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地図男 [本]

6月17日(月)
真藤順丈『地図男』(メディアファクトリー)読了。

地図男 (角川文庫)

地図男 (角川文庫)

  • 作者: 真藤 順丈
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/03/23
  • メディア: 文庫


地図男は30歳~50歳の男性で、関東近県に出没する。
関東の地図帖を携帯し、そこには膨大な付箋と書き込みがある。
そして、その書き込みはそれぞれが物語になっている。
「俺」はフリーの映画助監督。
新作映画のロケハンで、都内を巡回中、地図男と出会った。
「俺」は地図男の物語に夢中になる……。

『宝島』で直木賞を受賞した真藤順丈氏のデビュー作。
ダ・ヴィンチ文学賞大賞、日本ホラー小説大賞、ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。
ホラーというより、エッジの利いたファンタジーという感じ。
真藤氏は1977年生まれで、この作品は2008年に発表。
若さに任せた、想像力の暴走。
若干読みにくいが、勢いがあって、楽しめた。

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ロージー [映画]

6月16日(日)
ジェス・ボンド監督『ロージー』(2018年)WOWOWで鑑賞。

ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2 2枚組(Vol.1&Vol.2) [DVD]

ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2 2枚組(Vol.1&Vol.2) [DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD


ロージー(ステイシー・マーティン)は女優志望の女の子。
ある日、見知らぬ男に捕まり、どこかの部屋に監禁される。
男はレストランでコックをしている青年ダグ(ナット・ウルフ)で、その部屋は彼の祖母の家の半地下室だった。
ロージーは必死で脱出を試みるが、うまく行かない。
ダグの祖母は入院中だったが、病気が快方に向かい、退院して家に戻ることになる。
焦ったダグは、祖母を殺してしまう……。

写真が見つからず、ステイシー・マーティンが出演している別の映画『ニンフォマニアック』を載せた。
ウィリアム・ワイラー監督の映画『コレクター』(1965年)の現代版だが、『コレクター』よりはるかにライト。
『コレクター』の主役のテレンス・スタップに漲っていた狂気が、この映画ではあまり感じられなかった。
演技力というより、時代の要請なのだろう。
止むを得ないとも思うが、僕には物足りなかった。

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コスパ飯 [本]

6月16日(日)
成毛真『コスパ飯』(新潮新書)読了。

コスパ飯 (新潮新書)

コスパ飯 (新潮新書)

  • 作者: 成毛 眞
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/04/15
  • メディア: 新書


元日本マイクロソフト社長で、早稲田大学客員教授の成毛真(なるけまこと)が、お金をかけないグルメのあり方を解説する。

「高くてうまい」は時に偉そうで、肩が凝るから、「安くてうまい」を追求。
たとえば、うまい「牛めし弁当」を求めて、勤務先の近くのJR東京駅と銀座三越に限定して、実際に「牛めし弁当」を食べまくる。
結局4年ほどかけて、39種類を食べて、第一位は銀座三越の「柿明」の「黒毛和牛牛めし」(1301円)に決定。
というふうに、自分の舌で徹底的に調査する姿勢がすばらしい。
家で食べるのが一番リラックスできる、外食は家で再現するための調査、という考え方もいい。
近頃はこういう人が増えてきているのではないか。
僕も真似したいと思った。
お薦めです。

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アラジン [映画]

6月15日(土)
ガイ・リッチー監督『アラジン』(2019年)新宿ピカデリーで鑑賞。

〈実写版〉アラジン (ディズニーアニメ小説版)

〈実写版〉アラジン (ディズニーアニメ小説版)

  • 作者: エリザベス ルドニック
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2019/06/04
  • メディア: 単行本


中東の国・アグラバー。
アラジン(メナ・マスード)はカッパライをしながら猿のアブーと暮らしている。
ある日、町で変装した王女・ジャスミン(ナオミ・スコット)と出会い、仲良くなる。
ジャスミンは王女の侍女だと嘘をつく。
ジャスミンが置いていった腕輪を届けに、アラジンは王宮に忍び込む。
そこで、国務大臣のジャファー(マーワン・ケンザリ)に捕まる。
ジャファーはアラジンを洞窟に連れていき、中からランプを取ってこいと命じる。
アラジンはアブーとともに洞窟に入り、岩に挟まれていた魔法の絨毯を助け、ランプを取ることに成功する。
絨毯の指示でランプをこすると、中から魔神・ジーニー(ウィル・スミス)が出現した!

