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甘いもの中毒 [本]

3月25日(水)
宗田哲男『甘いもの中毒』(朝日新書)読了。

甘いもの中毒 私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体 (朝日新書)

甘いもの中毒 私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体 (朝日新書)

  • 作者: 宗田哲男
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/01/12
  • メディア: 新書


宗田マタニティクリニックの院長・宗田哲男が、糖質制限の効用を説く。

ショックだった。
砂糖も米も糖質だから、食べてはいけない、食べたがるのは中毒なのだ、と宗田氏は書く。
お米中毒!
人間は猿から進化して以来何万年も、ずっと狩猟生活を営み、動物の肉を食べてきた。
農耕生活など、たかだか3000年に過ぎない。
米でなく、肉を食べるのに適した体なのだ、と宗田氏は書く。
実際、宗田氏は米食をやめることで自身の糖尿病を克服したし、氏の病院に来る肥満の妊婦さんたちにも、砂糖と米をやめろと指導して、成果を挙げてきた。
肥満がひどい妊婦は母体の安全を守るため、堕胎することが多いらしい。
が、宗田氏の病院に来院すると、食事制限の指導を受けて、体重を10キロ以上、健康に落として、無事に出産するらしい。
また、結核の妊婦さんも、砂糖断ち・お米断ちをさせて、治してしまうらしい。
肉・卵・チーズを食べろ、と宗田氏は主張する。
100歳過ぎまで現役の医師だった日野原重明氏も、亡くなる直前までステーキを食べていたらしい。
100歳まで生きたいとは思わないが、健康を維持するために、僕も糖質を制限しようと思う。
というわけで、とってもタメになりました。
お薦めです。

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11文字の殺人 [本]

3月24日(火)
東野圭吾『11文字の殺人』(光文社文庫)読了。

11文字の殺人 (光文社文庫)

11文字の殺人 (光文社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1990/12/01
  • メディア: 文庫


推理作家の「あたし」の恋人が殺された。
恋人の川津雅之はフリーライターで、最近、何者かに狙われていると言っていた。
「あたし」は友人の萩尾冬子とともに、調査を開始する。
やがて、川津が参加したクルージングで難破事故が起き、乗員全員が近くの無人島に流れついたが、1人が死亡していたことがわかる。
その男・竹本幸裕は水泳が得意で、彼だけが死んだのは明らかにおかしかった。
ところが、調査を進めるうちに、難破事故の生き残りの1人がまたしても殺された……。

東野圭吾氏の本はこれが74冊目。
1985年に『放課後』でデビューした東野氏の、1987年の作品。
光文社文庫に収められている初期作品8作を今まで読み逃していたことに気付き、『白馬山荘殺人事件』に続いて、この本も読んでみた。
「わりとシンプルな話だな」と思いながら読んでいたが、どうしてどうして、ラストにとんでもないツイストが待っていた。
これだから東野氏は侮れない。
最後の10行でまたしても、「やられた!」と叫んだ。
東野圭吾に駄作なし。
お薦めです。

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カラースケッチも3分 [本]

3月23日(月)
山田雅夫『カラースケッチも3分』(光文社新書)読了。

カラースケッチも3分 スケッチは3分2/光文社新書

カラースケッチも3分 スケッチは3分2/光文社新書

  • 作者: 山田 雅夫
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/06/27
  • メディア: Kindle版


慶応大学大学院の元教授で、都市計画家の山田雅夫が、3分間で色鉛筆によるカラースケッチをする方法を伝授する。

『スケッチは3分』の続編。
3分間で引ける線の数はたかが知れている。
それでここまで素敵な絵が描けるのか、と感動した前作。
今度はなんと、3分間で色まで塗ると言う。
使用するのは、子供が使う12色入りの色鉛筆。
山田氏はこの12色をとにかく混ぜる。
その混ざり方は、水彩や油絵具とは全く違う。
塗る順番が問題になるのだ。
どの色とどの色をどの順番で塗るかまで解説してあって、とっても親切。
例として挙げた山田氏のカラースケッチはみんな素敵。
見ても読んでも楽しい本だった。
前作『スケッチは3分』とともに、お薦めです。

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「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 [本]

3月22日(日)
アレン・ネルソン『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(講談社文庫)読了。

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」 (講談社文庫)

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」 (講談社文庫)

  • 作者: アレン・ネルソン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/03/12
  • メディア: 文庫


