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神様には負けられない [本]

2月28日(日)
山本幸久『神様には負けられない』(新潮社)読了。

神様には負けられない

神様には負けられない

  • 作者: 幸久, 山本
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/12/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


二階堂さえ子は、26歳、独身。
インテリア・デザインの会社を辞めて、渋谷医療福祉専門学校の義肢装具科に入学し、現在は2年生。
授業で、いよいよ義肢を作り始める。
2年生は27人で、さえ子は4班の所属。
同じ班の戸樫博文、永井真純と協力して、ボランティアの義足ユーザー・穂高優太の右足の計測をする。
しかし、不器用なさえ子は、手の震えが止まらない……。

山本幸久氏の本はこれが30冊目。
お仕事小説の名手の山本氏が今回選んだのは、なんと義肢装具士。
しかも、それを目指す専門学校生。
僕にとっては未知の世界だったが、おそらく山本氏も同じだったのではないかと思う。
一体どれだけ取材したのだろう。
義肢装具士を目指す専門学校生たちのリアリティは完璧。
その上、魅力的なキャラクターとエピソードがふんだんに盛り込まれ、しっかり楽しめる小説になっていた。
恋も難病も離別も死も使わないで、これだけおもしろいものが書けてしまう山本氏は、やっぱり凄い。
お薦めです。

今年11回目のジョギング。
3,5キロ走って、1キロ歩いて、0,5キロ走りました。
3,5キロのタイムは、19分40秒。
前回より29秒短縮しました。
やったーっ!
夕食は久しぶりに家族4人で宅配ピザを食べました。
我が家はいつもピザーラです。
ただし、サラダやフライドポテトなどの副食物は妻が作ってくれました。
入浴後、体重を測りましたが、ジョギングしたせいで、標準体重はオーバーしていませんでした。
よかったよかった。

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在りし日の歌 [映画]

2月28日(日)
ワン・シャオシュアイ監督『在りし日の歌』(2019年)WOWOWで鑑賞。

在りし日の歌 [DVD]

在りし日の歌 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2020/10/30
  • メディア: DVD


1980年代、中国の地方都市。
国有企業の工場に勤めるリウ・ヤオジュン(ワン・ジンチュン)とワン・リーユン(ヨン・メイ)夫婦は、一人息子のシン(シンシン)と暮らしていた。
同じ工場の同僚であるシェン・インミン(シュー・チョン)とリー・ハイイエン(アイ・リーヤー)夫婦には、シンと同じ日に生まれた息子ハオ(ハオハオ)がいて、2家族は1家族の契りを結び、親密に付き合っていた。
ある日、ハオハオは川にシンシンを誘い、泳げないシンシンは溺死してしまう。
リーユンは、「一人っ子政策」に反する第二子を身ごもった時、ハイイエンに無理矢理中絶手術をさせられ、子供を産めない身体になっていた。
ヤオジュンとリーユンは、福建省に引っ越し、孤児の男の子を養子にして、「シンシン」と名付ける……。

原題は『地久天長』。
日本では「蛍の光」として知られるスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」の中国語タイトルで、「友情はとこしえに」という意味。
『在りし日の歌』と聞くと、中原中也の詩集を思い出すが、それとは全く関係がない。
一人息子を失った夫婦の30年を越える歴史を描く。
ベルリン国際映画祭で、最優秀男優賞、最優秀女優賞を受賞。
185分と長尺だが、見て損はない、すばらしい映画。
ただし、時系列をバラバラにしているため、最初の1時間は人間関係がよくわからない。
次の1時間で大体わかってきて、話もおもしろく感じるようになる。
そして、最後の1時間は涙、涙の大感動。
主演の2人、ワン・ジンチュンとヨン・メイが、30年の時間経過がちゃんと信じられるように演じていて、舌を巻いた。
一人でも多くの人に見てほしい傑作。
お薦めです。

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清明/隠蔽捜査8 [本]

2月27日(土)
今野敏『清明/隠蔽捜査8』(新潮社)読了。

清明―隠蔽捜査8―

清明―隠蔽捜査8―

  • 作者: 今野敏
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/01/20
  • メディア: Kindle版


