SSブログ

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい [本]

8月31日(火)
大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(河出書房新社)読了。

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

  • 作者: 大前粟生
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: 単行本


七森は19歳で、大学2年生。
身長156センチ、体重45キロで、よく女子に間違えられる。
大学に入学してすぐに友達になった女子・麦戸ちゃんと、ぬいぐるみサークルに入った。
ぬいぐるみを集めたり作ったりするサークルだが、部室によく来る15人は、実はぬいぐるみとしゃべる習慣があった。
ただし、七森にはなかったが。
秋、麦戸が大学に来なくなってしまう。
七森は同じサークルの白城と付き合い始める。
しかし、女子と付き合うのは初めてで、七森はどう振る舞えばいいのか、わからない……。

短編4つを収録した短編集で、上記は表題作の『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』。
いわゆる「繊細さん」を描いた小説で、彼らの心理がよくわかり、非常にタメになった。
大前粟生(おおまえ・あお)は1992年、兵庫県生まれ、京都市在住。
2016年、短編小説「彼女をバスタブにいれて燃やす」が『GRANTA JAPAN with 早稲田文学』公募プロジェクトで最優秀作に選出されデビュー。
初めて読んだが、なかなか力のある作家だと思った。

今日はキャラメルボックス俳優教室実践科中間公演『ハックルベリーにさよならを』の集中稽古の2日目。
本番の会場の新宿スターフィールドさんのご厚意で、スターフィールドさんで稽古させてもらっています。
13時から台本稽古をして、17時より第二回通し稽古(Yチーム)。
昼間、前半を細かく稽古したので、前半はとても良くなりました。
が、後半はまだまだ荒い。
ユーモアは前半も後半も足りない。
生徒たちの奮起に期待します。

nice!(2) 
共通テーマ:演劇

エージェント:ライアン [映画]

8月31日(火)
ケネス・ブラナー監督『エージェント:ライアン』(2014年)NETFLIXで鑑賞。

エージェント:ライアン [Blu-ray]

エージェント:ライアン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray


ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに在学していたジャック・ライアン(クリス・パイン)は、アメリカ同時多発テロ事件に衝撃を受け、アメリカ海兵隊に入隊し、アフガニスタンで戦う。
が、ヘリコプターが撃墜されて脊椎を損傷。
療養中に、医学生キャシー・ミュラー(キーラ・ナイトレイ)と親しくなる。
また、CIAのトマス・ハーパー(ケビン・コスナー)が現れ、CIAの情報アナリストにスカウトされる。
10年後、ライアンはウォール街の会社で働きながら、密かにCIAのためにテロリストの資金の流れを追っていた。
ロシアが国連の投票で敗北した際、ライアンは不自然なドル相場の動きに気付く。
ロシアの億万長者ヴィクトル・チェレヴィン(ケネス・ブラナー)が運営する組織の口座にアクセスできないことを知る。
ライアンは監査のためにモスクワに行くが、ホテルに着いた途端、ボディガードに拳銃で打たれた……。

原題は『Jack Ryan: Shadow Recruit』。
ジャック・ライアンは、小説家トム・クランシーが創造したキャラクターで、数々の小説の主人公をつとめている。
映画も、『レッド・オクトーバーを追え!』『パトリオット・ゲーム』『今そこにある危機』など、4本作られている。
本作は「ジャック・ライアン」シリーズをリブートした作品で、特定の小説を原作としていないオリジナルストーリー。
ライアン役は、アレック・ボールドウィン、ハリソン・フォード、ベン・アフレックに続く4代目、クリス・パイン。
『スター・トレック/イントゥー・ダークネス』の破天荒なカークの印象が強かったが、知的なライアンが意外と似合っていた。
キーラ・レイトレイも美しかった。

nice!(1) 
共通テーマ:演劇

ベケット [映画]

