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この世の春(下) [本]

12月21日(金)
宮部みゆき『この世の春(下)』(新潮社)読了。

この世の春 下

この世の春 下

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/08/31
  • メディア: 単行本


五香苑の座敷牢で暮らす前藩主・北見重興は26歳で類まれな美貌の持ち主だった。
が、時に小さな男の子のようにしゃべったり、妖艶な女のようにしゃべったりした。
元用人頭の伊東成孝こと新九郎は、皆殺しにされた村の人々の怨霊だと言った。
が、各務多紀は男の子がムカデを怖がるのを見て、村の子どもではないと断言した。
男の子は琴音と名乗った……。

宮部みゆき氏の本はこれが61冊目。
要するに、多重人格を時代小説で本格的に描いたら、という試み。
細やかな描写で、見事に達成している。
ストーリーはすべて予想通りに展開するので、特に驚きはない。
が、重厚なのに温かい小説。

今日は夕方の飛行機で島根県出雲市へ行きます。
「演劇大学inしまね」が明日から3日間、出雲ビッグハートで開催されるのです。
僕は22日(土)にワークショップとセミナー、23日(日)にワークショップに参加します。
12月の島根は寒いかしら?
初めて行くので、とても楽しみです。

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四角形の歴史 [本]

12月20日(木)
赤瀬川原平『四角形の歴史』(毎日新聞社)読了。

四角形の歴史 (こどもの哲学・大人の絵本)

四角形の歴史 (こどもの哲学・大人の絵本)

  • 作者: 赤瀬川 原平
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 単行本


画家・作家の赤瀬川原平が、イラストと文章で、四角形の歴史を考察する。

犬は風景を見ていない。
物を見ている。
人間も昔は同じで、だから風景画というものは存在しなかった。
風景画が確立するのは、19世紀になってからだ。
自然界に四角形はない。
人が風景を四角く切り取って見たのは、窓のせいではないか?
そう、赤瀬川氏は指摘する。
なるほど、と思った。

キャラメルボックス俳優教室2018年度、最後の授業。
1300から、卒業公演『ミスター・ムーンライト』の反省会をやりました。
1430に終了し、16期生の18人は無事に卒業となりました。
その後、生徒たちから、色紙とプレゼントをもらいました。
たくさんの生徒にサインをねだられました。
質問にもたくさん答えました。
1530には、みんな稽古場を去っていきました。
でも、これが終わりじゃありません。
またいつか、一緒に芝居を作る日が来ると思います。
1930から、下北沢のGeki地下Libertyで、柿喰う客『美少年』を鑑賞しました。
『おおきく振りかぶって/夏の大会編』に出演してくれた、大村わたる君を見るためです。
男4人が60分にわたって高速で語りまくる芝居。
あまりに速くて、ついていくのがやっとでした。
終演後は、大村君と田中穂先君がアフタートーク。
その後、大村君、田中君、永島敬三君とちょこっとだけ話をして、帰りました。
そうそう、客入れは玉置玲央君がやっていました。
舞台や客席をうろついて、パンフレットを売っていました。
出演しなくても、劇団の公演に貢献するのは、すばらしいことだと思います。
『美少年』は12月30日までです。

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Jam Films [映画]

12月20日(木)
篠原哲雄監督他『Jam Films』(2002年)GYAOで鑑賞。

Jam Films [DVD]

Jam Films [DVD]

  • 出版社/メーカー: セガ
  • メディア: DVD


7人の監督による短編オムニバス映画。
監督とタイトルは以下の通り。
北村龍平 「the messenger -弔いは夜の果てで-」
篠原哲雄 「けん玉」
飯田譲治 「コールドスリープ」
望月六郎 「Pandora -Hong Kong Leg-」
堤幸彦 「HIJIKI」
行定勲 「JUSTICE」
岩井俊二 「ARITA」

全体的なレベルの低さに唖然とした。
小説も演劇もそうだが、短編はちょっとしたアイディアで作れるものではない。
その中で、行定勲監督の『JUSTICE』が非常にバカバカしいが、一番楽しめた。
主役の高校生が妻夫木聡で、ヒロインが綾瀬はるか。
岩井俊二監督の『ARITA』はアイディアがよかった。
出演者は広末涼子1人。
篠原哲雄監督の『けん玉』に山田幸伸さんが出ていて、うれしかった。