『千夜一夜物語』の『アラジンと魔法のランプ』に基づいて、1992年に制作されたディズニーのアニメーション映画作品『アラジン』の実写リメイク。
僕はアニメも、それを舞台化した劇団四季のミュージカルも見ている。
この実写版の特長は、アニメやミュージカルでは影の薄かったジャスミンを、国王の座を目指す知的な王女に変えたこと。
最後にアラジンがただのカッパライだとわかっても、自分よりも町の様子や庶民の暮らしを知る者として、敬意を捨てない。
その結果、二人が結ばれるハッピーエンドの説得力が増した。
この作品はジニーの魅力にかかっているので、ウィル・スミスの責任が重大だが、期待通りの大活躍で、さすがとしか言いようがない。
アニメもミュージカルもおもしろかったが、実写版はそれらを超えたと思う。
お薦めです。

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ピアノ・サンド [本]

6月14日(金)
平田俊子『ピアノ・サンド』(講談社文庫)読了。

ピアノ・サンド (講談社文庫)

ピアノ・サンド (講談社文庫)

  • 作者: 平田 俊子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/11/16
  • メディア: 文庫


「わたし」は夫の浮気が原因で離婚し、独り暮らしを始める。
貯金を切り崩して生活していたが、まだ半年はもちそう。
そんなある日、結婚前に勤めていた会社の同僚・諏訪が、100年前のフランス製のピアノを引き取らないかと言う。
アップライト型で、既に壊れているらしい。
引っ越したマンションは狭くて、ピアノの置き場はない。
「わたし」はダブルベッドをシングルに買い換えて、スペースを作ることにする……。

『ピアノ・サンド』『ブラック・ジャム』の中編2作を収録した本で、上記はもちろん『ピアノ・サンド』。
平田俊子氏は詩人で、劇作家で、小説家。
この本の2作とも、静かだが、不穏な雰囲気。
巻末の解説で角田光代氏が「読みながら、ざわざした気分になる」と書いているがまさにそんな感じ。もちろんホラーじゃなくて、純文学だが、そこには信じられるもの、頼りになるものが何もない。
ひたすら孤独で、だから怖いのだと思う。

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誰よりも狙われた男 [映画]

6月14日(金)
アントン・コービン監督『誰よりも狙われた男』(2013年)他4本鑑賞。

誰よりも狙われた男 スペシャル・プライス [DVD]

誰よりも狙われた男 スペシャル・プライス [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: DVD






ジグザグキッドの不思議な旅 [DVD]

ジグザグキッドの不思議な旅 [DVD]

  • 出版社/メーカー: オンリー・ハーツ
  • メディア: DVD



アフター・ザ・レイン [DVD]

アフター・ザ・レイン [DVD]

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • 発売日: 2010/05/11
  • メディア: DVD



チェイス・ザ・ドリーム [DVD]

チェイス・ザ・ドリーム [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: DVD


アントン・コービン監督『誰よりも狙われた男』(2013年)
ジェフ・ムーア+デヴィッド・ザメンティア監督『禁断のケミストリー』(2014年)
ビンセント・バル監督『ジグザグキッドの不思議な旅』(2012年)
チェン・シーチェン監督『アフター・ザ・レイン』(2007年)
ラミン・バーラミ監督『チェイス・ザ・ドリーム』(2012年)
溜まってしまったので、5本まとめて載せました。
5本の中では、『誰よりも狙われた男』が一番楽しめました。

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夢を食った男たち [本]

6月13日(木)
阿久悠『夢を食った男たち』(文春文庫)読了。

「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 夢を食った男たち (文春文庫)

「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 夢を食った男たち (文春文庫)

  • 作者: 阿久 悠
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/12/06
  • メディア: 文庫


作詞家の阿久悠が、自身が関わった60年代後半のGSブームと、70年代の『スター誕生』を語る。

1993年に出版された本で、1937年生まれの阿久悠氏は当時56歳。
平成4年に、昭和後期の歌謡界を振り返ったのだ。
この人が昭和を代表する作詞家であることは間違いない。
中でも評価すべきは、フィンガー5、山本リンダ、ピンク・レディーのブームを巻き起こしたこと。
単なる作詞家ではなく、企画の段階からプランナーとしてかかわっていたのだ。
『スター誕生』も同様で、あれは要するに、萩本欽一氏と阿久悠氏の番組だったのだ。
僕も小学校時代は毎週見ていた。
あの番組で最初にスターになったのは、初代グランドチャンピオンの森昌子でなく、審査員の作曲家・都倉俊一氏だったらしい。
客席は都倉氏のファンでいっぱいになったらしい。
当時を知る上では貴重な記録。