8月30日(月)
フェルディナンド・シト・フィロマリノ監督『ベケット』(2021年)NETFLIXで鑑賞。

ギリシャ。
アメリカ人男性ベケット(ジョン・デビッド・ワシントン)と妻のエイプリル(アリシア・ビカンダー)が旅行にやってくる。
深夜、車で移動中、ベケットが居眠り運転をしてしまい、車が崖下に転落。
崖下の民家に逆さの状態で突っ込む。
そこには、生年と中年女性がいたが、救助してくれなかった。
病院で目覚めたベケットは、エイプリルの死を知る。
警官に話によれば、車が突っ込んだのは廃墟で、人で住んでいないとのこと。
不審に思ったベケットは廃墟に向かう。
エイプリルが倒れていた場所に佇んでいると、警官が現れ、いきなりベケットを拳銃で撃った……。

2021年8月13日より、Netflixで配信されている映画。
「TENET テネット」のジョン・デビッド・ワシントンが主演を務め、旅先で政治的陰謀に巻き込まれ命を狙われた男の逃避行を描く。
ジョン・デビッド・ワシントンは、交通事故で左手を負傷したところから始まり、左の上腕を銃で撃たれたり、脇腹をナイフで刺されたり、話が進むに連れてボロボロになっていく。
それでも闘い続ける姿に打たれ、応援してしまった。
音楽は坂本龍一が担当。
お薦めです。

TENET テネット [Blu-ray]

TENET テネット [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/08/18
  • メディア: Blu-ray



nice!(3) 
共通テーマ:演劇

ある少年の告白 [映画]

8月29日(日)
ジョエル・エガートン監督『ある少年の告白』(2018年)NETFLIXで鑑賞。

ある少年の告白 [Blu-ray]

ある少年の告白 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2020/05/22
  • メディア: Blu-ray


ジャレッド・エモンズ(ルーカス・ヘッジズ)は19歳の大学生。
牧師の父マーシャル(ラッセル・クロウ)と母ナンシー(ニコール・キッドマン)に厳しく育てられてきた。
が、自分がゲイであることに気付き、両親に告白する。
父はジャレッドを、教会が支持する同性愛者の転換プログラムに参加させる。
そこはヴィクター・サイクス(ジョエル・エドガートン)というセラピストが支配する異常な世界だった……。

実話に基づいた映画。
原作はガラルド・コンリーの回顧録『Boy Erased: A Memoir』。
映画の原題も「Boy Erased」。
アメリカにはゲイの矯正施設が今もたくさんあるらしい。
都会ではゲイカップルの権利が認められる一方で、地方では相変わらず差別が続いているのだ。
この映画でも、息子がゲイだと知った牧師の父は、その後、触れることはもちろん、目を合わせることもしなくなる。
キリスト教の教えに反するというだけでなく、強烈な生理的嫌悪を感じてしまっているようだった。
汚くて気持ち悪いのだ。
LGBT映画が作られ続けるのは、そのような偏見と戦うためなのだ。
他にマデリン・クライン、グザヴィエ・ドランらが出演。

nice!(3) 
共通テーマ:演劇

クローゼット [映画]

8月28日(土)
キム・グァンビン監督『クローゼット』(2020年)WOWOWで鑑賞。

クローゼット Blu-ray&DVDコンボ

クローゼット Blu-ray&DVDコンボ

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2021/04/28
  • メディア: Blu-ray


建築士のサンウォン(ハ・ジョンウ)は、妻を事故で亡くす。
小学生の娘のイナ(ホ・ユル)は心を閉じて、口を利かなくなった。
サンウォンは郊外の大きな家を買い、イナと引っ越す。
イナの部屋には、巨大なクローゼットがあった。
イナはすぐに元気を取り戻し、「新しい友達が出来た」と言った。
が、数日後、姿を消してしまう。
サンウョンは必死で探すが、見つからず、世間はサンウォンの仕業ではないかは噂し始める。
ある日、家にギョンフン(キム・ナムギル)という男がやってきて、すべての秘密はクローゼットに隠されていると言う。
彼は退魔師だった……。

「神と共に」シリーズのハ・ジョンウと「殺人者の記憶法」のキム・ナムギルが初共演したホラー映画。
98分と、韓国映画では珍しく短い。
悪霊が作った異界の設定が勝手すぎたり、悪霊を倒す方法が唐突すぎたりと、いろいろ欠点が多い。
が、ハ・ジョンウの演技がリアルなため、映画の現実感は最後までキープできた。
ギョンフン「娘は49日の間に取り戻さないとまずい」
サンウォン「なぜ?」
ギョンフン「『神と共に』を見てないかの?」
サンウォン「見てない」
この部分は笑った。

nice!(3) 
共通テーマ:演劇

そこに工場があるかぎり [本]