竜崎伸也は警視庁大森署署長から、神奈川県警本部刑事部長に転任することになる。
本部長の佐藤実警視監は、「竜崎が来て、県警全体が変わることを期待する」と言った。
すぐに沢谷戸自然公園で他殺死体が発見される。
東京都町田市の公園だが、神奈川県横浜市と川崎市に盲腸のように突き出した場所にあった。
町田署に捜査本部が立てられ、警視庁から刑事部長の伊丹俊太郎が駆けつける。
竜崎は、伊丹から捜査協力を求められ、神奈川県警から捜査員を派遣。
自らも捜査本部に駆けつけた……。

「隠蔽捜査」シリーズの10冊目。
「8」と付いているが、短編集の「3,5」と「5,5」があるので、10冊目ということになる。
このシリーズは警察小説の傑作で、「1」は吉川英治新人賞、「2」は山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞している。
10冊目になっても、相変わらずのおもしろさ。
とにかく、主人公の竜崎と、幼馴染みにしてライバルの伊丹のキャラクターが本当にすばらしい。
今回は、竜崎の妻の冴子の出番が多かった。
夫婦の会話が漫才のようで、おかしかった。
お薦めです。

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危険な情事 [映画]

2月27日(土)
エイドリアン・ライン監督『危険な情事』(1987年)WOWOWで鑑賞。

危険な情事 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

危険な情事 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: Blu-ray


ニューヨーク。
ダン・ギャラガー(マイケル・ダグラス)は大手出版社の顧問弁護士で、妻のベス(アン・アーチャー)、娘のエレン (エレン・ハミルトン・ラッツェン)と3人暮らし。
ある夜、ダンはベスと出版社のパーティに出席し、そこで新入りの編集者アレックス・フォレスト(グレン・クローズ)と知り合う。
土曜日、ベスがエレンを連れて実家に行く。
ダンは出版社へ仕事に行き、偶然、アレックスと顔を合わせる。
2人はアレックスのアパートで週末を過ごす。
日曜の夜、ダンが帰宅しようとすると、アレックスは「行かないで」と止めた。
ダンは遊びのつもりだったので、無視すると、アレックスは自分の両手の手首を切った……。

公開当時、大ヒットした映画だが、僕は見逃していた。
「ストーカー」という言葉がまだ一般化していない頃に作られた、ストーカー映画。
何よりも、グレン・クローズが恐ろしい。
1947年生まれで、撮影当時は40歳。
1982年の『ガープの世界』でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、注目されたが、その時から迫力のある演技をする人だった。
ブロードウェイやテレビドラマでも活躍し、エミー賞とトニー賞を3回ずつ受賞。
離婚歴3回で、メリル・ストリープと仲がいいらしい。
この2人こそ、今のハリウッドを代表する演技派女優ということになるだろう。
お薦めです。


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フカサクを観よ [本]

2月26日(金)
一坂太郎『フカサクを観よ』(青志社)読了。

フカサクを観よ

フカサクを観よ

  • 作者: 一坂 太郎
  • 出版社/メーカー: 青志社
  • 発売日: 2017/12/12
  • メディア: 単行本


日本映画史研究家の一坂太郎による、深作欣二監督のフィルモグラフィー。

深作欣二氏は1930年、茨城県緑岡村生まれ。
日本大学芸術学部を卒業し、1953年、東映に入社。
1961年、千葉真一の初主演作『風来坊探偵 赤い谷の惨劇』で監督デビュー。
1966年、『カミカゼ野郎 真昼の決斗』を監督。この映画をもとにしたテレビドラマ『キイハンター』が1968年から放送開始。
1970年、『トラ・トラ・トラ!』で黒沢明監督が降板したため、桝田利雄と共に共同監督をつとめる。
1973年、『仁義なき戦い』が大ヒット。
以降、『柳生一族の陰謀』『復活の日』『魔界転生』『蒲田行進曲』『里見八犬伝』『忠臣蔵外伝 四谷怪談』『バトル・ロワイアル』などの大作を次々と監督。
テレビドラマの『必殺』シリーズや、『傷だらけの天使』も、企画から立ち上げた。
2003年、前立腺ガンで死去。享年72歳。
この人の映画はとにかくテンションが高い。
ご本人も、非常に元気な人だったらしい。
一坂太郎氏は公平に書いているが、やはり『仁義なき戦い』シリーズがベストだろう。
日本映画に果たした功績は計り知れない。
クエンティン・タランティーノやジョン・ウーも、深作監督の大ファンらしい。
つまり、世界的な監督なのだ。

1月末に第一稿が完成した作品の第二稿が、つい先程完成しました。
やったー!
これで、成井硝子店・第一回公演振替公演『ゲキジョ!』に集中できる。
稽古は連日8時間。
着々と進んでいるようです。
本番初日は、3月17日(水)。
頑張ります!

