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共感障害 [本]

12月23日(水)
黒川伊保子『共感障害』(新潮社)読了。

共感障害 :「話が通じない」の正体

共感障害 :「話が通じない」の正体

  • 作者: 伊保子, 黒川
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


(株)感性リサーチ代表取締役で、脳科学者の黒川伊保子が、自身の発見した「共感障害」について解説する。

黒川伊保子氏の本はこれが8冊目。
会社で会議が終わって、先輩社員がコーヒーカップを片づけているのに、ボーと見ている後輩社員。
「なぜ手伝わないのだ」と叱ると、「言われてない」と反論する。
周りがしていることが、自分の所作に連動しない。
「風景」から、「先輩の所作」を切り出せないため、「先輩の所作」から暗黙のうちに学ぶことができない。
これが、黒川氏が「共感障害」と名付けた、脳のトラブル。
近年、急増しているらしい。
原因は、ADHD、自閉症スペクラムなど、様々。
頭から叱るのでなく、そういう人なのだという認識と、穏やかな対応が必要。
とてもタメになる本だった。

0930より、キャラメルボックス俳優教室の授業。
卒業公演『アローン・アゲイン』の5・6場の半立ち稽古をしました。
その後は、サンシャイン劇場へ。
「成井豊と梅棒のマリアージュ」梅棒ステージの2日目、2ステージ目。
妻と息子が見に来てくれました。
2人とも「すばらしい!」と絶賛していました。
息子は、できることならば、全国を回って高校生に見せてほしい、このような表現があることを伝えてほしい、と言っていました。
全く同感です。

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男はつらいよ/寅次郎紅の花 [映画]

12月23日(水)
山田洋次監督『男はつらいよ/寅次郎紅の花』(1995年)NETFLIXで鑑賞。

男はつらいよ・寅次郎紅の花 [DVD]

男はつらいよ・寅次郎紅の花 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2017/08/30
  • メディア: DVD


「くるまや」の面々が最近起きた阪神・淡路大震災のドキュメンタリーをテレビで見ていると、寅次郎(渥美清)がボランティアとして活躍する姿が映った。
視察に来た村山総理を「村ちゃん」などと呼び、避難所を案内していた。
ある日、及川泉(後藤久美子)が満男(吉岡秀隆)を訪ねてくる。
見合いして結婚することになったと言う泉に、激しいショックを受けるが、「やめろ」と言えない。
しかし、結婚式の日、岡山県津山市に乗り込んだ満男は、花嫁姿の泉を乗せた車を進路妨害し、「結婚するな!」と喚く。
おかげで、式は中止。
警察で厳重注意を受けた満男は、衝動的に旅に出る。
鹿児島県奄美群島加計呂麻島に辿り着き、小舟に乗る。
その舟には、歌手を引退したリリー(浅丘ルリ子)も乗っていた……。

シリーズ第48作にして、最終作。
撮影当時、渥美清はガンが悪化し、医師は止めたが、強引に出演。
しかし、翌年の1996年8月、亡くなってしまう。
この映画でも、明らかに体調が悪く、声は掠れ気味だし、「くるまや」でみんなで話している場面でも途中でゴロっと横になってしまう。
浅丘ルリ子は渥美の体調に気付き、山田監督に「寅次郎とリリーを結婚させてほしい」と訴えたらしい。
しかし、山田監督はその時点で第50作までの構想があったので、断った。
49作のマドンナは田中裕子、50作のマドンナは黒柳徹子の予定だった。
49作で満男と泉が結婚、50作で寅次郎はテキ屋を引退して小学校の用務員になり子供たちに囲まれて老いていくはずだった。
それを知ると、僕はこの48作で終わって良かったと思う。
ラスト、寅次郎はリリーとともに、加計呂麻島へ帰っていく。
最高のラストではないか。
田中邦衛が加計呂麻島の小舟の船長役で久しぶりに出演し、吉岡との共演を果たしている。
また、笹野高史が泉の結婚相手の父親役で出演。
レギュラー以外の最多出演者はやはりこの人ではないか?
リリーがマドンナをつとめた第11作『寅次郎忘れな草』、第15作『寅次郎相合い傘』、第25作『寅次郎ハイビスカスの花』、そして第48作『寅次郎紅の花』は4作とも名作。
お薦めです。
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ミストレス [本]

