君の彼方、見えない星

１２月３１日（火）
ケイティ・カーン『君の彼方、見えない星』（ハヤカワ文庫）読了。

君の彼方、見えない星 (ハヤカワ文庫SF)

• 作者: ケイティ カーン
• 出版社/メーカー: 早川書房
• 発売日: 2017/11/07
• メディア: 文庫

未来。
アメリカと中東が核戦争を起こして、壊滅。
ヨーロッパは「ユーロピア」と名前を変えて統一された。
ユーロピアは各地に区域（ヴォイヴォダ」を持ち、国民は区域を定期的に巡回しながら生活していた。
マックスとカリアは事故でシャトルから宇宙空間に放り出された。
酸素の残量は９０分。
無事に地球に帰還するため、２人は悪戦苦闘する。
２人はヴョイヴォダ６で出会った。
マックスは料理人で、カリスは宇宙飛行士だった……。

ケイティ・カーンはイギリス生まれで、２０１３年、パラマウント・ピクチャーズに入社。
ｗｅｂデザイン・技術を担当。
２０１７年、『君の彼方、見えない星』で作家デビュー。
２４カ国で翻訳され、映画化も進行中。
同年、ワーナー・ブラザーズに転職。
何しろ９０分しかないので、話はあまり転がらず、専ら回想が中心になる。
それが、今とは全く制度が違う社会で、作者はおそらく、その世界観作りにかなり時間をかけたはず。
その結果、２人は未来のロミ・ジュリになった。
映画化を目論んで書いた小説と思われる。
誰がマックスとカリスを演じるか、とても楽しみ。

１００歳の少年と１２通の手紙

１２月３１日（火）
エリック＝エマニュエル・シュミット監督『１００歳の少年と１２通の手紙』（２００８年）ＧＹＡＯで鑑賞。

100歳の少年と12通の手紙 [DVD]

• 出版社/メーカー: アルバトロス
• 発売日: 2011/04/05
• メディア: DVD

１０歳のオスカー（アミール）は白血病で入院中。
ある日、宅配ピザ屋の女主人ローズ（ミシェル・ラロック）と出会い、その乱暴な言葉遣いと遠慮のない態度に興味を持つ。
骨髄移植が失敗し、オスカーの余命が残りわずかになってしまう。
両親は主治医のデュッセルドルフ（マックス・フォン・シドー）からその話を聞き、ショックのあまり、オスカーに会わずに帰宅してしまう。
それを目撃したオスカーは、両親や主治医・看護師と口を利くのを拒否。
そして、ローズとなら話をしてもいいと言う……。

フランス・ベルギー・カナダの合作映画。
フランスの劇作家エリック＝エマニュエル・シュミットのベストセラー小説『神さまとお話しした１２通の手紙（フランス語版）』をシュミットが自ら脚色、監督して映画化。
いわゆる難病ものだが、ユーモアがいっぱい。
ローズがオスカーに自分は元女子プロレスラーだと言い、様々な敵との闘いを語る。
プロレスの試合のシーンはチープでバカバカしいが、主治医役のマックス・フォン・シドーが必ず観戦していて、まじめにリアクションするのがおかしかった。
ヒロインの母役で、ミレーユ・ドモンジョも出演。

「失われた名画」の展覧会

１２月３０日（月）
池上英洋『「失われた名画」の展覧会』（大和書房）読了。

「失われた名画」の展覧会

• 作者: 池上 英洋
• 出版社/メーカー: 大和書房
• 発売日: 2016/03/24
• メディア: 単行本（ソフトカバー）

東京造形大学准教授の池上英洋が、盗難・天災・戦争などで失われた、世界の名画を解説する。

盗まれた絵は、意外と戻ってくる確率が高いらしい。
犯人が売ろうとした瞬間に、バレるのだ。
が、売る気のない人に盗まれると、見つかる確率はグッと低くなる。
盗まれたまま見つからない名画は、
〇ヨハネス・フェルメール『合奏』
〇レンブラント・ファン・レイン『ガリラヤの海の嵐』『黒い衣裳をきた夫人と紳士』
〇ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ『生誕』
〇エドガー・ドガ『退場口』
〇フィンセント・ファン・ゴッホ『嵐のスヘフェニンゲンの海岸』『ケシの花』
〇ポール・セザンヌ『オーヴェール＝シュル＝オワーズの眺め』
〇パブロ・ピカソ『鳩とエンドウ豆』
などなど。
犯人たちは許せないが、くれぐれも大切に保管してくれ、と思う。

王の男

１２月３０日（月）
イ・ジュニク監督『王の男』（２００６年）ＧＥＯのレンタルＤＶＤで鑑賞。

王の男 スタンダード・エディション [DVD]

• 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
• メディア: DVD

王の男 コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]

• 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
• メディア: DVD

１６世紀初頭、漢城。
チャンセン（カム・ウソン）とコンギル（イ・ジュンギ）は広大（旅回りの芸人）。
チャンセンは、ユッカプ（ユ・ヘジン）の一座にケンカを売り、芸で勝って、一座を乗っ取ってしまう。
一座はチャンセンのアイディアで、燕山君（チョン・ジニョン）と愛妾チャン・ノクス（カン・ソンヨン）をからかう芝居を始め、人気を博す。
が、義禁府の役人に逮捕されてしまう。
チャンセンは「王を笑わせたら罪を許す」という約束を何とかとりつけたが……。