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イリュージョニスト [映画]

2月26日(金)
シルヴァン・ショメ監督『イリュージョニスト』(2010年)GYAOで鑑賞。

イリュージョニスト [Blu-ray]

イリュージョニスト [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: スタジオジブリ
  • 発売日: 2011/10/08
  • メディア: Blu-ray


1950年代のヨーロッパ。
タチシェフは、カード・ステッキ・シルクハットなどを使う、昔ながらの奇術師。
劇場から酒場まで、様々な場所で奇術をしながら、生活している。
ある日、スコットランドの離島の小さな酒場へ行く。
そこで働いていた少女アリスは、タチシェフを本物の魔法使いだと思い込む。
そして、島を離れるタチシェフに、こっそりついてきてしまった。
タチシェフはアリスを追い払わず、エディンバラに到着すると、小さなホテルで同居し始める……。

80分のアニメ映画。
フランスのコメディアンで映画監督のジャック・タチが遺した脚本を、シルヴァン・ショメ監督が映画化。
ジャック・タチの本名はジャック・タチシェフで、つまり、主人公のタチシェフはジャック・タチがモデル。
ジャック・タチは『ぼくの伯父さん』『ぼくの伯父さんの休暇』『プレイタイム』などで、惚けた紳士「コロ氏」を演じたが、この映画のタチシェフはこれにとてもよく似ている。
絵が美しく、セリフはほとんどない。
この点も、ジャック・タチの映画に近い。
地味だがとても良い映画。
お薦めです。

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シネアスト宮崎駿 [本]

2月25日(木)
ステファヌ・ルルー『シネアスト宮崎駿』(みすず書房)読了。

シネアスト宮崎駿――奇異なもののポエジー

シネアスト宮崎駿――奇異なもののポエジー

  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2020/10/20
  • メディア: 単行本


フランス・レンヌ市のリセ・ブレスキー「映画オーディオヴィジュアル」クラス教授、レンヌ第二大学講師、アニメーション映画研究者のステファヌ・ルルーが、レンヌ第二大学に提出した博士論文『アニメの舞台美術と映画術、東映動画からジブリまで(1968~88年)、高畑勲と宮崎駿によるリアリズム派』の第二部。
ちなみに第一部は、高畑勲について論じている。

「シネアスト」とはフランス語で、映画を実践する芸術家のこと。
宮崎駿氏の映画は、テーマについて論じられることが多いが、ステファヌ・ルルー氏は、映画演出の技法について詳しく論じている。
宮崎氏は、高畑勲氏のもとでリアリズムを徹底的に学び、それを押さえた上で、飛躍する。
『ルパン三世/カリオストロの城』で、ルパンはクラリスがいる北の塔へ大ジャンプするが、あれは明らかに現実を逸脱している。
が、それ以外は逸脱しない。
だからと言って、あの大ジャンプが嘘にはならない。
むしろ楽しいエピソードとなる。
『天空の城ラピュタ』で、パズーとシータがラピュタの上で目覚め、到着を喜び、抱き合って、回って、下に落ちそうになる。
その時、二人の傾いた角度は、完全に落ちるところまで行っている。
が、二人は落ちない。
が、それは嘘にはならない。
観客は一瞬ドキッとし、次にホッとし、次に微笑む。
これが宮崎氏の演出なのだ。
『長靴をはいた猫』から『ハウルの動く城』まで、ルルー氏は詳細に演出を分析する。
宮崎ファンならほとんどが既に気付いていたことだが、こうして論理的に分析され、解説されると、やっぱりタメになる。
お薦めです。

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恐竜が教えてくれたこと [映画]

2月25日(木)
ステフェン・ワウテルロウト監督『恐竜が教えてくれたこと』(2019年)WOWOWで鑑賞。

恐竜が教えてくれたこと [DVD]