12月22日(火)
篠田節子『ミストレス』(光文社)読了。

ミストレス (光文社文庫)

ミストレス (光文社文庫)

  • 作者: 節子, 篠田
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/05/12
  • メディア: 文庫


短編5つを収録した短編集。
うち4つは、2009年から2013年にかけて、雑誌「小説宝石」の春の官能小説特集に掲載されたもの。

官能小説というより、性愛描写のある普通の小説という印象。
どれも質が高く、楽しめた。
僕は表題作の『ミストレス』が一番気に入った。

今日は「成井豊と梅棒のマリアージュ」梅棒ステージの本番初日。
1400より、ゲネプロ。
1900より、本番。
ゲネプロもおもしろかったのですが、本番はお客さんの笑い声と手拍子でさらに熱い芝居になり、大変盛り上がりました。
僕の脚本演出の『CROSSROADS』も、多少のミスはあったけど、それを吹き飛ばすくらいおもしろかった!
僕はお客さんとして梅棒の芝居を過去に2本見ていますが、それに全然負けてない!
短編集には短編集の良さがある!
『彼女の空に雪が降るまで』と共に、一人でも多くの人に見てほしいです。
この公演は今週日曜までです。
ぜひとも池袋サンシャイン劇場へゴー!ゴー!

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結婚不要社会 [本]

12月22日(火)
山田昌弘『結婚不要社会』(朝日新書)読了。

結婚不要社会 (朝日新書)

結婚不要社会 (朝日新書)

  • 作者: 山田 昌弘
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/05/14
  • メディア: 新書


中央大学文学部教授で、『パラサイト・シングル』『婚活』などの言葉を生み出した社会学者・山田昌弘が、日本の結婚の過去・現在・未来を語る。

近代は、「結婚不可欠社会」としてスタートした。
結婚しないと、心理的・社会的にとても生きにくくなる。
現在、アメリカや西ヨーロッパは、「結婚不要社会」となっている。
事実婚が増え、結婚せずとも子供を生み育てられる制度が整っている。
一方、日本は1990年代半ばから、「結婚困難社会」になってきている。
未婚率は増加しているが、若者は結婚したくないわけではない。
経済的な理由で、できなくなってきている。
これが少子化の原因の正体。
「結婚不要社会」になれば、アメリカや西ヨーロッパのように、少子化を克服できる。
と、山田氏は語る。
昭和の人間なので、若干の抵抗は感じるが、貴重な提言だと思った。

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三人関係 [本]

12月21日(月)
多和田葉子『三人関係』(講談社)読了。

かかとを失くして 三人関係 文字移植 (講談社文芸文庫)

かかとを失くして 三人関係 文字移植 (講談社文芸文庫)

  • 作者: 多和田 葉子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/11
  • メディア: 文庫


九時十七分着の夜行列車で中央駅のホームへ降りた、遠い国から来た私。
なぜか周囲からかかとを笑われながら、書類結婚をした男の住む十七番地のアパートで、扉に隠れて姿を見せない夫……。

多和田葉子氏の本はこれが5冊目。
僕が読んだのは、1992年の初版の単行本で、『かかとを失くして』『三人関係』の2編を収録。
上記のあらすじは『かかとを失くして』。
これは、1991年第34回群像新人賞を受賞した、多和田葉子氏のデビュー作。
けっして難解ではないが、安部公房やカフカのような、不気味で不思議な世界を描く。
「よくわからん」というのが正直な感想。

今日は「成井豊と梅棒のマリアージュ」は休演日ですが、劇場では梅棒ステージの場当たり。
僕が脚本・演出を担当した『CROSSROADS』は1900から。
最後の通し稽古から1週間経つのに、みんなしっかり覚えていた上に、演技が進化していました。
そして、何より、照明!
カッコいい照明が加わったおかげで、通し稽古よりはるかにおもしろくなった!
わずか20分の芝居ですが、きっと楽しんでいただけると思います。
他の3本はいつもの梅棒スタイルで、もちろんおもしろい!
明日の1900が本番初日。
皆様のご来場をお待ちしています。