今日はキャラメルボックス俳優教室2018年度の最後の授業。
卒業公演『ミスター・ムーンライト』の反省会です。
その後は、下北沢へ芝居を見に行きます。
報告は夜の更新で。
それでは行ってきます。

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この世の春(上) [本]

12月19日(水)
宮部みゆき『この世の春(上)』(新潮社)読了。

この世の春 上

この世の春 上

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/08/31
  • メディア: 単行本


1710年、下野北見藩。
多紀は22歳、元作事方組頭の父・各務数右衛門と二人暮らし。
ある夜、女が子どもを抱いて、訪ねてきた。
その子は御用人頭・伊東成孝の息子・一之助、女は女中だった。
藩主・北見重興に取り入り、藩政を思いのままにしていた成孝が、家老たちによって粛清されたのだ。
重興も乱心のかどで強制的に隠居させられた。
数カ月後、多紀は藩主の別邸・五香苑に連れて行かれる。
そこには巨大な座敷牢があった。
牢に入るのは重興、多紀はその世話をすることになったのだ……。

帯に「作家生活30周年記念、サイコ&ミステリー長編作品」とあった。
『孤宿の人』の雰囲気に近い。
登場人物一人一人がじっくりと描かれるため、話はなかなか進まない。
五香苑の館守で、元江戸家老の石野織部がカッコよかった。
明らかにおじいさんなのだが、年齢は51歳。
僕より6つも年下だけど、この時代ではおじいさんなんですね。
トホホ。

キャラメルボックス2018クリスマスツアー『リトル・ドラマー・ボーイ』東京公演の本番4日目。
4ステージ目と5ステージ目。
4ステージ目が、大内厚雄の入団通算2000ステージ目でした。
キャラメルボックス劇団員としては、6人目の快挙!
今日までよく頑張りました。
この回には、辻村深月さん、オレノグラフィティ君、森山栄治君が見に来てくれました。
高校3年の息子も見に来てくれました。
息子の感想は「なかなか」。
相変わらず、あまり褒めてくれません。
役者の中では、鍛治本大樹と石森美咲がよかったそうです。

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血槍富士 [映画]

12月19日(水)
内田吐夢『血槍富士』(1955年)WOWOWで鑑賞。

血槍富士 [DVD]

血槍富士 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD


江戸時代、東海道。
権八(片岡千恵蔵)は中間(ちゅうげん)の槍持で、主君の酒匂小十郎(島田照夫)、小者の源太(加東大介)と江戸に向かう旅をしている。
道中、農民の藤三郎(月形龍之介)、小間物屋の伝次、身売りに行くおたねとその父・与茂作、あんまの藪の市、巡礼(進藤英太郎)、旅芸人のおすみと幼い娘・おきん、浮浪児の次郎らと知り合いになる。
道筋の立て札に、お尋ね者として、泥棒の風の六右衛門の顔が描かれていた。
はたしてこの中に紛れ込んでいるのか……。

ほのぼのとしたロードムービーだが、クライマックスで突然、壮絶な殺し合いになる。
主人公の権八が5人の侍を相手に斬り合いをするのだが、この殺陣が凄い。
権八は槍の名人かと思いきや、全くの素人で、無闇に振り回し、敵を刺し殺していく。
この殺陣が実にリアルで、ビックリ。
片岡千恵蔵という人は昭和前期の東映の大スターだが、この映画ではヒーロー然としたところはまるでなく、武骨な中間を誠実に演じている。
見直しました。

今日はキャラメルボックス2018クリスマスツアー『リトル・ドラマー・ボーイ』東京公演の本番4日目。
14時と19時の2ステージ。
この14時の回が、大内厚雄の2000ステージ目に当たります。
1995年に入団して、23年かけて、2000ステージに到達。
こいつはめでたい!
というけで、僕も劇場に行って、お祝いしてきたいと思います。
それでは行ってきます。