8月27日(金)
小川洋子『そこに工場があるかぎり』(集英社)読了。

そこに工場があるかぎり

そこに工場があるかぎり

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/01/26
  • メディア: 単行本


小説家・小川洋子が、気になる工場6つを探訪して書いたエッセイ集。

小川洋子氏の本はこれが52冊目。
取り上げれた工場は、
〇株式会社エストロラボ(大阪府東大阪市にある細穴放電加工の工場)
〇グリンピア神戸(兵庫県神戸市にある江崎グリコの菓子工場見学施設)
〇桑野造船株式会社(滋賀県大津市にあるボート製造工場)
〇五十畑工業株式会社(東京都墨田区にある大型乳母車の製造工場)
〇山口硝子製作所(京都府京都市にあるガラス管の火炎加工とスリ研磨加工に特化した工場)
〇北星鉛筆株式会社(東京都葛飾区にある鉛筆製造会社)
保育園児が5、6人ほど乗れる大型乳母車は、五十畑工業のオリジナル商品で、「サンポカー」という名前らしい。
全編、小川氏の工場愛が溢れんばかり。
その描写は、小川氏の小説のごとく、静謐で丹念で詩的。
小川氏にしか書けない、素敵な本。
お薦めです。

nice!(0) 
共通テーマ:演劇

82年生まれ、キム・ジヨン [映画]

8月27日(金)
キム・ドヨン監督『82年生まれ、キム・ジヨン』(2019年)WOWOWで鑑賞。

82年生まれ、キム・ジヨン [Blu-ray]

82年生まれ、キム・ジヨン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2021/04/02
  • メディア: Blu-ray


キム・ジヨン(チョン・ユミ)は、夫デヒョン(コン・ユ)、幼い娘と暮らす専業主婦。
正月、家族3人で夫の実家に出かける。
義母の命令で食事の支度を手伝わされる。
クタクタに疲れたジヨンは、義母に対して、まるで実母が乗り移ったかのように、「正月くらいジヨンを私の元に帰してくださいよ」と言う。
デヒョンは慌ててジヨンを連れて、実家を出る。
ジヨンは自分が言ったことを覚えてなかった。
デヒョンは医者へ行くことを薦めたが、ジヨンは笑って取り合わなかった……。

韓国で130万部を突破したベストセラー小説の映画化。
僕も既読。
原作は、ジヨンを診察した精神科医が、なぜ心の病になったかを探るため、ジヨンの過去を丹念に辿っていく。
その過程で、現代の韓国の女性が受けている様々な抑圧を描いていく。
つまり、明らかにフェミニズム小説なのだが、映画はこれを夫婦の愛の物語に変えてしまった。
が、これは正解で、心の壊れかけた妻を必死で救おうとする夫の姿が胸を打った。
主演の二人、チョン・ユミとコン・ユがすばらしい。
韓国映画特有のクドさ、やりすぎ感がなく、すっきりとした映画だった。
お薦めです。

82年生まれ、キム・ジヨン

82年生まれ、キム・ジヨン

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/02/13
  • メディア: Kindle版



nice!(2) 
共通テーマ:演劇

心臓によい運動、悪い運動 [本]

8月26日(木)
古川哲史『心臓によい運動、悪い運動』(新潮新書)読了。

心臓によい運動、悪い運動 (新潮新書)

心臓によい運動、悪い運動 (新潮新書)

  • 作者: 古川哲史
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: 新書


東京医科歯科大学難治疾患研究所・生体情報薬理学分野教授の古川哲史が、筋トレ等のエクササイズの、心臓への影響を解説する。

医学の最新の知見をわかりやすく解説してくれて、非常にタメになった。
エクササイズをするメリットは以下の4つ。
①脂肪細動の脂肪を筋肉に動員。
②白色脂肪のベージュ化。
③筋肉量を増やすことで基礎代謝量を増加。
④一過的に食欲を抑制。
ただし、やりすぎは禁物で、筋トレは3日に1度が最も効果的。
スポーツ選手は毎日やっているが、1日目は手足、2日目は上半身、3日目は下半身というふうに、3日間のサイクルでやっているそうだ。
自分の筋トレに応用しようと思う。
お薦めです。