ベトナム帰還兵のアレン・ネルソンが行なった講演の記録。

アレン・ネルソンは1947年、ニューヨーク、ブルックリン生まれの、アフリカ系アメリカ人。
貧しい母子家庭に育ち、18歳で海兵隊に入隊。
ベトナム戦争に従軍し、4年後に退役。
「ベトナム・ストレス症候群」により、奇矯な振る舞いを繰り返し、その結果、家を追い出され、ホームレスとなる。
23歳の時、小学校時代の同級生の教師に誘われて、教室で子供たちに戦争体験を語る。
その時、少女に「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」と聞かれる。
ネルソンが長い沈黙の後、「イエス」と応えると、少女はネルソンを抱き締め、「かわいそうなミスターネルソン」と言った。
この一言で彼は目覚める。
高卒資格を取り、大学を卒業し、講演活動を開始。
1996年より日本で講演活動と平和運動に行い、2009年に死去。
彼の語る戦争体験はあまりにも残虐で、ベトナム戦争とはここまでひどいものだったのかと驚いた。
ベトコンを誘き出すため、村の子供・女・皆殺しにする。
何度も何度も。
しかし、ベトナム人も自分と同じ人間なのだと気付いた瞬間から、戦争に疑問を持ち始める。
ベトナムへ行く前、沖縄で一カ月訓練した時、日本人に対して本当にひどいことをした、ともあった。
その時も、日本人を人間だと思ってなかったと言う。
正直な発言だが、こういう米軍人が多いのだろうなと暗澹たる気持ちになった。
タメになる本。
お薦めです。

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私の少女 [映画]

3月22日(日)
チョン・ジュリ監督『私の少女』(2014年)GYAOで鑑賞。

私の少女 [DVD]

私の少女 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2015/10/02
  • メディア: DVD


韓国。
イ・ヨンナム(ペ・ドゥナ)はソウルから小さな漁港の村へ、警察所所長として赴任する。
そこで、14歳の少女ソン・ドヒ(キム・セロン)と出会う。
ドヒは継父のヨンハ(ソン・セビョク)から日常的に暴力を受けていた。
が、ヨンハは村で唯一の若者であり、漁港での事業でたくさんの人を雇用しているため、村人たちは見て見ぬふりをしていた。
ヨンナムは夏休みの間、ドヒを自宅に引き取り、一緒に暮らし始める……。

ペ・ドゥナが出ているというだけで見たくなる。
安心と信頼の女優である。
ドヒ役のキム・セロンは、『アジョシ』(2010年)でヒロインの小学生を演じていた子だった。
2000年生まれの19歳、息子と同い年だ。
背が伸びて、細長くなっていた。
彼女も演技は達者で、孤独で愛に飢えた少女を見事に造形していた。
劇中で音楽が一切使用されず、物語は淡々と進んでいく。
が、最後の最後でドヒの孤独が溢れ、吹き出し、思わず落涙してしまった。
いい映画だ。
お薦めです。

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暗い夜、星を数えて [本]

3月21日(土)
彩瀬まる『暗い夜、星を数えて』(新潮文庫)読了。

暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫)

暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫)

  • 作者: まる, 彩瀬
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/02/28
  • メディア: 文庫


3月11日。
作家としてデビューを間近に控えた彩瀬まるは、旅行中、南相馬市付近で、東北大震災に遭遇。
間一髪のところで、津波から逃れ、生き残る。
避難所、民家、避難所を経由して、無事に埼玉県の自宅に帰還。
6月、ボランティアとして、いわき市へ。
11月、震災直後に出会い、ともに津波から逃れた人に会いに、南相馬市へ。
彩瀬まるが体験した東北大震災をつぶさに記録したルポルタージュ。

震災を実際に体験した人だからこそ書ける文章。
彩瀬氏はつとめて冷静に、客観的に、自らの体験を綴ろうとする。
その姿勢はきわめて真摯で、信頼できる。
美談でも告発でもない、まさに記録。
その時、福島にいなかった人は、ぜひとも読んでおくべき本だと思った。
お薦めです。

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アレクサンドリア [映画]

3月21日(土)
アレハンドロ・アメナーバル監督『アレクサンドリア』(2009年)WOWOWで鑑賞。

アレクサンドリア [DVD]

アレクサンドリア [DVD]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: DVD


西暦4世紀、ローマ帝国支配下のエジプト、アレクサンドリア。
ヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は哲学者で、父テオン(マイケル・ロンズデール)は図書館長。
彼女は数学・天文学を研究しながら、弟子のオレスサス(オスカー・アイザック)たちに講義していた。
彼女の奴隷ダオス(マックス・ミンゲラ)は彼女を慕っていたが、気持ちを伝えることはできない。
やがてオレステスがヒュパティアに求婚するが、彼女は研究に一生を捧げると拒絶する。
その頃、市内ではキリスト教徒の勢力が拡大し、彼らが古来の神々を罵倒したため、不穏な空気が流れ始める……。