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視覚心理学が明かす名画の秘密 [本]

12月18日(火)
三浦佳世『視覚心理学が明かす名画の秘密』(岩波書店)読了。

視覚心理学が明かす 名画の秘密

視覚心理学が明かす 名画の秘密

  • 作者: 三浦 佳世
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/07/14
  • メディア: 単行本


九州大学名誉教授の三浦佳世が、世界の名画を視覚心理学の視点から分析・解説する。

メチャクチャためになった!
〇西洋絵画の80パーセント近くは、左上30~60度からの光が想定されている。が、カラヴァッジョの『マタイの召命』は右上から光が差している。神の光だから。
〇フェルメールの絵はリアルに見えるが、消失点が2カ所あるなど、結構ごまかしが多い。
〇西洋絵画の横顔はほとんどが左向き。しかし、ムンクの『病める子ども』、ピカソの『泣く女』、リキテンスタインの『泣く女』は右向き。その結果、不安を感じる。
などなど、おもしろい知見がいっぱい。
お薦めです。

今日から年賀状を書き始めました。
成井家では27年前に結婚した時から、年賀状は家族の写真。
今回も自宅の近くの生け垣の前で撮影しました。
一時は300枚ほど印刷していたのですが、今年は180枚。
娘も息子も、来たものに返事を出すだけで、自分からは出さなくなりました。
僕はもうしばらく続けようと思います。
さあ、続きに取りかかりますか!

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秘密 [映画]

12月18日(火)
滝田洋二郎監督『秘密』(1999年)GYAOで鑑賞。

秘密 デジタルリマスター版 2枚組(本編ブルーレイ+特典DVD) [Blu-ray]

秘密 デジタルリマスター版 2枚組(本編ブルーレイ+特典DVD) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


杉田平介(小林薫)は食品会社の研究員で、カップラーメンを開発している。
ある日、妻・直子(岸本佳代子)と高校生の娘・藻奈美(広末涼子)を乗せたスキーバスが崖から転落。
直子は息を引き取るが、藻奈美は一命を取りとめる。
ところが、目が覚めた藻奈美の体には直子の魂が宿っていた!
直子は藻奈美として生きることを決意し、高校に通い始める……。

原作は、東野圭吾氏の同名小説。
原作では藻奈美は小学生だったが、広末涼子主演ということで、高校生に変更。
事故を起こした運転手の一家のサイドストーリーもすべてカット。
それ以外は原作に忠実に映画化されていた。
19年前の広末はまさに壮絶な可愛さで、一瞬も目が離せなかった。
こんな経験は『ローマの休日』と『時をかける少女』だけ。
大杉漣、柴田理恵、國村隼がまだ売れてなかったせいだろう、ちょい役で出演。
大学教授役で、東野圭吾氏も出演していた。

来年1・2月にもワークショップを行います。
銀座九劇アカデミアのワークショップで、僕は『初級俳優講座』と『中級俳優講座』の2コマを担当。
1/13、1/20、2/3、2/10の4日間で、『初級』は12~16時、『中級』は17~21時。
料金は4回通しで、一般が25000円、高校生が21000円。
前半2回だけ、後半2回だけ、という参加もできます(料金は一般が13000円、高校生が11000円です)。
少々値段が張りますが、絶対にタメになることをやりますので、ぜひぜひご参加ください。
心よりお待ちしています。
お問い合わせ・参加希望の方は、銀座九劇アカデミア(info_academia@lespros.co.jp)までどうぞ。

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破蕾 [本]

12月17日(月)
冲方丁『破蕾』(講談社)読了。

破蕾

破蕾

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/08/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


江戸時代、江戸。
お咲は南町奉行所の与力の妻。
ある日、夫の命令で、小伝馬町の牢屋敷に差し入れを持っていく。
するとなぜか別室に案内され、茶菓を振る舞われる。
戸惑っていると、与力の坂部誠十郎がやってきて、お咲を縄で縛った。
人を殺めて、市中引き回しの上、獄門となった女が、御三家の血筋とわかった。
そこで、市中引き回しのみ代役を仕立てることになり、その代役をお咲がつとめることになった。
お咲は裸にされ、陰部に薬を塗られた……。