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妻が椎茸だったころ [本]

6月13日(木)
中島京子『妻が椎茸だったころ』(講談社文庫)読了。

妻が椎茸だったころ (講談社文庫)

妻が椎茸だったころ (講談社文庫)

  • 作者: 中島 京子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: 文庫


石田泰平は7年前、定年退職の2日後に妻を亡くした。
クモ膜下出血による、突然の死だった。
葬儀の3週間後、独り暮らしをしている娘から電話がかかってきて、「明日は杉山登美子先生の料理教室だから、お母さんの代わりに行って」と言う。
妻が予約したもので、キャンセルはできないと言う。
仕方なく、自分で断りの電話をかけると、杉山は泰平に話をする隙を与えず、「椎茸のみ、甘辛く煮てお持ちくださいませね」と言った……。

5つの短編を収録した短編集で、上記は表題作の『妻が椎茸だったころ』。
本作は、泉鏡花賞受賞作。
中島氏の本を読むのは、直木賞受賞作『小さいおうち』に続いて2冊目だが、ノンビリした雰囲気なのに、ウィットに富んでいて、とても楽しめた。
中島氏は1964年、東京生まれ。
僕は1961年、埼玉生まれなので、ちょっと感覚が近いのかもしれない。

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誰かに話してみたくなる数学小噺 [本]

6月12日(水)
芳沢光雄『誰かに話してみたくなる数学小噺』(ベスト新書)読了。

誰かに話してみたくなる数学小噺 (ベスト新書)

誰かに話してみたくなる数学小噺 (ベスト新書)

  • 作者: 芳沢 光雄
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2013/03/09
  • メディア: 新書


桜美林大学リベラルアーツ学群教授の芳沢光雄による、数学をネタにした小噺48。

正常なコインを1000回投げて、表が469回以下か、531回以上出た時、そのどちらかが起きる確率は5パーセント以下なので、統計では「有意水準5パーセントで棄却」となる。
「正常なコインである」という仮説は棄却され、成立しなくなる。
つまり、ニセモノと判定されるのだ。
なんてなことは学校で学ばなかったので、とてもタメになった。
作者の芳沢光雄氏は前書きで「笑いと会話にこだわった」と書いていた。
が、あまりにもセンスが古すぎて、僕には全く笑えなかった。
何しろ、突然、ご隠居さんが出てきて、「〇〇じゃ」としゃべって、問題を解決してしまうのだ。
小学生の頃に読んだ、「科学」と「学習」に載っていたマンガのようだった。
50年古い。

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武者無類 [本]

6月12日(水)
歴史魂編集部編『武者無類(むしゃぶるい)』(アスキー・メディアワークス)読了。

武者無類―月岡芳年の武者絵

武者無類―月岡芳年の武者絵

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/10/03
  • メディア: 単行本


幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・月岡芳年(つきおかよしとし)の武者絵を紹介・解説する。

月岡芳年は天保10年3月17日(1839年4月30日)、江戸の商家である吉岡兵部の次男・米次郎として生まれる。
その後、京都生まれの画家・月岡雪斎の養子となる。
嘉永3年(1850年)、12歳で歌川国芳に入門。
嘉永6年(1853年)、『画本実語教童子教余師』に吉岡芳年の名で最初の挿絵を描く。同年、最初の錦絵『文治元年平家一門海中落入図』を一魁斎芳年の号で発表。
その後、月岡芳年と改名。
衝撃的な無惨絵の描き手として有名になり、「血まみれ芳年」と呼ばれる。
また、時代が浮世絵から日本画・洋画に移り変わる中、「最後の浮世絵師」と評価された。
1892年(明治25年)、脳充血で死亡、享年54歳。
代表作は、『和漢百物語』『皇国二十四功』『芳年武者无類(むしゃぶるい)』『月百姿(つきひゃくし)』『新形三十六怪撰』など。
人物のポーズがどれもダイナミックで、古さを全く感じさせない。
一発でファンになった。
お薦めです。

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