大鐘賞作品賞、脚本賞、監督賞、主演男優賞（カム・ウソン）、助演男優賞（ユ・ヘジン）、新人男優賞（イ・ジュンギ）を受賞。
低予算なのに大当たりした映画らしい。
テーマは男性３人の三角関係。
それが実在の王と旅芸人２人、というのがおもしろい。
チョン・ジニョンが『時間離脱者』に続いて、髭面が渋くて、カッコよかった。
ユ・ヘジンはいつも通りの達者さ。

タマゴマジック

１２月２９日（日）
恩田陸『タマゴマジック』（河北新報出版センター）読了。

タマゴマジック

• 作者: 恩田 陸
• 出版社/メーカー: 河北新報社
• 発売日: 2016/03
• メディア: 単行本

１９９９年に出版されたミステリー短編集『象と耳鳴り』に収録された『魔術師一九九九』と、その続編として新たに書き下ろされた『魔術師二〇一六』。
河北新報に２００２年に連載されたミステリー短編『ブリキの卵』。
「ｈｉｎａｍｉ」に２０１０年に連載されたエッセイ『この世は少し不思議』。
以上、４編を収録した短編集。

恩田陸氏の本はこれが５９冊目。
存在を全く知らない本だったが、図書館で偶然見つけて借りてみた。
ライトタッチのミステリーだが、その味わいはまぎれもなく恩田陸氏の世界。
『魔術師』の２編の舞台は仙台。
恩田氏のご両親は仙台出身で、一家は父上の転勤で全国を転々としたが、仙台でも２、３年ほど暮らしたらしい。
伊坂幸太郎氏の小説もいつも仙台が舞台なので、なぜか親しみやすさを感じた。
僕は仙台には２回しか行ったことがないのに。

キャラメルボックス俳優教室２０１９年度卒業公演『銀河旋律』、昨日無事に幕を下ろしました。
昨日の２ステージはなかなかの出来。
おかげて明るい打ち上げとなりました。
そして、今日は１３時から最後の授業。
卒業公演の反省会をやりました。
最後に、私と白坂恵都子がメッセージを贈って、終了。
生徒たちから花束と寄せ書きをいただきました。
その後は、卒業公演の片付け。
名残惜しかったけど、家に帰って、仕事をしました。
これで１７期生の１３人ともお別れ。
彼らがさらに修行を積んで、一人前の役者になって、いつかどこかの現場で再会できたら、こんなに嬉しいことはない。
１７期生のみんなの努力に期待します。
頑張れ、１７期生！

時間離脱者

１２月２９日（日）
クァク・ジェヨン監督『時間離脱者』（２０１６年）ＧＹＡＯで鑑賞。

時間離脱者 [DVD]

• 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
• メディア: DVD

２０１４年大晦日、刑事ゴヌ（イ・ジヌク）は窃盗犯を追う途中、拳銃で撃たれ、重傷を負う。
３２年前の同じ日、同じ場所で、高校教師のジファン（チョ・ジョンソク）は恋人のユンジョン（イム・スジョン）を襲ったスリを追う途中、刃物で刺され、重傷を負う。
その日から、ゴヌの夢にジファンが現れ、ジファンの夢にゴヌが現れるようになる。
そして、ゴヌの前に、ユンジョンそっくりの女性ソウン（イム・スジョン）が現れる……。

タイムトラベルもののサスペンス。
タイムトラベルはしないが、３２年の時を隔てた２人の男が協力して、連続殺人鬼と闘う。
監督は『猟奇的な彼女』『ラブストーリー』のクァク・ジェヨン。
『怪しい彼女』のイ・ジヌクが主役の刑事で、とてもカッコよかった。
上司の刑事役のチョン・ジニョンも髭面が渋かった。

＜遊ぶ＞シュルレアリスム

１２月２８日（土）
巌谷國士『＜遊ぶ＞シュルレアリスム』（平凡社）読了。

〈遊ぶ〉シュルレアリスム (コロナ・ブックス)

• 作者: 巖谷 國士
• 出版社/メーカー: 平凡社
• 発売日: 2013/04/26
• メディア: 単行本

明治学院大学名誉教授で、仏文学者・批評家・作家の 巖谷 國士（いわやくにお）が、美術のシュルレアリスムの歴史と作品を解説する。

シュルレアリスムは「超現実主義」と訳され、観念的に捉えられがちだが、本来はそういうものではなく、「目前の現実と生活に立ち向かい、その中で『真の現実（あるいは超現実）』や『真の人生』に出会おうとするとする物の見方・生き方」だと言う。
そして、常に遊びの精神があったと説く。
１９１９年、パリで、詩人のアンドレ・ブルトンとフィリップ・スーボーが「オートマティズム（自動書記）」を始める。
同じ頃、ケルンで、ダダの画家マックス・エルンストが「コラージュ（貼り絵）」を始める。
これがシュルレアリスムの起源だった。
以降、マルセル・デュシャン、マン・レイ、ジョルジョ・デ・キリコ、ジョアン・ミロ、イヴ・タンギー、サルバトール・ダリ、ルネ・マグリットらが加わっていく。
さらに、日本の滝口修造、岡崎和郎、岡上淑子らも加わっていく。
掲載された作品はどれも一見難解だが、「遊びの精神」という解説がつけば、それほど難しく考える必要がないことがわかる。
この本で、シュルレアリスムがやっとわかった気がする。
お薦めです。