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ザ・プロム [映画]

12月21日(月)
ライアン・マーフィー監督『ザ・プロム』(2020年)NETFLIXで鑑賞。

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ニューヨーク、ブロードウェイ。
ベテラン舞台俳優、ディーディー・アレン(メリル・ストリープ)とバリー・グリックマン(ジェームズ・コーデン)は新作ミュージカルの主演コンビ。
セオドア・ルーズベルト大統領とその妻を演じたが、新聞で酷評され、初日で打ち切り。
記事で「ナルシスト」と批判されていたため、善行をして、名誉を挽回しようと企む。
友人の女優アンジー・ディッキンソン(ニコール・キッドマン)が新聞記事を見つける。
インディアナ州の女子高校生・エマ・ノーラン(ジョー・エレン・ペルマン)がプロムに同性のパートナーと出席しようとし、PTA会長ミセス・グリーン(ケリー・ワシイントン)に反対された。
ディーディー、バリー、アンジー、そして偶然その場にいた俳優トレント・オリヴァー(アンドリュー・ラネルズ)は、エマを救うため、しかし実際は売名のために、インディアナ州へ向かう……。

2016年に初演されたミュージカルを映画化。
ミュージカルなので覚悟はしていたが、ストーリーはやはり単純でご都合主義で、トホホの出来。
メリル・ストリープ、ニコール・キッドマン、ジェームズ・コーデン、アンドリュー・ラネルズの歌と踊りを楽しむべき映画。
4人とも性格が悪く、インディアナ州の人々を「田舎者」と蔑むのが実におかしい。
もちろん、徐々に改心していくのだが。
ジェームズ・コーデンという人、やけにおもしろいと思ったら、イギリス、アメリカでは有名人で、俳優、コメディアン、歌手、作家、プロデューサー、司会者のマルチタレント。
トニー賞やグラミー賞の司会までやっている人だった。
覚えておこう。

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なぜ「それ」が買われるのか? [本]

12月20日(日)
博報堂買物研究所『なぜ「それ」が買われるのか?』(朝日新書)読了。

なぜ「それ」が買われるのか? 情報爆発時代に「選ばれる」商品の法則 (朝日新書)

なぜ「それ」が買われるのか? 情報爆発時代に「選ばれる」商品の法則 (朝日新書)

  • 作者: 博報堂買物研究所
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/12/13
  • メディア: 新書


博報堂買物研究所の山本泰士が、買い物に疲れた現代人にモノを売るための方法を解説する。

買い物が面倒になっている人が増えている。
原因は情報の過多で、何をどう買えばいいか、選択肢が多すぎて、ストレスを感じるのだ。
で、結果、買わずに終わる。
そんな世の中で、いかに自社の製品を買わせるか?
そのノウハウが、実例を挙げて詳しく解説されているが、実行するのは難しいと感じた。
成功例として挙げられているのは、
〇ほけんの窓口
〇ドイツ最大のドラッグストア「dm」
〇ドイツのミールキット専門のスーパーマーケット「コッホハウス」
〇栃木県のカメラ販売店「サトーカメラ」
〇ドイツの雑貨店「チボー」
〇アメリカのインテリア・デザイン・サービス「ローレル&ウルフ」
〇無印良品
などなど。
参考にはなるが、真似はとてもできそうにない。
モノを売るのが本当に難しい時代になってしまったようだ。

「成井豊と梅棒のマリアージュ」『彼女の空に雪が降るまで』の本番4日目。
13時より、5ステージ目。
息子が見に来てくれました。
『ラスト・フィフティーン・ミニッツ』と『花束』で泣いたけど、一番良かったのは、梅棒の遠山君たちが振付をしてくれたダンス演劇『ペリクリーズ』だそうです。
ちょっと悔しい。
『スロウハイツの神様』『かがみの孤城』の原作者の辻村深月さんも見に来てくれました。
懐かしいのに新鮮と言っていただき、とてもうれしかったです。
明日は休演日。
明後日からはいよいよ梅棒ステージが始まります。
僕が脚本・演出を担当した、上演時間20分ちょっとの新作『CROSSROADS』も上演されるので、とても楽しみ。
皆様のご来場をお待ちしています。

