田 誠広
  • 出版社/メーカー: 海竜社
  • 発売日: 2018/11/26
  • メディア: 単行本


小説家で武蔵野大学教授の三田誠広が、自身の読書遍歴を通して、小説の深い読み方を伝授する。

三田誠広氏は1948年、大阪生まれ。
早稲田大学第一文学部演劇科で、村上春樹氏と同期。(在学中は面識なし)。
1966年、高校3年の時、『Mの世界』でデビュー。
1977年、『僕って何』で芥川賞受賞。
今も小説を書き続けているが、ニュースになることはない。
が、僕はこの人の創作入門に類する本が好きで、未読のものを見つけると読むことにしている。
この本で取り上げられているのは、志賀直哉、川端康成、梶井基次郎、麻耶雄嵩、大江健三郎、中上健次、村上春樹などなど。
僕は梶井基次郎の良さが全くわからなかったが、この本の解説で少し理解できた気がする。
タメになる本。
お薦めです。

今日は今年54回目のジョギング。
3,6キロ走って、1,3キロ歩いて、2,1キロ走りました。
3,6キロのタイムは、19分38秒。
せっかく涼しくなったのに、前回より5秒遅くなってしまいました。
しかし、ゴール後のダメージは少なかった。
ようやく夏が終わって、ホッとしています。

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氏名の誕生 [本]

9月23日(月)
尾崎秀和『氏名の誕生』(ちくま新書)読了。

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)

  • 作者: 尾脇秀和
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2021/04/16
  • メディア: Kindle版


神戸大学経済経営研究所研究員の尾崎秀和が、明治初頭の氏名の制度の改革を解説する。

まず初めに江戸時代における氏名の常識が解説されるが、これがもう驚きの連続。
大商人や豪農には苗字が許されたが、かと言って、町人たちは苗字など全くほしいと思ってなかった。
名前だけで不便はなかったからだ。
さらに、名前自体にもあまりこだわりがなかった。
「太郎」「迅助」「清兵衛」「大左衛門」などの名前に大して意味はなかったし、人生の間に何度も改名するので、一つ一つとの付き合いがさほど長くない。
①誕生する、②成人する、③親の後を継ぐ、④隠居する
と大抵の人は3回変わって、4つも持ったのだ。
商人は③で、先祖代々伝わる名前を父親から譲り受ける。
自分だけの名前などないので、オリジナリティなど気にしていなかった。
あと、「大岡越前」の正式名は「大岡越前守忠相」で、「越前守」は役職名を表すのだと思っていたが、これは間違い。
彼の正式名は「大岡越前守」。
「越前守」が名前だったのだ。
じゃ、「忠相」は何なんだよと思うが、これは「名乗り」というもので、普段は使われず、だから「忠相」と呼ばれることもなかった。
もうビックリ。
お薦めです。

キャラメルボックス・ディスカバリーズ『TWO』の稽古7日目。
ダンス振付の2回目。
成井夏野が来て、振付してくれました。
1曲目・2曲目は無事に完成。
3曲目も80パーセントが付きました。
3つのダンス、それぞれテイストが全く違って、おもしろいです。
お楽しみに!
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あめだま [本]

9月22日(日)
作/ペク・ヒナ+訳/長谷川義史『あめだま』(ブロンズ新社)読了。

韓国語の絵本 ハングルの絵本 『あめだま』著:ペク・ヒナ

韓国語の絵本 ハングルの絵本 『あめだま』著:ペク・ヒナ

  • 作者: ペク・ヒナ
  • 出版社/メーカー: 本読むクマ
  • 発売日: 2017/03/25
  • メディア: ペーパーバック


junaida『世界』(福音館書店)読了。

世界 (福音館の単行本)

世界 (福音館の単行本)

  • 作者: junaida
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2024/01/19
  • メディア: 単行本


別冊太陽『吉田初三郎のパノラマ地図』(平凡社)読了。

吉田初三郎のパノラマ地図: 大正・昭和の鳥瞰図絵師 (別冊太陽)

吉田初三郎のパノラマ地図: 大正・昭和の鳥瞰図絵師 (別冊太陽)