今日は今年38回目のジョギング。
3,5キロ走って、0,8キロ歩いて、0,5キロ走りました。
3,5キロのタイムは、20分28秒。
前回より33秒、短くなりました。
しかし、途中で40秒の信号待ち。
(この40秒はタイムから引いてあります)
おかげで呼吸が落ち着いたけど、さすがにこれはちょっと長すぎ。
かなりイライラしてしまいました。
帰宅して、シャワーを浴びて、体重を測ったら、59,6キログラム。
約1年ぶりに、60キログラムを下回りました。
汗が大量に流れた出たからだと思いますが、標準体重を1,4キロも下回ったので、とてもうれしかった。
でも、お昼ご飯はいつもの量にしました。

nice!(2) 
共通テーマ:演劇

奇跡の教室 [映画]

8月26日(木)
マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督『奇跡の教室』(2014年)GYAOで鑑賞。

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ[DVD]

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ[DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2017/02/08
  • メディア: DVD


フランス、パリ。
貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校。
成績が悪い生徒が集まるクラスの担任は、厳格な歴史教師のアンヌ・ゲゲン(アリアンヌ・アスカリッド)。
生徒たちはゲゲンの言うことは聞いたが、他の教師たちには反抗し、授業もなかなか進まない。
ゲゲンは生徒たちに、全国歴史コンクールに参加しようと提案する。
放課後、歴史的事件について調べ、コンクールで発表するのだ。
今年のテーマは、アウシュヴィッツ。
生徒たちは「頭の悪い自分たちには無理」と言ったが、ゲゲンに説得され、渋々話し合いを始める……。

事実に基づいた映画。
生徒の「マリック」役で出演しているアハメッド・ドゥラメが、実際に経験した1年を脚本化。
それを読んだマリー=カスティーユ・マンシオン=シャールがドゥラメと協力してイチから書き直した。
「ゲゲン」役のモデルとなったアンヌ・アングレス先生にも直接取材した。
荒れたクラスが、情熱的な教師の力で一つになっていく。
あまりにもありふれた話だが、この映画は中身も撮り方もきわめてリアルで、まるでドキュメンタリーを見ているような気になってくる。
シャール監督と、「ゲゲン」役のアリアンヌ・アスカリッドが本当にすばらしい。
『奇跡の教室』とは随分大げさなタイトルだが、そこには確かに奇跡があった。
お薦めです。

nice!(3) 
共通テーマ:演劇

星が吸う水 [本]

8月25日(水)
村田沙耶香『星が吸う水』(講談社)読了。

星が吸う水 (講談社文庫)

星が吸う水 (講談社文庫)

  • 作者: 村田沙耶香
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: Kindle版


村田沙耶香の短編集。
『星が吸う水』と『ガマズミ航海』を収録。

村田沙耶香氏の本はこれが8冊目。
収録された2作とも、若い女性の「性」がテーマ。
どちらも狂気とまでは行かないが、やや常軌を逸した「性」が描かれる。
男で凡人の僕には全くついて行けない。
また、2作とも作者の作為が透けて見え、ちょっと残念だった。
昨日の『ギンイロノウタ』の次に書かれた作品で、『コンビニ人間』の6年も前なので、まだまだ成長途中ということなのだろう。

今日はキャラメルボックス俳優教室実践科中間公演『ハックルベリーにさよならを』の稽古。
6場と7場の復習をしました。
稽古時間に余裕があるので、ダメ出しの時、少々長い話をしました。
今日は、「役者が演技している時に感じるべき『楽しさ』について」。
(詳しくは「演劇集団キャラメルボックス俳優教室公式ブログ」をご覧ください)
用意してあった話ではありません。
日頃モヤモヤ考えていたことに、その場で考えたことを加え、なるべくわかりやすくまとめて、話をしました。
こうすることで、僕は自分の演劇論・演出論・演技論を深めていきます。
自分が演出家として成長できたのは、常に若い役者たちと一緒に芝居を作ってきたからです。
彼らのお蔭なのです。

nice!(2) 
共通テーマ:演劇