短編3作を収録した連作短編集で、上記は一つ目の『咲乱れ引廻しの花道』。
要するに、江戸時代を舞台にした官能小説。
セックスのオンパレードだが、なぜか全くいやらしさを感じさせない。
描写が細かくないため、あらすじを読んでいるような感じ。
にしても、57歳の僕には濃すぎて、読み続けるのが辛かった。

12月22日と23日の2日間、島根県出雲市でワークショップを行います。
「演劇大学inしまね」が出雲市のビッグハート出雲で開催されるのです。
僕は22・23日の「演劇基礎講座」というワークショップと、22日の「劇団を長く続けるコツ」というセミナーに参加。
本日、参加者のリストが自宅に送られてきました。
ワークショップには48名もの方が参加してくださるようです(1日だけの人も含む)。
頑張らなくっちゃ!

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読みきかせボランティア入門 [本]

12月17日(月)
波木井やよい『読みきかせボランティア入門』(国土社)読了。

読みきかせボランティア入門

読みきかせボランティア入門

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 国土社
  • 発売日: 2006/07/01
  • メディア: 単行本


元東京都公立小学校教諭で、「読みきかせボランティアの会」代表の波木井やよいが、読みきかせボランティアの意義と実践を解説する。

波木井やよい氏によれば、「読みきかせ」と「朗読」は全く別のもの。
「読みきかせ」はできるだけ平板に読み、色をつけない。
聞き手の想像力に任せる。
なぜなら、聞き手は絵本の絵を見ているのだから。
読みきかせは0歳児から小学校高学年、そして、お年寄りを対象にする。
それぞれの年代に合わせた推薦図書も載っていて、ためになった。

今日はキャラメルボックス2018クリスマスツアー『リトル・ドラマー・ボーイ』東京公演の本番3日目、3ステージ目です。
開演は1930。
1時間50分の芝居なので、カーテンコールを含めても、2130までに終演します。
キャスト・スタッフも、劇場を2200までに出なければいけないので、芝居が長い時は大変。
衣裳の洗濯や片付けで大忙しになります。
お客さんも急いで帰っていく。
今回は短めなので、慌てずに済みますよ。
ご来場をお待ちしています。


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百年泥 [本]

12月16日(日)
石井遊佳『百年泥』(新潮社)読了。

百年泥 第158回芥川賞受賞

百年泥 第158回芥川賞受賞

  • 作者: 石井 遊佳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/01/24
  • メディア: 単行本


インド南部の都市チェンナイ。
「私」はIT企業の日本語教師。
チェンナイに来て3カ月半で、百年に一度の大洪水に遭遇する。
洪水3日目、水が引いたので、外に出て、アダイヤール川に向かう。
川にかかる橋には、高さ50センチの泥の山ができていた。
その泥を、日本語学校の生徒のデーヴァラージが掘り返していた。
泥の中から出てきたのは、「私」がよく知っているものたちだった……。

第158回芥川賞受賞作。
マジック・リアリズム的な手法で、「私」の過去を描いていく、ちょっとユーモラスな純文学。
石井遊佳氏は1963年生まれで、東京大学大学院を卒業し、現在は日本語教師として、チェンナイ在住。
石井氏だからこそ書ける、石井氏にしか書けない小説だと思った。

キャラメルボックス俳優教室2018年度卒業公演『ミスター・ムーンライト』の本番5日目、千秋楽。
14時から、Xチーム。
前半は少々硬く、お客さんの反応も薄かったものの、後半はしっかり盛り上がって、楽しい芝居になりました。
目立つミスもほとんどナシ。
これが初日からできていれば、と思いました。
バラシの後、打ち上げ。
2時間にわたって、生徒たちとたっぷり話すことができました。
「僕・私の演技はできていましたか?」という質問には閉口しましたが。
そんなの、できているわけないじゃないですか。
しかし、大きな事故もなく、無事に卒業公演が終わって、ホッとしました。
ご来場くださった皆さんに厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました。

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