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/09/01
  • メディア: ムック


『あめだま』は韓国の絵本作家による、非常に珍しい、クレイを写真に写した絵本。
話もクレイもすばらしく、傑作だと思う。
『世界』は日本の絵本作家junaidaによる、言葉のない絵だけの絵本。
話が何もないので、僕には楽しめなかった。
『吉田初三郎のパノラマ地図』は、「大正の広重」と呼ばれた画家・吉田初三郎の作品集。
その圧倒的な才能に強い衝撃を受けた。


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自称詞<僕>の歴史 [本]

9月20日(金)
友田健太郎『自称詞<僕>の歴史』(河出新書)読了。

自称詞〈僕〉の歴史 (河出新書)

自称詞〈僕〉の歴史 (河出新書)

  • 作者: 友田健太郎
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2023/09/01
  • メディア: Kindle版


歴史研究者・日本語教師の友田健太郎が、一人称代名詞「僕」の歴史を解説する。

「僕」の最古の文献はなんと『古事記』で、日本で最初に自分を「僕」と言ったのはスサノオ。
『古事記』の作者たちは、紀元前2世紀の中国の司馬遷『史記』を参考にしていたらしい。
司馬遷は友人に送った手紙で、「僕」を使用していた。
ただし、『古事記』の「僕」の読み方は「ぼく」ではなく、「あ」「やつかれ」「やつこ」などだったと推定される。
が、その後、「僕」は文献から消える。
復活したのは1000年後、江戸・元禄の時代。
五代将軍・徳川綱吉が儒学を奨励したため、中国の古典が読まれ、武士階級の学徒たちが「僕」を使い始めた。
で、徐々に広まったわけだが、特に「僕」を好んだのが吉田松陰。
弟子たちも使い、その後、彼らは明治政府の高官になったため、さらに広まった。
「僕」は知識階級の男同士で使われるもので、女子に話しかける時には使われず、また庶民も使わなかった。
夏目漱石は多用した。
やがて、一般化が進み、男の子は「僕」、女の子は「私」というルールが出来てくるが、これが真に定着したのは、第二次世界大戦後。
そして今、「僕」使用者が増えてきているらしい。
非常にタメになったが、寄り道が多すぎて、読みづらかった。

キャラメルボックス・ディスカバリーズVOL.2『TWO』の稽古6日目。
10~12場の立ち稽古をしました。
これで台本一周目は終了。
舞台美術も決まりました。
選曲は、最初のプランを稽古しながらかけてみたところ、3曲がボツ。
これから選び直します。
頑張ります!
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「叱らない」が子どもを苦しめる [本]

9月19日(木)
藪下遊+髙坂康雅『「叱らない」が子どもを苦しめる』(ちくまプリマー新書)読了。

「叱らない」が子どもを苦しめる (ちくまプリマー新書 449)

「叱らない」が子どもを苦しめる (ちくまプリマー新書 449)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2024/02/08
  • メディア: 新書


福井県・石川県スクールカウンセラーの藪下遊と、和光大学現代人間学部教授の髙坂康雅が、現代の家庭における子供の教育について論じる。

非常にタメになる本だった。
現代の親は、子供が不快になることを極端に避けるらしい。
だから、叱らない。
辛い思いをさせないように、先回りして、環境を整える。
子供は傷つくことなく、心を鍛えることなく、大人になる。
成長してから初めて壁にぶつかる。
その結果が引きこもり等に繋がるのだ。
親は子供の最初の壁になってあげなければならない。
自分のダメな部分に気付かせ、それでも愛していることを知らせなければならない。
読みながら、はてして自分は親としてそうしてきただろうかと反省した。
世の中のすべての若い親に読んでほしい本。
お薦めです。
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世界はなぜ地獄になるのか [本]

9月16日(月)
橘玲『世界はなぜ地獄になるのか』(小学館新書)読了。

世界はなぜ地獄になるのか(小学館新書)

世界はなぜ地獄になるのか(小学館新書)

  • 作者: 橘玲
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2023/08/01
  • メディア: Kindle版


作家・橘玲による文明批評。
『言ってはいけない』『もっと言ってはいけない』『上級国民/下級国民』『無理ゲー社会』に続く、辛口本。

今回のテーマは「社会正義」で、その題材として「キャンセルカルチャー」と「LGBTQ」を取り上げている。
また、2021年の小山田圭吾炎上事件、2013年の会田誠キャンセル事件を詳細に検討している。
どちらもよく知らなかったので、タメになった。
該博な知識、豊富なデータ、遠慮会釈のない断定で、そのおもしろさは相変わらず。
お薦めです。