極秘捜査

１２月２８日（土）
クァク・キョンテク監督『極秘捜査』（２０１５年）ＧＥＯのレンタルＤＶＤで鑑賞。

極秘捜査 [レンタル落ち]

• 出版社/メーカー:
• 発売日: 2016/09/02
• メディア: DVD

１９８７年、韓国・釜山。
下校途中の小学生の少女が何者かに連れ去られる。
刑事のコン（キム・ユンソク）は少女の命を守るため、マスコミに公開せず、極秘で捜査を開始する。
が、犯人からの連絡は来ない。
少女の両親は導師（占い師）数人にすがるが、全員が「少女は既に殺されている」と言う。
ところが、キム（ユ・ヘジン）という導師だけは「少女は生きている。１５日後に犯人から連絡が来る。少女はコン刑事が救出する」と予言する。
そして、事件発生から１５日後、犯人から身代金を要求する電話がかかってくる……。

実際に起きた事件に基づく。
エンドロールでは、本物のコン刑事とキム導師が写真で登場する。
韓国では、日本以上に、占い師の地位が高いようで、ちょっとビックリ。
大好きなユ・ヘジンが、不器用だが真面目な占い師を演じていて、楽しめた。
『チェイサー』のキム・ユンソクも渋くてカッコよかった。

負の世界遺産

１２月２７日（金）
『負の世界遺産』（洋泉社ＭＯＯＫ）読了。

負の世界遺産 (洋泉社MOOK)

• 作者:
• 出版社/メーカー: 洋泉社
• 発売日: 2013/06/05
• メディア: ムック

ユネスコが選定した世界遺産の中から、人類の負の歴史を背負った４５を紹介・解説する。

世界遺産は、文化遺産と自然遺産に分かれる。
その文化遺産の中で、人類が忘れてはならない負の歴史を背負ったものたち。
〇アウシュヴィッツ、ビルケナウのユダヤ人収容所
〇ソロヴェツキー諸島の収容所（ロシア）
〇ヴィシェグラードのメフメド・パシャ・ソコロヴィッチ橋（ボスニア・ヘルツェゴビナ）
〇フェルクリンゲン製鉄所（ドイツ）
〇原爆ドーム（広島）
〇ビキニ環礁核実験場（マーシャル諸島）
〇ゴレ島（セネガル）
〇クンタ・キンテ島（ガンビア）
などなど、虐殺と奴隷貿易に使用された建物は世界各地に遺されている。
観光地化しているものが多いが、たとえその形でも、遺すことが大切なのだと思う。

キャラメルボックス俳優教室２０１９年度卒業公演『銀河旋律』の本番３日目。
１４時からＹチームの２ステージ目。
我が家の息子、キャラメルボックスの生田麻里菜が見に来てくれました。
出来は昨日の夜よりちょっとよくなった感じ。
１９時からＸチームの２回目。
キャラメルボックスの石森美咲が見に来てくれました。
芝居は凄くよくなったけど、ミスが多くて、ちょっと残念。
ステージを重ねるごとに質は向上していますが、まだ「これ！」というステージはない。
残り１日、２ステージ。
全身全霊で立ち向かいたいと思います。

容疑者Ｘ

１２月２７日（金）
パク・ウジン監督『容疑者Ｘ』（２０１２年）ＧＥＯのレンタルＤＶＤで鑑賞。

容疑者X 天才数学者のアリバイ [DVD]

• 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
• メディア: DVD

ソッコ（リュ・スンボム）は高校の数学教師で、マンションで独り暮らし。
隣の部屋に住むファソン（イ・ヨウォン）が勤める弁当屋に毎日通ってる。
ファソンは、両親を亡くした姪・ユナ（キム・ボラ）と暮らしている。
ある夜、ファソンの別れた夫がやってくる。
元夫の暴力に耐えかねたファソンは、ユナとともに、元夫を殺してしまう。
その音は、隣の部屋のソッコにもよく聴こえていた……。

東野圭吾氏の『容疑者χの献身』の映画化。
原作との決定的は違いは、「湯川学」に当たる人物が登場しないこと。
「草薙」に当たる人物が、刑事で、「石神」の高校時代の友人、ということになっている。
彼は「ソッコ」を天才と呼ぶが、とてもそうは見えない。
どこにでもいる、おとなしい数学教師だった。
それ以外は原作に忠実なので、話はまとまっていたが、これでは普通のミステリー映画ではないか、と残念に思った。