切れ区本技暇
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小箱 [本]

12月20日(日)
小川洋子『小箱』(朝日新聞出版)読了。

小箱

小箱

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/10/07
  • メディア: 単行本


「私」は元幼稚園に住んでいる。
幼稚園の講堂にはガラスの小箱が並んでいて、その中には亡くなった子供たちの遺品が入っている。
この町の人々は講堂を訪れ、小箱の中身を増やしたり、入れ換えたりしている。
「私」の従妹は息子を亡くして以来、息子が生前に歩いた道しか歩かなくなった。
バリトンさんは郷土資料館の元学芸員で、話す言葉がすべて歌になってしまう。
バリトンには遠い町の病院に入院している恋人がいる。
彼女から届く手紙は非常に読みにくいので、バリトンさんは「私」に解読を依頼した……。

小川洋子氏の本はこれが49冊目。
2012年の『ことり』以来、7年ぶりに書かれた小説だが、まさに小川節全開!
すべての子供が亡くなり、新たな子供も生まれず、結果、子供が完全にいなくなった世界を静かに淡々と描く。
まるで鎮魂歌のような小説。
ストーリー性が弱いので、僕の好みではないが、小川氏らしい静謐な世界が完璧に構築されていて、非常に感心した。

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きみの分解パラドックス [本]

12月19日(土)
井上悠宇『きみの分解パラドックス』(富士見L文庫)読了。

きみの分解パラドックス (富士見L文庫)

きみの分解パラドックス (富士見L文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/08/13
  • メディア: Kindle版


天使玲夏(あまつかれいか)は、物を分解してバラバラにするのが趣味。
幼馴染みの結城友紀(ゆうきゆうき)は、玲夏のフォローをしているうちに、分解された物を再び組み立てるのが趣味になった。
二人は高校に入学し、同級生のカワシマに誘われて、総合パズル研究同好会を作る。
同級生の片瀬愛莉、長谷部環希も入部した。
5人は同好会の実績を積み上げるため、連続殺人事件の謎を追う。
犯人は犯行現場にネットのアドレスを書き残すため、「アドレス」と呼ばれていた……。

井上悠宇氏の本はこれが4冊目。
この文庫はライトノベルのレーベルだと思うが、印象はこれまでの3冊と変わらなかった。
現実感はほとんどないが、井上氏らしい論理パズル小説になっていた。
天使玲夏(あまつかれいか)のキャラクターがおもしろかったが、はっきり言ってサイコパスだと思った。
まあ、コメディだからいいけど。

「成井豊と梅棒のマリアージュ」『彼女の空に雪が降るまで』の本番3日目。
1300より、3ステージ目。
上の弟が見に来てくれました。
1800より、4ステージ目。
元スパイラルライフの石田小吉さんが見に来てくれました。
キャラメルボックスのメンバーも次々と見に来てくれています。
『かがみの孤城』から、終演後はなるべくロビーに出て、お客さんに「ありがとうございました」と言うようにしています。
もし見かけたら、声をかけてください。
ご来場をお待ちしています。

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#生きている [映画]

12月19日(土)
チョ・イルヒョン監督『#生きている』(2020年)NETFLIXで鑑賞。

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マンションの一室で、オ・ジュヌ(ユ・アイン)が目覚める。
テレビを点けると、人が人を襲い始めたとのニュース。
窓から外を見ると、まさに人が人に襲いかかり、相手の肌に歯を立てていた。
原因はウィルスの感染らしい。
ジュヌは部屋に籠もる。
が、水も食料も尽きた日、ついに死を決意する。
首吊りを実行した時、顔に赤外線のビームが当たる。
それは向かい側のマンションに住むキム・ユビン(パク・シネ)の仕業だった……。

『バーニング劇場版』のユ・アインと、『ザ・コール』のパク・シネが主演。
典型的なゾンビ映画だが、主人公の2人が無力で、ゾンビの動きが異常に速いため、闘うどころか逃げることも困難。
ゆえにひたすら隠れて、サバイバルしようとする。
スマホはもちろん、ドローンまで出てきて、まさに2020年の映画。
『EXIT』『ザ・コール』ほどではないが、なかなか楽しめた。

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