今日はキャラメルボックス・ディスカバリーズVOL.2『TWO』の稽古4日目。
ダンス振付の1回目。
振付の成井夏野が来て、6時間ぶっ通しで、2曲いっぺんに振り付けてくれました。
が、どちらもあと少しというところで、時間切れ。
残りは次回ということになりました。
僕は見ているだけだったのですが、疲労困憊。
夏野も、6時間ぶっ通しで付けたのは初めてだと言っていました。
しかし、どちらもおもしろいダンスで、完成が楽しみです。

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ぼくはまいごじゃない [本]

9月15日(日)
板橋雅弘・作+シゲリカツヒコ・絵『ぼくはまいごじゃない』(岩崎書店)読了。

ぼくはまいごじゃない (えほんのぼうけん64)

ぼくはまいごじゃない (えほんのぼうけん64)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2014/12/01
  • メディア: 大型本


加古里子『地下鉄のできるまで』(福音館書店)読了。

地下鉄のできるまで (みるずかん・かんじるずかん)

地下鉄のできるまで (みるずかん・かんじるずかん)

  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 1987/10/30
  • メディア: 単行本


作/J・パトリック・ルイス+絵/ロベルト・インノチェンティ『百年の家』(講談社)読了。

百年の家 (講談社の翻訳絵本)

百年の家 (講談社の翻訳絵本)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/03/11
  • メディア: 大型本


『ぼくはまいごじゃない』はシゲリカツヒコ氏の絵が目的で読んだ。
リアルなのにダイナミックで、おもしろい絵だ。
『地下鉄のできるまで』は加古里子氏の学習絵本。
地下鉄の工事法が丁寧に解説してあって、とてもタメになった。
『百年の家』はアメリカの作家とイタリアの画家の共作。
ロベルト・インノチェンティの絵が驚くほど細やかですばらしかった。

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死んだ石井の大群 [本]

9月13日(金)
金子玲介『死んだ石井の大群』(講談社)読了。

死んだ石井の大群

死んだ石井の大群

  • 作者: 金子玲介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2024/08/06
  • メディア: Kindle版


石井唯は14歳。
ある日、目が覚めると、白い部屋の中にいた。
そこには他に332人の石井さんがいた。
唯を含めた全員が、黒い金属の環を首に嵌めていた。
やがて放送があり、ドッジボールの開始を告げた。
壁の四カ所からボールが飛んできて、一つが知らない石井さんの体に当たった。
顔が爆発した。
ゲームは60分間、次々と石井さんが死んでいく中、唯は必死でボールを避けた‥‥。

金子玲介氏の本は、『死んだ山田と教室』に続いて2冊目。
今度はデスゲームもの。
『イカゲーム』を単純化した感じで、それなりに楽しめたが、ラストのオチはいただけなかった。

キャラメルボックス・ディスカバリーズVOL.2『TWO』の稽古3日目。
4~6場の立ち稽古をしました。
今回は3本立てで、『開演15分前』『クロスロード』『TWO』の順番で上演します。
なので、『開演15分前』の前半を1場、後半を2場、『クロスロード』の前半を3場、後半を4場、『
TWO』の1場を5場、2場を6場、‥‥8場を12場と呼ぶことにしています。
というわけで、いよいよ『TWO』の稽古に突入。
28年も前の芝居なのに、当時の役者たちの演技がありありと浮かんできます。
今井義博の「トオル」、岡田さつきの「マリ」、西川浩幸の「ヒサシ」‥‥。
彼らの演技を参考にしつつ、しかしけっして引っ張られないで、新しい『TWO』を作りたいと思います。
頑張ります!
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コメンテーター [本]

9月12日(木)
奥田英朗『コメンテーター』(文藝春秋)読了。

コメンテーター ドクター伊良部 (文春e-book)

コメンテーター ドクター伊良部 (文春e-book)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/05/11
  • メディア: Kindle版