スペイン映画で、原題は「 Ágora」(広場の意味)。
監督が『海を飛ぶ夢』『オープン・ユア・アイズ』『アザーズ』のアレハンドロ・アメナーバルだったので、見てみた。
4世紀のアレキサンドリアの図書館について、前から知りたいとも思っていた。
当時、世界の知の中心はここ、アレキサンドリアの図書館にあったのだ。
映画なので、すべてが事実というわけではないだろうが、本は全部巻物だった。
巨大な図書館と言われていたが、本の数は意外と少なかった。
貸し出しより、研究が主のようだった。
が、図書館よりも、当時、新興宗教として勢力を拡大していたキリスト教の凶暴さ・残酷さの方が目についた。
他宗教に不寛容で、やたらと暴力に走る。
ヒュパティアは実在の人物で、最後はキリスト教徒たちによって、八つ裂きにされる。
ヒュパティアを演じたレイチェル・ワイズが圧倒的な美しさで、彼女がいなければ退屈な歴史劇になっていただろう。
見てよかった。

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メカ・サムライ・エンパイア(下) [本]

3月20日(金)
ピーター・トライアス『メカ・サムライ・エンパイア(下)』(ハヤカワ文庫)読了。

メカ・サムライ・エンパイア 下 (ハヤカワ文庫SF)

メカ・サムライ・エンパイア 下 (ハヤカワ文庫SF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/04/30
  • メディア: Kindle版


1996年、日本合衆国、バークリー。
不二本誠は念願叶って、バークリー陸軍士官学校に入学。
メカ・パイロットになるための訓練を開始する。
ある夜、街のレストランで、高校時代の友人で、ドイツ人留学生のグリゼルダと再会。
彼女は高校卒業と同時に帰国したが、軍務について、再び日本合衆国に赴任していた。
誠はグリゼルダを毎夜誘い出したが、級友から、ドイツ人との接触は控えろと注意されてしまう。
やがて、新入生32人が参加する、メカの実機を使ったトーナントが開催される……。

期待通りのおもしろさ。
巻末に作者の謝辞があり、そこに影響を受けた作品名が列挙されていた。
その中に、『はじめの一歩』『機動警察パトレーバーthe movie』『仁義なき戦い』『バトル・ロワイヤル』『野良犬』『天国と地獄』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』『高い城の男』があった。
『高い城の男』があるのは当然として、深作欣二や黒澤明の映画があるのはビックリ。
ストーリーテリングの巧さとダイナミズムは、そこから学んだに違いない。
まだ若い人なのに、凄い!
お薦めです。

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皇室はなぜ世界で尊敬されるのか [本]

3月20日(金)
西川恵『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)読了。

皇室はなぜ世界で尊敬されるのか (新潮新書)

皇室はなぜ世界で尊敬されるのか (新潮新書)

  • 作者: 西川 恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/05/16
  • メディア: 新書


毎日新聞客員論説委員の西川恵が、第二次世界大戦後から現在までの皇室外交を振り返る。

世界にある君主国は28。
つまり、28の王室がある。
その中で一番歴史が古いのが、日本の皇室。
そして、政治とは一切関わりを持たない。
その生活に貴族的華美さはなく、きわめて質素。
アラブ諸国の王族はそこにイスラム教の禁欲さとの共通点を感じ、親近感を抱く。
歴代の昭和天皇、平成天皇のお人柄の良さも幸いした。
今、皇室は、日本の外交の最大の武器になっている。
皇室の方々の常日頃からの多大なるご努力には頭が下がる。
日本で唯一、職業選択の自由を持たない一族なのに、その運命を粛々と受け入れている。
そして、国民の手本となるよう、まじめに生きている。
国民はそのことをよく知っている。
僕が子供の頃は、まだ第二次世界大戦の影響が残っていたため、表立って皇室を肯定することはできなかった。
戦争責任という言葉がついて回ったのだ。
しかし、今は違う。
よい時代になったと本当に思う。

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メカ・サムライ・エンパイア(上) [本]

3月19日(木)
ピーター・トライアス『メカ・サムライ・エンパイア(上)』(ハヤカワ文庫)読了。

メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF)

メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/04/18
  • メディア: 文庫


1994年冬、日本合衆国、グラナダヒルズ。
不二本誠は高校生で、幼い頃に軍人だった両親を亡くし、今は皇国機甲軍の巨大ロボット「メカ」のパイロットを目指している。
そのためには士官学校の入学試験に合格しなければならない。
ところがある日、親友で同じく孤児の菊池秀記から、不正入試をしないかと誘われる。
誠は迷った末に断る。
そして、入試当日、試験の真っ最中に、秀記の体に異変が起こった……。

第二次世界大戦で日本がアメリカに勝ち、アメリカ本土に「日本合衆国」を作ったという設定の小説『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の続編。
作者はサンフランシスコ在住の韓国系アメリカ人。
しかし、日本に関する知識は該博で、非の打ち所がない。
今作は前作の10年後という設定で、主人公も交替。
能力の足りない小太りのゲーマーが、努力の末に巨大ロボットのパイロットになるという、いかにもハリウッドで映画化してくれというストーリーだが、話の運びがうまく、まんまと乗せられてしまった。
下巻も楽しみ。

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