恐竜が教えてくれたこと [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: DVD


オランダ北部の小島、夏。
11歳のサム(ソンニ・ファンウッテレン)が、父・母・兄とバカンスにやってくる。
サムは、父・母・兄が年老いて亡くなると、自分一人になることに気付き、一人で孤独に耐える訓練を始める。
1日のうち、数時間は一人で過ごすことにする。
ある日、街でテス(ヨセフィーン・アレンセン)という少女と知り合いになる。
テスは医師の母と二人暮らしで、母に隠れて、ある仕事をしていた。
サムはテスの仕事を手伝うことにするが……。

原題は『Mijn bijzonder rare week met Tess』。
オランダの児童文学者アンナ・ウォルツの『ぼくとテスの秘密の七日間』を映画化。
この原作は、(日本の)第61回青少年読書感想文全国コンクールの小学校高学年向け課題図書に指定されたらしい。
息子に薦められて見たのだが、非常に瑞々しい映画で、楽しめた。
オランダ北部の小島の景色が圧倒的に美しい。
主役の2人も、適度に可愛くて、いい。
お薦めです。

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介護のうしろから「がん」が来た! [本]

2月24日(水)
篠田節子『介護のうしろから「がん」が来た!』(集英社)読了。

介護のうしろから「がん」が来た! (集英社ノンフィクション)

介護のうしろから「がん」が来た! (集英社ノンフィクション)

  • 作者: 篠田節子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: Kindle版


小説家・篠田節子による、乳ガンの闘病記。

篠田節子氏は1955年、東京生まれ。
この本の出版は2019年で、その1年前に乳ガンが発見され、手術を受けた。
ステージ1と2の間で、全摘出し、さらに乳房再建を行なった。
その間も執筆は継続していて、『鏡の背面』と『肖像彫刻家』を書いている。
後者はコメディなのに、よく書けたものだと思う。
術後の経過は良好のようで、ホッとした。

今日は今年10回目のジョギング。
3,5キロ走って、1キロ歩いて、0,5キロ軽く走りました。
3,5キロのタイムは、20分09秒。
前回より24秒遅くなってしまいました。
うーむ、残念。
今日から、1月末に第一稿を書き上げた作品の、第二稿に取りかかりました。
前から少しずつやっていたのですが、俳優教室卒業公演『アローン・アゲイン』が終了したので、今日から本格的に。
目標は今月いっぱい。
ということは、今週いっぱい!
頑張ります!

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レインメーカー [映画]

2月24日(水)
フランシス・フォード・コッポラ監督『レインメーカー』(1997年)WOWOWで鑑賞。

レインメーカー [Blu-ray]

レインメーカー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2017/09/21
  • メディア: Blu-ray


ルディ・ベイラー(マット・デイモン)は法科の大学生で、悪徳弁護士のブルーザー・ストーン(ミッキー・ローク)の事務所で働き始める。
相棒のデック(ダニー・デヴィート)は、病院に忍び込み、交通事故で動けない患者から無理矢理委任状を取るというやり方をルディに教える。
ルディの最初の仕事は、ドット・ブラック(メアリー・ケイ・プレイス)の弁護。
ドットの息子ダニー・レイ(ジョニー・ウィットワース)は白血病で死に瀕していたが、保険会社のグレート・ベネフィット社は支払いを拒否していた。
ルディは司法試験に合格し、デックと事務所を設立。
グレート・ベネフィット社の顧問弁護士ドラモンド(ジョン・ヴォイト)との闘いを開始する。
一方、ルディは夫のDVで大怪我をしたケリー・ライカー(クレア・デーンズ)と出会い、一目惚れしてしまう……。

ジョン・グリシャムの小説『原告側弁護人』の映画化。
タイトルの「レインメーカー」は、大金をまるで雨が降るように稼ぐ弁護士を意味している。
おそらく長いに違いない原作を、コッポラ監督は猛スピードで描いていく。
ルディはケリーを守るために、ケリーのDV夫を殺してしまうが、ケリーが身代わりになり、正当防衛が認められて釈放される。
普通ならそれだけで1本の映画になりそうなエピソードを、ほんの5、6分で描き、先に進んでしまったのには唖然とした。
が、法廷ドラマとしてはなかなかの出来で、特に裁判長役のダニー・グローヴァーが知的で優しくて、すばらしかった。
マット・デイモンも若くて細い。
ジョン・ヴォイトは百点満点の悪役ぶり。
お薦めです。

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