畑山圭介は中央テレビに入局以来、ドキュメンタリー番組に携わってきたが、今年の春に突然、ワイドショー『グッタイム』への異動を命じられた。
そして、プロデューサーの宮下から、コメンテーターに美人精神科医を連れてこいと命じられる。
大学時代の同級生に連絡すると、伊良部総合病院の神経科医師・伊良部一郎を紹介される。
美人を求めていた宮下は反対したが、一回限りの約束で、伊良部をコメンテーターとして出演させる。
伊良部の発言は不規則だったが、一緒に出演した看護師のマユミが大好評で、すぐに二回目の出演が決まる‥‥。

「精神科医・伊良部」シリーズの4作目。
3作目から17年ぶりに出版された。
①『イン・ザ・プール』(2002年)
②『空中ブランコ』(2004年)
③『町長選挙』(2006年)
『空中ブランコ』は直木賞受賞作。
このシリーズはユーモア小説で、奥田さんは本来、重厚な社会派ミステリを書く人なのに、余技で書いたものが代表作になってしまった。
しかし、おもしろいのは確かで、17年ぶりの4作目もやっぱり楽しめた。
お薦めです。

空中ブランコ ドクター伊良部

空中ブランコ ドクター伊良部

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版


今日は今年52回目のジョギング。
3,6キロ走って、1,7キロ歩いて、1,7キロ走りました。
3,6キロのタイムは、20分12秒。
前回より21秒遅くなってしまいました。
8月に入ってから、暑させいか、走るのが苦しく、ゴール後のダメージもひどい。
早く涼しくなってくれることを祈ります。
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越境者 松田優作 [本]

9月11日(水)
松田美智子『越境者 松田優作』(新潮文庫)読了。

越境者 松田優作

越境者 松田優作

  • 作者: 松田美智子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/03/27
  • メディア: Kindle版


作家で、松田優作の最初の妻の松田美智子が、俳優・松田優作の生涯を語る。

松田優作は1949年、山口県下関市生まれ。
日本人の父と、質屋を営む韓国人(在日1世)の母との間に非嫡出子として生まれた。
父親は長崎出身の保護司で、郷里に妻子を持つ男性だった。
父親は優作が生まれてすぐに死んだ。
2人の異父兄がいて、兄弟仲は良かった。
1967年11月、「アメリカへ行って弁護士になれ」と母親に命令され、山口県立下関第一高等学校を2年で中退し、叔母夫妻を頼って渡米。
カリフォルニア州モントレー郡シーサイド市のシーサイド高校に入学するが、1968年9月に母に無断で中退し、帰国。
長兄一家が居住する東京都豊島区のアパートに居候し、私立豊南高等学校夜間部普通科の4年生に途中編入。
1970年、関東学院大学文学部に入学。
1971年3月、劇団「文学座」の入所試験を受けたが、一次の筆記試験で不合格。
同年5月、金子信雄が主宰する劇団「新演劇人クラブ・マールイ」に入団。
ここで最初の妻・美智子と知り合う。
1972年4月、文学座付属演技研究所12期生となり、同期に阿川泰子、高橋洋子、1期後輩に中村雅俊、1期先輩に桃井かおりがいた。
1973年、刑事ドラマ『太陽にほえろ!』にジーパン刑事としてレギュラー出演。
これを機に帰化申請を行って日本国籍を取得し、本名を「金優作」から、通称だった「松田優作」に変更。
1975年、同棲していた松田美智子と結婚。後に長女が生まれたが、女優・熊谷美由紀(現・松田美由紀)との不倫が原因で、1981年に離婚。
長男の龍平が誕生した後、1983年に美由紀と結婚し、その後、次男・翔太、長女・Yukiが誕生。
1989年11月6日、入院中の西窪病院で膀胱癌の腰部転移により死去。享年40歳。
そのカリスマ性からいまだに信者の多い人だが、根深いコンプレックス、スターになりたいという激しい野望、すぐにカッとなって暴力を振るう性格の荒さなど、知れば知るほど、周囲にいた人間はさぞかし苦労しただろうと思う。
彼の粗暴さは生前から有名で、だから僕はあまり好きになれなかった。
この本を読んでもその気持ちは変わらなかったが、彼が稀有の俳優であることは間違いない。
作者は元妻でありながら、その視点は極めて冷静。
お薦めです。

今日はキャラメルボックス・ディスカバリーズVOL.2『TWO』の稽古2日目。
1~3場の立ち稽古をしました。
細かい芝居よりも、一人一人のキャラクターについて、いろいろ話をしました。
次回も頑張ります!
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